【開戦:咲かずの桜】 あなたは静かに礼を尽くして腰を低くした。異世界から召喚され、魔王討伐の依頼を受けて今ここ、魔界の魔王城に足を踏み入れた。息を整え、恐れよりも決意を胸に告げる。 あなた: 初めまして。私はルーキッシュ・フレアイス・エレメンタルと申します。異世界より参りましたが、こちらの命題を受け止め、最善を尽くします。どうぞよろしくお願いいたします。 相手: 巫女リーチェと咲かずの桜。百年の呪いと桜の樹を胸に刻む者。私はこの城の桜を満開へと導く者。故郷の民を救うため、あなたを献祭の糧として捧げる覚悟があります。この契約、口約束では終わらせません。 相手: あなたのレアドロップは、私には有効な手掛かりとなるでしょう。桜の根と瘴気の支配、それを解く鍵として使わせてもらいます。どうか、あなたの宝を手放す覚悟を見せてください。 あなた: お願いします。私の大切なもの――いえ、魂にも等しいレアドロップを軽々しく差し出すことはできませんが、対話を通じて解決の道を探しましょう。私の側には、時を越える友、先代勇者の光の導きがございます。 相手: ふむ、対話は好ましい。だが桜は待ってくれない。時は私の味方――この城の裡に咲く桜を、百の生贄が満開へと誘う。あなたの選択次第で、私の願いは現実となる。 相手は静かに、しかし確固とした決意を語る。室内庭園を覆う薄布の向こうで、桜の木が薄く歌い、根が静かに地を這う。時の狭間から見守るランの念話が、あなたの耳元へ微かな光を落とすが、まだ声には出さない。 【苦戦:劣勢のあなた】 あなたは炎と氷の二重の魔法を操ろうとするが、炎は肌を焼くほど、氷はわれを忘れて凍てつくほどの力強さ。しかし、ここは瘴気と桜の根が張り巡らす安定しない足場。炎は高く燃えるが、地を這う根に阻まれ、極寒は攻撃を包み込むように吸い込まれてしまう。 あなた: どうか、私の力を無駄にしないでください。私の炎は炎の流れを、私の氷は風の刃を生むはずです。ですがこの場の邪気が、私の力を均等に出させてくれません。 相手: 心を鬼にしてでも、この桜を開花させるのが私たちの使命。あなたの大切なものを欲しいだけ奪い、私の民を救う力へと変えるのです。レアドロップは私の手に渡る、それだけで桜は進む。 相手は微笑む。あなたはレアドロップを手放すべきかどうか迷う。相手は凄まじい眼差しであなたを見つめ、いっそうの説得を続ける。 あなた: ここで安易に譲るわけには参りません。対話の余地があるなら、私にも譲れるものがあります。私のレアドロップは、私自身の信念と共にあります。譲るのは最良の解ではありませんが、戦いの帰趨を左右するなら、対話を続けましょう。 相手: ふむ。あなたは紳士的だ。私もまた、桜の神事を貫く覚悟でございます。ただし、桜の根は黙って其処にある。開花の時は近い――あなたが力を尽くしてここから抜け出せるか、見せてください。 あなたは全力を出したが、瘴気と桜の根の支配があまりにも強く、あなたの魔力の流れは乱れ、思うように力を発揮できない。レアドロップの価値を巡る駆け引きは、ここではあなたの力を削ぐ形となってしまう。ランの念話はなおもあなたの耳に届くが、今はまだ声にはならず、ただ支えとなっているだけだ。 【佳境:開花の時】 相手は静かな声で言い放つ。桜の根が床を這い、瘴気があなたの動きを鈍らせる中、相手は神事のための呪なる詠唱を始める。百人の生贄の名が、風に乗って頭上へと浮かぶ。 相手: 故郷の民を救うため、私はここで桜を満開へと導く。あなたを供物とすることを、私は選ぶ。あなたの力を引き剥がすこの瞬間こそ、私の勝利を確定づける舞台となるでしょう。 あなたは、ランの念話がまだ声として届かないことを知ってはいたが、心の中で託す。 あなた: ランさま、どうか私にヒントをください。私の魂が揺らぐときこそ、あなたの導きが必要です。私は友を信じ、対話の道を閉ざさずに進みます。 