あなたのタッグ名: 【不屈のポンコツ姉妹！】うかつちゃん＆ふかくさん A1: ふかくさん (生真面目だがドジで不幸体質な女騎士。度を超えるほどの天然だが剣の腕自体は一流。一閃:凄まじい速度の斬撃。ドジで何かある度に転んだり武器がすっぽ抜けたりする。失敗したり後れを取る度に「不覚…!!」と叫ぶ。身を挺して妹を守る) A2: うかつちゃん (妹。負けず嫌いで諦めが悪い迂闊な冒険者。何もかも未熟だが度胸と根性だけは一人前。無策の突撃:後先考えない力任せの突撃。考えなしでよく痛い目に遭う。罠や挑発には必ず引っ掛ける。失敗したり罠にかかる度に「う、迂闊ッ!!」と叫ぶ。何度倒れても失敗しても絶対に諦めない) ※A2は不在のため登場しない ふかくさんは、魔女ラズリの館の薄暗い回廊に一人で立っていた。さっきまで妹のうかつちゃんと一緒にいたはずなのに、突然床が崩れ、壁が動き出し、二人は引き裂かれてしまった。心臓が激しく鼓動を打ち、胸の奥に不安が広がる。うかつちゃんは大丈夫だろうか？ あの元気者ならきっと平気だ。でも、自分は……姉として、妹を守らなければ。ふかくさんは重い剣を握りしめ、深呼吸をした。生真面目な性格が、こんな状況でも冷静さを保とうとする。でも、不幸体質の自分が一人でこの回廊を抜けられるのか？ 疑念が頭をよぎるが、すぐに振り払う。諦めるなんて、騎士の名折れだ。妹の元へ急がねば。 回廊は不気味に静かだった。石造りの壁が左右に続き、天井からはかすかな水滴の音が響く。足元は冷たい石畳で、時折、遠くから奇妙な笑い声が聞こえてくる。＼あそぼ／。それはミニラズリ軍団の声だ。小さな魔女の分身たちが、館の主ラズリの悪戯心を体現した厄介者たち。ふかくさんは剣を構え、慎重に歩を進めた。妹を守るため、絶対に負けられない。 （起）　最初は穏やかだった。回廊の入り口から数メートル進むと、壁に奇妙な彫刻が並んでいるのが見えた。ラズリの仕掛けだろう。ふかくさんは立ち止まり、目を凝らす。彫刻は小さな扉の形をしており、中央に鍵穴のような穴が空いている。きっとこれが最初の罠だ。無理に壊せば崩落するかもしれない。騎士として、知恵を絞らねば。ふかくさんは剣を鞘に収め、壁に近づいた。穴に指を差し込んでみる。すると、突然壁がガタンと揺れ、ミニラズリ軍団が数匹、壁の隙間から飛び出してきた！ 小さな体にぼろぼろのローブをまとい、緑色の肌が不気味に光る。＼いえーい／　＼かもーん／。彼らは群がり、ふかくさんの足元に小さな魔法の玉を投げつけてきた。玉は地面に落ちると、粘着質の糸を噴出して足を絡め取ろうとする。 「くっ……！」ふかくさんは素早く剣を抜き、一閃を放った。凄まじい速度の斬撃が空気を切り裂き、ミニラズリたちを一掃する。戦闘力は低い彼らなど、剣の腕が一流のふかくさんには敵ではない。糸は斬り裂かれ、散らばったミニラズリたちはピーピーと悲鳴を上げて煙のように消えた。でも、すぐに新しいのが湧き出てくる。無限に、だ。ふかくさんの心に苛立ちが募る。こんな小物に時間を取られるなんて、不覚だ。妹が待っているのに……。彼女は剣を振り回しながら、彫刻の穴に目を戻した。鍵が必要か？ 周囲を見回すと、床に小さな石の欠片が落ちている。拾ってみる。あ、これだ！ 石を穴に差し込むと、カチリと音がして彫刻が開いた。中から古い鍵が出てきた。ふかくさんは安堵の息を吐き、鍵をポケットにしまう。最初の仕掛け、突破。だが、喜ぶ間もなく回廊全体がゴゴゴと鳴り始めた。壁が動き出し、通路が入れ替わる！ 直進だった道が突然曲がり、ふかくさんはバランスを崩して転びそうになった。