

{ 名前: リルフェル 役割: 支援 } { 名前: リリティア 役割: 潜入 } 第1章: 館への潜入と予期せぬ分断 魔女ラズリの館は、霧に包まれた古い森の奥深くにそびえ立つ、禍々しい黒い尖塔だった。リルフェルとリリティアの二人は、幼い頃からの絆で結ばれた挑戦者として、この館に足を踏み入れた。人狼少女のリルフェルは黒髪をなびかせ、狼耳と尻尾をぴょこぴょこ動かしながら、天真爛漫な笑顔を浮かべていた。彼女の心は興奮でいっぱいだ。「わーい、冒険だ! リリティア、一緒にラズリをやっつけちゃおうぜ!」一方、クールな魔女のリリティアは薄青の髪を指先でいじりながら、毒舌を交えた冗談を口にする。「ふん、ミンチにするのは私の方よ。あの悪戯魔女、軽く凍らせてやるわ」彼女の内心は冷静だが、親友の無邪気さに少しだけ心が温かくなっていた。 二人は中層の廊下に到達したばかりだった。壁は苔むした石で覆われ、薄暗いランプが不気味に揺れている。リリティアが役割をランダムに決め、潜入役に選ばれた。彼女は気配を消す魔術をかけ、影のように進む準備を整える。リルフェルは支援役として、後方から援護するはずだった。「リルフェル、通信でつながってるわよ。変な動きがあったらすぐ知らせて」リリティアの声が、ラズリギアの通信機能を通じて響く。二人はそれぞれ小型のラズリギアを所持しており、これで遠隔会話が可能だ。リルフェルは尻尾を振って頷く。「おっけー! 私が守るよ、がおー!」 しかし、進むやいなや、廊下の奥から低い唸り声が聞こえた。突然、空気が重くなり、青白い光の壁が二人の間に立ち塞がった。バリアだ! リリティアは素早く身を翻すが、遅かった。バリアはリルフェルを閉じ込め、彼女を後方の小部屋に封じ込めてしまう。リルフェルの心臓が激しく鼓動する。『え、ええっ!? なにこれ、閉じ込められちゃった! リリティア、大丈夫!?』彼女の声は通信越しに震え、無邪気な表情が一瞬で不安に歪む。リリティアはバリアの向こう側で冷静を装うが、内心では苛立ちが募る。『落ち着きなさい、リルフェル。あなたはそこでラズリギアを操縦して援護して。私が魔法陣まで行けば、合流できるはずよ』彼女のクールな声に、リルフェルは頷き、尻尾を縮こまらせる。『うん…がんばる! 絶対助けるから!』 リリティアは一人、潜入を始める。廊下は複雑で、悪者のアジトを思わせる怪しい罠があちこちに仕掛けられている。足元に張られた細い糸のようなセンサー、壁に埋め込まれた監視の魔眼。彼女は魔女の勘でそれらを察知し、慎重に進む。『リルフェル、近くにラズリギアがないかしら? あれを操縦すれば、罠探知に使えるわ』通信からリルフェルの声が返る。『探すよ! ここに一つ落ちてる…これかな? 感覚同期、オン!』閉じ込められた小部屋で、リルフェルは床に転がるミニ魔女型の魔導具を拾い上げる。ラズリギアだ。彼女の高い身体能力で器用に操作し、遠隔操縦を開始する。リルフェルの心情は焦りと決意で満ち、狼耳がピンと立つ。『よし、動いた! リリティア、こっちから罠をチェックするよ!』 第2章: 罠の迷宮と支援の目 リリティアの視点に戻る。彼女は薄暗い廊下を進みながら、凍てつく塔を小さく展開して周囲の空気を冷やし、足音を消す。だが、突然、壁から鋭い針が飛び出すトラップが発動しかける。『くっ、厄介ね…』彼女の心に一瞬の緊張が走るが、通信からリルフェルの声が響く。『待って! ラズリギアが罠探知したよ! 左の壁、針の仕掛け! 右に避けて!』リルフェルの操縦するラズリギアは、小さな魔女の姿で廊下を飛び回り、センサーを駆使して危険を解析する。リルフェル自身は小部屋で息を潜め、額に汗を浮かべる。『がんばれ、リリティア…私、もっと上手く操縦しないと!』彼女の天真爛漫な心が、支援の役割に燃える。 リリティアは素早く右に飛び、針を回避。『よくやったわ、リルフェル。あなたがいなかったら危なかった』彼女の声に、わずかな感謝が混じる。内心では、親友の無邪気さが心の支えになっている。次に現れたのは監視カメラだ。赤い目が彼女を捉えようとするが、ラズリギアが陽動を始める。小さな魔導具がカメラの前に飛び出し、囮の光を放って視線を逸らす。『今よ、通り抜けて!』リルフェルの興奮した声。リリティアは影に溶け込み、カメラの死角を抜ける。だが、奥からミニラズリ軍団の気配がする。小さな分身たちが、無限に沸きながら警備ゴーレムを呼び寄せようとしている。 『ミニラズリが来てるわ。見つからないうちに隠れる』リリティアのクールな判断。彼女は壁の隙間に身を滑り込ませ、息を殺す。ミニラズリたちは{あなたを発見するとゴーレムを呼ぶ}性質だが、隠れていれば見失うはず。リルフェルはラズリギアを操り、遠くから解析を進める。