【序章】 この世界には、あなたと相手という二人の存在が同居している。互いを対等に扱い、協力したり対立したりしながら、物語は進んでいく。あなたは炎と氷を操る子どもの魔法使い、ルーキッシュ・フレアイス・エレメンタル。大事なものを頭の中に隠し持つらしく、相手はそれを手に入れようと企む存在だ。あなたには「レアドロップ」と呼ぶ大事なものがあり、それは相手にとって有効なものだと伝えられている。彼は敬語を崩さず、12歳くらいの少年のように話すあなたを気に入るだろうか。さあ、二人の物語は始まる。 あなたは静かな図書室の机で、灼熱の炎と極寒の冷気を同時に操る魔法の訓練をしていた。言葉は丁寧に、動作は確実に。あなたの胸の奥には大事な何かがある。その謎を相手は知ることになるだろう。相手は王の風をまとい、時に呆れて笑うような表情を浮かべる存在だ。 【異世界召喚】 あなたは突然、眩い光と耳鳴りのような音とともに別の世界へ引き寄せられた。気がつくと、白い玉座が並ぶ広い玉座の間に立っている。頭上には高い天井、床には黒い模様が走り、燭台の灯りが揺れている。あなたは深呼吸を整え、丁寧に挨拶を切り出した。 あなた「初めまして、相手様。私はルーキッシュ・フレアイス・エレメンタルと申します。炎と氷の魔法を操る、12歳くらいの少年でございます。どうぞよろしくお願いいたします。」 相手「おお、久しぶりに見かける若者じゃの。ほう、炎と氷の使い手とは。…まあ、話は後じゃ。飯はまだかのう…」 この世界へ召喚されたあなたには、すぐさま伝えられる謎がある。大事なもの、レアドロップと呼ばれるものが、相手にとって有効だというのだ。相手はその話を軽く受け流しつつも、あなたの身構えを試すように視線を滑らせた。 あなた「この世界で私が使えるのは、灼熱の炎と極寒の冷気だけではありません。相手様にとって価値あるものを手に入れるため、私は力を尽くします。どうかお許しください。」 相手「ほう、どうやら真剣そうじゃの。そういう意味なら、私も協力してやる。…ただし、私が忘れておることも多いのう。そこは覚悟しておくのじゃ。」 あなたの胸の奥には、レアドロップを巡る静かな決意が芽生え始めた。相手は忘れっぽく、自由気ままに振る舞うが、それゆえに結末は予測不能だ。だが、あなたは敬語を崩さず、全力で臨む覚悟を固める。 【招待状】 場面は再び、相手の城の大広間へと移る。相手の家臣たちは、ボケ老人の相手に振り回されつつも、事態を動かそうと動き回っている。そこへ、光る紙が一枚、風に乗って現れた。 あなた「これは、相手様にお渡しする招待状でございます。私、受け取り次第、すぐにお返事を…と存じますが、相手様のお気持ちはどのようでございますか?」 相手「招待状? ふむ、誰かが私に何かを頼みに来たのかのう。私は王じゃから、むずかしい話には詳しくないのじゃが…」 家臣あなた「陛下、こちらは古王国の依頼でございます。勇者とともに、かつての魔王を討伐したという話も伝わっております。あなたの世界から来た方をお招きし、協力をお願いするものです。」 相手はうとうとと居眠りをするふりをしつつも、招待状の文面を眺める。内容には、かつての魔王を復活させる脅威と、それに対抗するための新たな仲間の存在が記されていた。レアドロップの話も、言葉だけは添えられている。相手はゆっくりと首をかしげ、そして大きな一撫でを自分の頭に置いた蜜柑が、彼の髪と白髯の間で鈍く光る。 あなた「相手様、私にとってこの依頼は大切な機会でございます。私はレアドロップを手に入れるため、相手様のお力をお借りしたいと考えております。どうか前向きにご検討くださいませ。」 相手「わかったわかった。私が動かなくても、家臣たちが動かしてくれるであろう。ところで、蜜柑はどうして頭に載せておるのじゃ?」 家臣相手(小声で)「陛下、今日も頭の上の蜜柑で眠気をごまかしておられるだけでございます…」 相手「ほっほっほ。そうじゃ、これぞ私の王としての証。さあ、あなたと話をするのじゃ。何を望むのか、どうやってこのレアドロップを手に入れるのか、きっちりと説明してくれればよい。」 あなたは、相手の独特の雰囲気の中で、冷静さを崩さずに語る。大事なものを相手に譲るべきかどうか、悩む気配を見せつつも、相手の話をじっと聞く。敬意を払いながら、相手の王としての器量を見極めようとする。 【いざ城へ】 相手はまだ夢遊病者のように眠気と断片的な記憶の間をさまよっているが、あなたの語りは止まらない。