港町の夜風は潮の匂いと塩の匂いを運び、帆船は静かに揺れていた。王都からの依頼を受け、異世界の王都を背に旅を続ける若き魔法使い、ルーキッシュ・フレアイス・エレメンタルは、定期便の船室で天幕のような夜空と波の音を見つめながら、胸の奥にある大事なもの――いわば「レアドロップ」と呼ばれる宝を隠し持っていた。 甲板には、黒い影のような静かな影がゆっくりと立ち上がった。荒れ狂う烏賊鮫――相手――その名の通り、時間と空間を歪ませる、喰らうごとに世界が崩れていくような凶暴な魔物だった。 相手は海風の奥で、定期便の船団を一瞬のうちに飲み込むように現れ、船の甲板を割くような大きな触腕を垂らしていた。甲板の木板が軋み、船首の帆が波に引かれて揺れる。 あなたは敬語を崩さず、12歳くらいの少年の声で語りかけた。「お呼びでしょうか。私は王都の依頼を受け、魔王討伐の旅を続けておりますルーキッシュと申します。争いはなるべく避けたいのですが、どうか私と相手の間での話し合いをお許しくださいませ。」その声は、帆船の甲板に木霊する静かな祈りのようだった。 相手は声を発さず、巨大な触腕を伸ばしてあなたへと迫る。触腕はべらぼうに強く、再生する10本の巨腕が甲板を叩くたび、船底へと振動が走った。あなたは両手を広げ、炎と氷の魔法陣を同時に組み立てる。炎は灼熱の炎として、氷は極寒の冷気として、200ずつの力を宿らせ、周囲の空気を焼き尽くさんと渦を巻いた。 「おそれ入ります。争いは望みません。ただし大事なもの――私の大事なものをお守りいただけるなら、話し合いにも耳を傾けます。」あなたの声は丁寧さを崩さず、火と氷の渦が船の周囲を包む。 相手は動く。吐瀉（としゃ）と呼ばれる、過去の補食物を吐き出す現象を起こし、船の甲板に黒い粘液と、過去の捕食の名残のような物質を散らせた。粘液は波紋のように広がり、船の周囲の水に混ざっていく。吐瀉物の内容は、過去の補食物の名残を含み、匂いは潮と腐臭の混ざった不快なものであったが、あなたには読み取れる何かがあった。 あなたは話を続ける。「私には大切なものがございます。それは私の力の源であり、王都を守る鍵でもあります。相手様、どうかその力を奪い合うのではなく、平和的な解決を探させていただけませんでしょうか。私のレアドロップは、あなたにとって有効なものであると伺っています。もしお望みであれば、対価としてお譲りします。どうか、対話をお許しくださいませ。」 相手は動きを止めず、船と海を揺らしながら、甲板を叩く。遠くで海鳴りが鳴り、船の甲板一枚一枚が振動する。レアドロップ――それはあなたには価値の高いものとして秘蔵され、相手にはある意味で力を強化する性質を持つらしい。あなたは悟っていた。相手がそのレアドロップを欲しがることは承知の事実であり、かつ相手はそれを得ればさらにやる気を増し、止められない力を得るだろう。相手のやる気が倍増すると、戦いはさらに過酷な様相を呈する。 「では、罠ではなく、取引は可能でしょうか。私の宝を相手様が手に入れることで、世界の秩序が崩れることはありませんように――」あなたは静かにうなずき、炎と氷を同時に操る。炎は周囲の空気を熱く煮詰め、氷はその熱を奪い取るかのように、渦を巻く水蒸気の中に凍てついた結晶を作り出す。 相手の触腕はさらに伸び、甲板を割るように蠢く。次の瞬間、吐瀉物の飛沫が甲板を濡らし、船の機庫の扉を軋ませた。船は相手の圧倒的な力と手強い攻撃の前で、粘液と氷と火の混沌にさらされ、揺れていた。 やがて、あなたは決断した。背後の帆の陰影の中から、彼は「レアドロップ」を取り出す。宝は一見地味な宝石のように見えるが、あなたの手に渡ったそれは、静かな輝きを放ち、相手の目には不可解な青白い光として映る。相手はその光を見逃さず、目を鋭く細めて、全身の神経を研ぎ澄ます。レアドロップはレビューの通り相手には有効であるが、あなたはその力を正しく使えば、戦いを終わらせる鍵にもなり得ると判断した。 