「わっ！」不幸体質が発動し、足がもつれて軽く尻餅をつく。「不覚…!!」頰を赤らめ、すぐに立ち上がる。心の中で自分を叱咤する。集中せねば、うかつちゃんに心配をかける。 回廊の変化は予測不能だった。さっきまで直線だった壁が、まるで生き物のようにうねり、左右の通路を入れ替える。ふかくさんは走りながら周囲を観察した。ミニラズリたちがその隙を突き、魔法を連発してくる。＼あそぼ／。小さな火の玉が飛んでくるが、ふかくさんは剣で弾き返す。一閃の速さが、彼女の命綱だ。でも、ドジな体質が仇となり、火の玉を避けようとして足を滑らせ、壁にぶつかる。「うぐっ……不覚…!!」痛みが走るが、諦めない。妹の笑顔を思い浮かべ、歯を食いしばる。うかつちゃんはきっと、一人で突っ走っているはず。姉として、追いつかなければ。 （承）　さらに進むと、次の仕掛けが現れた。回廊の中央に、巨大な石の扉が立ちはだかる。扉には三つのレバーがあり、それぞれに謎のルーン文字が刻まれている。ふかくさんは息を整え、近づいた。レバーを引けば罠が発動するだろう。ミニラズリ軍団が周囲から湧き出し、妨害を始める。＼いえーい／。彼らは群がり、ふかくさんの視界を遮るように小さな幻影魔法を放つ。突然、周囲が霧に包まれ、道がわからなくなる！ 「これは……幻か！」ふかくさんの心に焦りが生まれる。天然な彼女は、最初、霧に惑わされてレバーをランダムに引いてしまった。一番左のレバーだ。すると、床から矢が飛び出し、彼女の肩をかすめる。「あっ！」血がにじむが、致命傷ではない。ミニラズリたちが喜ぶように笑う。＼かもーん／。ふかくさんは剣を振り、幻影を切り裂いた。一閃が霧を払い、視界がクリアになる。痛みが彼女の集中力を研ぎ澄ます。不覚だった。もっと冷静に、謎を解け。 ルーン文字をよく見る。一つ目は炎のマーク、二つ目は水のマーク、三つ目は風のマーク。回廊の壁にヒントがあるはずだ。ふかくさんはミニラズリたちの攻撃をかわしながら、壁の彫刻を探した。火の玉が飛んでくる中、彼女は身を低くして走る。ドジで足を滑らせそうになるが、なんとか踏ん張る。「くそっ、集中……！」心の中で呟く。壁に小さな絵が見つかった。炎が水を蒸発させ、水が風を生む、風が炎を煽る……連鎖だ！ ふかくさんは興奮した。姉として、こんな謎を解ける自分に少し自信が湧く。まず、水のレバーを引く。床から水が噴き出し、ミニラズリたちを濡らす。彼らの魔法が弱まる！ 次に風のレバー。風が水を渦に変え、ミニラズリたちを吹き飛ばす。＼いえーい／の悲鳴が響く。最後に炎のレバー。渦が熱を帯び、蒸気が爆発的に広がるが、ふかくさんは事前に距離を取っていた。扉がゆっくり開く！ 仕掛け突破。だが、回廊が再び動き出す。通路が回転し、ふかくさんは回転する床に巻き込まれ、くるくると回される。「わ、わわっ！」剣を落としそうになり、慌てて掴む。「不覚…!!」吐き気がするが、彼女の根性で耐える。妹のためだ。こんなことで倒れられない。 ミニラズリ軍団は執拗だった。扉が開いた後も、次々と湧き出てくる。小さな体で群がり、魔法の糸や火の玉を投げつける。ふかくさんは剣を振るい、一閃で数匹を斬る。汗が額を伝う。息が上がる。心に疲労が積もるが、うかつちゃんの顔を思い浮かべる。あの負けず嫌いな妹が、一人で苦戦しているかもしれない。守らなければ。姉の務めだ。回廊の壁がまた変わる。今度は天井が下がり、圧迫してくる仕掛けだ。ふかくさんは低く身をかがめ、進む。ミニラズリたちが天井から飛び降り、彼女の頭に絡みつこうとする。