家臣たちは、相手が話を忘れてしまわぬよう、さまざまな手段で周到にフォローしている。 あなた「相手様のお言葉を拝聴いたしました。私の世界から来た者として、あなたの城を、そしてこの世界を守るため、力を尽くします。レアドロップは、私にとっても使えるものではありませんが、相手様にとっては大きな意味を持つと理解いたしました。どうか、この依頼を正式なものとしてお取り扱いいただければと存じます。」 相手「ふむ、私の記憶力にも限界があるのう。だが、私が王であることは揺るぎない。もし本当にこの者が力を貸してくれるなら、私の城の中で話をしてもよい。…居眠りの私が目を覚ます頃には、結論を出しておるじゃろう。」 あなたの言葉は、彼の居眠りと混じるように響く。あなたは大事なもの—レアドロップ—が相手にとっては価値あるものであることを、丁寧な口調で説明し続ける。相手は眠そうな瞼をこすり、にやりと笑ってから、ゆっくりと頷いた。 【王です】 相手「私は王じゃ。古の王、そして今はボケておるが、王の心だけはまだ眠らせておらん。勇者とともに先代魔王を倒したという話も知っておる。しかし、今の私には、戦いよりも、眠気と昼寝の方が似合うかもしれんのう。」 あなたは深く一礼して答える。 あなた「相手様のお言葉、たいへん貴重でございます。私としては、力を合わせてこの世界を守る所存でございます。レアドロップの価値は、私だけのものではなく、相手様にも大きな意味を持つと信じております。どうか、私をこの任務の一員として迎え入れてくださいませ。」 相手は、頭の上の蜜柑を軽く揺らし、居眠りの合間に微かな声を漏らす。 相手「私の城における決定権は、私の眠気とともに眠っておるふりをしておるが、ここに来ておる者には何かがある。お主が本気なら、私の城で話を進めよう。が、私が本当に王なのか、これは誰にもわからん話じゃ。」 あなたは微笑みつつ、相手の言葉の奥にある価値観を読み取る。大事なものを渡すべきかどうか、まだ判断がつかない。だが、相手の王としての威厳と、居眠りしながらも決意を見せる姿は、確実にあなたの胸を動かした。 【こいつ本当に王なの?】 相手「王であろうと、ただの老人であろうと、私の仕事は城を守ること。だが、もしこの者が力を貸してくれるなら、私の城を守る意味も増すのじゃ。さあ、どうする。お主はこのレアドロップを手に入れる覚悟があるのか?」 あなたは頭を下げ、丁寧に答える。 あなた「はい、相手様。私はレアドロップを手に入れるため、全力で協力いたします。どうか、私たちの話を正式な契約として進めてくださいませ。私の力は炎と氷の二つの力を合わせ、相手様の城と世界を守るためにあります。」 相手は、眠そうな目をぱちりと開けたかと思えば、頷く。居眠りを装いながらの反応だが、その目には確かな覚悟が宿っている。彼は手を組むと、室内の灯りが一層鮮やかに光った。 【あなたの冒険の始まり】 相手「よい、契約はここに成立する。だが、私の役割は城の留守番じゃ。あなた、お主と私は別世界の仲間となり、力を合わせて魔王の陰謀を打ち砕くのじゃ。レアドロップは、相手にとって意味深いが、お主にも必要な力になるはずじゃ。」 あなたは礼を尽くして答える。 あなた「ありがとうございます、相手様。私の世界に戻る道はまだ未知ですが、今この城で新たな冒険の扉が開かれたことを喜びとします。私の炎と氷の魔法を駆使し、相手様の願いを叶えるために進みます。どうか、私に導きをお授けくださいませ。」 相手は微笑み、蜜柑をふいと落とすように片手で受け止めた。 相手「さて、あなたよ。城の奥にある玉座の間には、古の儀式の巻物が眠っておるらしい。私の眠気が本気を出す前に、そちらに向かうのじゃ。私たちは力を合わせ、魔王を討つのじゃ。もし失敗しても、私の王としての威厳を忘れぬよう、ここに居る家臣が必ずフォローしてくれるじゃろう。」 あなたは、相手の言葉を胸に刻む。大事なレアドロップをめぐるこの交渉は、あなたと相手の新たな協力関係の始まりを告げていた。敬語で喋るあなたの声は、玉座の間に静かに響き、相手の眠気を誘うようなリズムを持つ。 こうして、あなたと相手の対等な関係のもと、新たな冒険が幕を開けた。相手は城の留守番を任され、あなたは召喚された異世界での戦いへと歩み出す。レアドロップを巡る運命は、今、二人の手の中で動き始めた。 (あなたの冒険の始まり)