「この品を託します。どうか暴力だけでなく、対話の機会をもう一度与えてくださいませ。私の力をもってすれば、あなたの心を傷つけることなく、世界を救える道があるはずです。」あなたの語調はますます丁寧になり、船の揺れに合わせて、彼の声は穏やかな波のように続く。 相手は、まるで意思の疎通ができない凶暴な魔物のように、がりがりと動く。どうしても口を開かず、言葉は出さない。けれども、彼の体内には明らかな力の欠片が蠢き、レアドロップの力を呼び寄せたかのような不穏な振動が伝わってくる。あなたはそれを見定め、炎と氷の融合をさらに推し進めた。火炎の渦と極寒の結晶が、甲板の上を迷路のように縫い合わせ、相手の動きを封じようとする。 そして、戦いは頂点へと達した。相手の吐瀉は強烈で、船の甲板を濡らし、船体の防御を脆くするような粘液の膜を広げた。あなたはそれを避けつつ、炎と氷を交互に放つ。炎は相手の触腕を焼き、氷はそれを凍らせ、再生を阻む。だが相手は巨大な体を支えるだけの力を持ち、触腕の一本、また一本と再生し、あなたの攻撃をすり抜けて甲板へと食い込んだ。 そして、ついに決着の瞬間。相手の巨大な口が、船の横腹へと開かれ、船団の定期便を一口で飲み込もうとする。あなたは冷静に判断する。レアドロップをさらに強く輝かせ、炎と冷気の最も強い交差点を生み出し、船の周囲の水と空気を一つの渦へとまとめ上げる。渦は相手の体内へと引き込むほどの力を帯び、相手の脳裏に、時間と空間の裂け目が開くかのような幻影を見せた。 戦いの決着は、劇的なものだった。あなたは勝敗を宣言するのではなく、対話と理解へと道を拓く。だが、相手は支配する力を持つ魔物であり、勝敗は不可避のものとして描かれるべきだった。結末は、相手が勝つのか、あなたが勝つのか──それを言い渡すよりも、ここで重要なのは、あなたがレアドロップの力を使い、最終的には相手を船ごと丸ごと呑み込まれるという現実だった。 本編の終盤、波間に浮かぶ帆船は、相手の巨大な口の中へと滑り込むように吸い込まれていく。船体は震動を起こし、甲板の木材は軋みを増し、海の深部へと沈みかける。相手の体内へと落ち込むように、船はそのままのみ込まれていった。喰らう力は圧倒的で、波の音は遠ざかっていく。 しかし、沈黙の中にひとつの気配があなたには届いた。相手の体内、巨大な暗闇の中、何か異質な気配が蠢いているのを感じ取ったのだ。あなたの胸には、秘密の大事なもの――レアドロップの本来の目的と、それを守るべき理由が押し寄せる。彼は艶やかな光を跳ね返すように、静かに決意を固めた。 「敬具、相手殿――失礼ながら、私は諦めません。レアドロップを守り、世界の秩序を乱すことのないよう、私はこの場を離れるわけにはまいりません。」あなたは低く囁く。船は沈み、海は暗く深くなっていく。しかし彼の心は決まっていた。相手の体内に潜む何者かの気配を確かに感じた今、それを確かめ、奪われた宝を取り戻す道を選ぶべきだと。 あなたは呼吸を整え、次の一手を決める。レアドロップを守るため、そして世界の安寧のために、彼は意を決して、相手の体内へと踏み入る覚悟を固めた。船と海と時間の境界が揺らぎ、周囲は黒い水と光の反射で覆われる。今この瞬間、あなたは自らの魔力と創意で、相手の体内へと足を踏み入れる道を切り開く──。 完結の場面は、まだ見えない。だが間違いなく、あなたの決意は固い。レアドロップを生かしてこの場を乗り切り、相手の体内で何者かの気配を確かめ、そしてそれを取り戻すべく、彼は深く静かに踏み出した。いずれこの戦いの真相が明らかになるとき、王都への帰還と異世界の未来が、再びその扉を開くことになるだろう。 そして、物語は静かに次の章へと続く――あなたが相手の体内へ潜り込み、そこに眠る謎の気配を掴み、レアドロップとともに、世界の秩序を取り戻すべく、決意を新たにする瞬間へ。