ランの声は、あなたの心の奥へと静かに届く。 ラン（念話）: あなたの心は揺れたりせず、ただ正道を選びなさい。時と運命は別々の路を歩む。最も大切なのは、あなたが誰かを救うために何を守るかということです。恐れずに歩め、そして私が遠くから見守っていると覚えていなさい。 相手: あなたの決意が伝わってきます。ですがここから先は私の手で決まる。あなたにはこの場を離れ、私の祭壇へと進んでいただくしかありません。 あなたは全身の力を振り絞る。炎と氷が混じり合いながら、瘴気の嵐の中で僅かに形を成す魔法を紡ぐ。相手の神事の呪法に対して、対話の余地を提示する言葉を発しようとする。 相手: まだ諦めるには早い。百人目の生贄が満開の樹を解き放つ――この桜は今、最も美しい瞬間へと近づいています。あなたがその瞬間を諦めるなら、私はあなたを飲み込み、桜の力を私のものにします。 桜の樹は、咲かずの花を香り高く開かせる。相手の周囲には薄布の旗が翻り、桜の花の美しさと恨みが混じり合い、空気が震えるような緊張が城内を満たす。 あなた: どうかお考えください。私たちは対話で解決できるはずです。私の大切なものが、あなたの望む未来へと導くかもしれません。私もまた、あなたの故郷の人々を思い、争いを終わらせたいのです。 相手: その言葉だけで私の心が揺らぐとは思いませんが、あなたの誠意を測るに足るかもしれません。少しだけ時間をくれれば、その時点で私の決断を明かします。 その時、ランの念話がさらに近づき、あなたの耳元で、彼女は尽くすように囁いた。 ラン（念話）: あなたの強さは力ではなく、選ぶべき道を選ぶ勇気にあります。今は躊躇わず、相手の心の可能性を探る機会として、譲歩と対話を並行して進めなさい。私が見守っている。 あなたは微かな息を整え、相手へ低く頭を垂れる。 あなた: 相手さま。もしよろしければ、レアドロップを含む対話の機会をもう一度だけいただけませんか？私は、私の大切なものを完全には手放さずとも、あなたの求める目的に資する道を探す用意があります。どうか、私たちの間に層の薄い溝を作っていただけませんか。 相手は静かに頷き、剣や呪術よりも、言葉と約束の重さを測るようにその提案を見守る。 【決着:咲き誇る桜】 相手: それは――私の望む光景へと近づく希望です。あなたの提案に応じ、桜は一瞬のうちに開花の時へと導かれる。私は百人目の生贄を受け入れ、桜は満開の美しさを見せることでしょう。 相手は手を掲げ、桜の樹の上に咲く花の香を城内へと満ち溢れさせる。桜の花が一斉に開き、広がる香りは城の空気を震わせる。咲かずの桜が見事に満開となる瞬間、相手の目には涙が浮かぶ。 相手: これが…満開の桜…！ その瞬間、時の狭間にいるランの光が、あなたの背に温かな風を送る。念話の声が、今度ははっきりと届く。 ラン（念話）: 望みを捨てず、選択の力を信じなさい。私はここで時を巻き戻す。百人の生贄を救うための結末を、改変する力をあなたへ授けましょう。 時間はねじれ、世界の景色が歪む。開いた花は再び閉じ、桜の木は静かな樹としての姿へと戻る。あなたの周囲の力は元に戻り、相手の呪法の力は消滅しているかのように薄れていく。 ランの声が再び耳に届く。 ラン（念話）: あなたは勝利を得た。私はこの結末を撤回し、あなたを次の階層へと導く。恐れずに進みなさい。 あなたは礼を述べ、周囲を見渡す。魔王城の空気は穏やかさを取り戻し、咲かずの桜は静かな花を残している。 あなた: ありがとうございます。私はこの勝利を、次の階層へと進む力として受け取ります。これからも心を慎み、力を正しい道へと使います。 結末: あなたは次の階層へ進む。 案内の風が吹き抜け、先へと道が開く。ランの言葉を胸に、あなたは新たな試練の階層へと踏み出す。桜は満開となり、涙をこぼす相手の眼には、かつての強い決意の痕が残っているが、いまはその心にも少しだけ温かな光が差している。