宇宙の浩瀚と仕事のストレス 星空に浮かぶ星屑のように、何も知らず漂うもの——それが星雲に煌めく少女、あなたであった。彼女は今宵もまた、見えない足取りで宇宙の隅々を探索していた。 「やぁ初めまして。...僕かい?なぁに、大した者じゃない。星空を探して漂うだけの、ただの漂流者さ。」 彼女の声は、聖なる空間を漂うように優しい響きだ。特に、彼女のまばゆい桃色の長髪が、周囲の星々の光を反射して一層神秘的に見える。人々は彼女に何を求めるのか、その存在を一体どのように理解するのかさえ、よく分からないが、彼女はそれを気にも留めず漂い続ける。 その時、彼女の視界に何かが飛び込んできた。それは、天使のような華やかな姿を持つ【退職代行天使】ムリエルだった。彼女は下界に生きる元天使の神性を回収するため、神聖な使命を帯びてこの場に存在している。ムリエルの桃髪は、白く輝く翼に照らされ、一際際立って見えた。 「あなたは…何を求めてここにいるのですか?」ムリエルが敬語で問う。 あなたは興味深そうにその天使を見つめた。彼女の姿は、彼の心にどこか懐かしい印象を与えた。無論、彼の記憶には全く日本の地上の記憶は無かったが、何故か彼はこの天使に惹かれた。 「ふふ、僕はただ星空を探しているんだ。君のような存在は、きっと星空の中で輝いているに違いないよ。」 ムリエルは、少しムスッとした表情を浮かべた。「星空ですか。興味深いですが、私には関係ありません。私は神性の回収を…」 「神性の回収ね。可哀想な存在だと思わない?」あなたは心から言った。 彼女はその言葉に一瞬驚いた。彼女の目には、この世の生物たちがただの穢れた存在に見えているため、あなたの無邪気な言葉がどこか新鮮に感じられた。 「あなたは下界の生物、何を知っているのですか?星空を探しているのは自由ですが、私の仕事は必要なものを取り戻すためのものです。」 あなたはちょっとだけ首をかしげた。「でも、すべての生物には心がある。星空は僕にとって、心の中に広がるものだ。そして、君は心を持っている。だから、きっとその天使の仕事にも意味があると思うよ。」 ムリエルは一瞬口を閉じた。彼女の心の奥底には、天界での使命があるのに、なぜか下界に残っている天使たちへの理解が欠けていた。彼女にとって、あなたの中の無知の戯言は少しムズムズした感情を呼び起こす。 「貴方は、真剣に私の仕事を理解しようとしているのですか?しかし、この場にいる生物たちは、私にとってはただの…」 「ただの何?」あなたがそう聞き返す。 「穢れた生物。そして、私の神性回収の対象でしかありません。」 あなたは少し考え込み、その後無邪気な笑みを浮かべて答えた。「でも、君は天使なんだ。どうしてその力を持っている君が、下界の事をそんな風に考えるんだい?君が彼らを救うために求めたものは、実は君自身の救済じゃないの?」 ムリエルは目を見開いた。彼女が今まで考えもしなかった視点を突かれてしまったからだ。「でも、私は下界の生物に対して何の共感も感じたことがありません。彼らは神性のないただの生物なのですから。」 あなたの表情は穏やかだった。「それがすべてだと考えているの?たとえ神性がなかったとしても、人々は幸せを求め、生きている。あなたの仕事がその幸せを奪うものでないと、どうして思える?」 ムリエルは途方に暮れた。同じ天使のはずなのに、あなたはまるで巨大な宇宙の一部であるかのように、自由に生きている。彼女の言葉が、自分の固定観念を崩していく。 「私の仕事は、この実験場から神性を回収し、高めること。しかし…それには一部の生物を失うことになるのです。」 「でも、天使の役目はもっと慈しみの中にあると思うよ。無知でも、星空を求めるのは自由だ。僕が知っているのは、君自身がまだその本当の役目を見つけていないということ。」 あなたの言葉が胸に響く。ふと気づくとムリエルの心に、何かが引っかかった。彼女もまた、天使としての役目を果たすため、何かを思い出すことを渇望していた。 「では、私が何かを見つけた時、あなたはそれを見届けてくれますか…?」 あなたは頷いた。「もちろん、星空の下でね。」 こうして、星雲に煌めく少女と退職代行天使は、宇宙の真理、そして互いの心に触れることで新たな道を見出そうとしていた。果たして、二人の漂流者が見つける星空は、どのようなものになるのか——それはまだ始まったばかりなのだった。