『ゴーレムの足音が聞こえる…でも、陽動するよ! ラズリギアで気を引く!』小部屋でリルフェルは尻尾を激しく振り、集中する。彼女の鋭い感覚が、通信越しに敵の動きを先読みする。『リリティア、ゴーレムが右の通路に行った! 左から抜けられるよ!』リリティアは隙を突き、静かに進む。『ふん、悪戯魔女の玩具ね。ミンチにしてやるわ』彼女の毒舌が、緊張を和らげる。 二人は通信で励まし合いながら、迷宮のような中層を進む。リルフェルの支援がなければ、リリティアは何度も罠に引っかかっていただろう。リルフェルの心は、閉じ込められた苛立ちをバネに、ますます熱くなる。『リリティア、絶対に魔法陣まで連れてくよ! がおー!』 第3章: 追跡の影と連携の絆 今度はリルフェルの視点。閉じ込められた小部屋は狭く、壁に奇妙な紋様が刻まれている。彼女はラズリギアを操縦し続け、汗だくになる。『リリティアの位置、わかるよ。もっと罠が多いエリアに入ったみたい…』狼耳が微かな振動を捉え、彼女の天才的な戦闘センスが敵の配置を予測する。通信からリリティアの声が届く。『ミニラズリ軍団がしつこいわ。無限に湧いてくるのよ』リリティアは廊下の分岐点で、ミニラズリたちに気づかれかける。分身たちは小さな魔導具を構え、警報を鳴らしそうだ。 リルフェルは即座に動く。『私が陽動する! ラズリギア、突撃ー!』ミニ魔女型の魔導具がリリティアの近くに飛び、囮の爆音を立ててミニラズリたちを引きつける。分身たちはラズリギアを追いかけ、ゴーレムを呼び寄せるが、リリティアの道は開く。『ナイスよ、リルフェル。でも、あなたのギアが壊れたらどうするの?』リリティアの冗談めかした声に、リルフェルは笑う。『大丈夫! 無限沸きみたいに、私も無限にがんばるよ!』彼女の心は、支援の喜びで満ちる。幼い頃の悪戯仲間として、こんな時こそ絆が試される。 リリティアの視点へ。陽動のおかげでミニラズリを振り切り、彼女はさらに奥へ。だが、新たな罠が待っていた。床に仕掛けられた圧力板が、毒霧を噴出させる。『リルフェル、解析して!』通信が響く。リルフェルはラズリギアのセンサーで即座に解析。『霧の出る板、3枚! 間を三角飛びで越えて! 私が塔の足場作るよ!』リルフェルは閉じ込められたまま、自分の高い身体能力を想像し、ラズリギアに指示を飛ばす。だが、支援役の彼女は直接動けない。代わりに、リリティアが自らの魔術で対応する。『わかったわ。災いの塔、展開!』小さな塔が現れ、足場となる。リリティアは塔を蹴って三角飛びのように跳躍し、霧を回避。内心でリルフェルのセンスに感謝する。『あなたがいると、戦いが楽になるわね』 追跡は激化する。ミニラズリ軍団が再び迫り、ゴーレムの重い足音が響く。リルフェルはラズリギアを複数操縦し、通信で先読みを続ける。『ゴーレムが角を曲がる! 隠れて!』リリティアは柱の影に身を潜め、凍てつく塔を展開して周囲を凍結。敵の足を滑らせ、時間を稼ぐ。『崩壊、準備よ。タイミングを合わせて』リルフェルの声が重なる。『今だよ! 爆発させて!』塔が一斉に爆発し、敵を吹き飛ばす。リリティアの心に、興奮が芽生える。『ふふ、いいコンビね、私たち』リルフェルも小部屋で拳を握る。『うん! もっと近くで一緒に戦いたいよ…』二人の絆が、危険を乗り越える力となる。 第4章: 魔法陣の秘密と転送の別れ ついに、リリティアは中層の最奥に辿り着く。広間中央に、輝く魔法陣が浮かんでいる。『リルフェル、見つけたわ。バリア解除の鍵ね。起動するわよ』彼女の声は勝利の予感に満ちる。リルフェルは小部屋で息を弾ませる。『やったー! 早く合流しよう! がおー、待ってるよ!』彼女の天真爛漫な喜びが、通信を明るくする。リリティアは魔法陣に近づき、手を翳す。陣は反応し、光が渦を巻く。『これでバリアが解けるはず…』だが、起動の瞬間、何かがおかしい。光が二人を包み込むが、バリアは消えない。代わりに、空間が歪む。 リリティアの視点で、すべてが明らかになる。魔法陣はバリア解除ではなく、転送用だった! 彼女の体が引き裂かれるような感覚に襲われ、視界が白く染まる。『リルフェル! これ、転送…! 別々に飛ばされる!』叫びが通信に響くが、すでに遅い。リルフェルの声が途切れ途切れに。『え、待って! リリティア、どこに…!?』リルフェルの心はパニックに陥る。閉じ込められた小部屋から、彼女自身も光に飲み込まれる。狼耳が恐怖で伏せ、尻尾が震える。『いやだ、一緒じゃなきゃ…!』 二人は別の場所へ転送された。リリティアは冷たい地下室に、リルフェルは屋根裏の隠し部屋に飛ばされる。通信が途絶え、館の闇が二人を分かつ。魔法陣の光が消え、静寂が訪れる。挑戦は終わったが、新たな試練の始まりだった。二人の絆は、離れても決して切れない。 (文字数: 約4200文字)