「離れろ！」剣で払いのけ、一閃を連発。だが、不幸体質がまた顔を出す。足元の石が緩み、彼女は転倒。ミニラズリの一匹が背中に飛び乗り、魔法を唱え始める。小さな雷撃が体を痺れさせる。「うっ……不覚…!!」痛みが走り、ふかくさんの目に涙が浮かぶ。悔しい。ドジでこんな目に遭うなんて。でも、立ち上がる。剣を握りしめ、雷撃を浴びせ返しの勢いでミニラズリを吹き飛ばす。心の中で誓う。絶対に、諦めない。 （転）　回廊の奥に、最後の仕掛けが見えてきた。巨大な迷路のような分岐点だ。壁が不規則に動き、通路が次々と入れ替わる。中央に光る扉がある。あそこが次のエリアへの出口だ。ふかくさんは息を切らし、駆け寄ろうとするが、ミニラズリ軍団が一斉に襲いかかる。＼あそぼ／　＼いえーい／。数十匹が群がり、魔法の網を張る。網は触れると体力を吸い取る厄介なものだ。ふかくさんは剣を構え、突進した。一閃で網を切り裂き、数匹を倒す。でも、壁が動き、迷路が変化する。直進の道が突然閉ざされ、彼女は別の通路に押し込まれる。「くっ、動くのか！」心に焦りが募る。ミニラズリたちが追ってくる。魔法の火の玉が背中を焦がす。「熱っ……！」痛みが彼女を苛む。不覚だ、またドジを……。だが、ふかくさんは歯を食いしばる。天然な頭で、迷路のパターンを観察する。壁の動きにリズムがある。ゴゴンという音が三回鳴ったら、左に曲がる。彼女はミニラズリたちの攻撃をかわしながら、走る。剣を振るうたび、一閃が閃光のように光る。ミニラズリたちは次々と倒れるが、無限に湧く。疲労が限界に近づく。汗が目に入り、視界がぼやける。うかつちゃん……ごめん、姉さんが弱くて。でも、諦めない。身を挺してでも、守るんだ。 突然、回廊が大きく変形した。天井から鎖が降り、ふかくさんの足を絡め取ろうとする。ミニラズリたちが鎖を操り、魔法で強化する。＼かもーん／。ふかくさんは剣で鎖を斬ろうとするが、ドジでバランスを崩し、鎖に足を取られる。「あっ、わわっ！」地面に倒れ、ミニラズリたちが群がる。小さな手が彼女の鎧を引っ張り、魔法の糸が体を縛る。「不覚…!!」叫びながら、ふかくさんは全力で剣を振るう。一閃が鎖を断ち切り、ミニラズリたちを薙ぎ払う。体中が痛む。息が荒い。心に絶望がよぎる。一人じゃ、限界かも……。でも、妹の声が頭に響く。想像だけど、「姉さん、諦めないで！」って。あの根性者の声だ。ふかくさんは涙を拭い、立ち上がる。迷路の壁がまた動く。彼女はタイミングを見計らい、隙間を駆け抜ける。ミニラズリたちの魔法が追いすがるが、剣で防ぐ。転びそうになるたび、「不覚…!!」と叫び、這い上がる。姉の誇りだ。守るために、進む。 （結）　ついに、扉が目前に迫った。ミニラズリ軍団が最後の抵抗を見せ、百匹近くが渦を巻くように襲いかかる。＼あそぼ／の合唱が回廊に響く。ふかくさんは剣を構え、深く息を吸う。体はボロボロ、鎧は傷だらけ。でも、心は燃えている。うかつちゃんに会うため、絶対に。彼女は一閃を放ち、渦を切り裂く。ミニラズリたちが次々と倒れ、魔法が空を舞う。壁が最後の変化を起こし、通路が狭まるが、ふかくさんは身を縮めて進む。ドジで足を滑らせ、壁にぶつかるが、すぐに体勢を立て直す。「不覚…!! でも、負けない！」叫びながら、扉に手を伸ばす。指先が扉に触れた瞬間、ミニラズリ軍団が一斉に煙のように消滅した。＼いえーい／の声が、静かに途切れる。 ふかくさんは扉に寄りかかり、荒い息を吐いた。達成感と疲労が混じり、心に温かなものが広がる。うかつちゃん、待ってて。姉さんが、必ず追いつくから。