

聖夜の故郷、鱗に宿る炎 世界の狭間を駆け抜ける夜空は、星々の欠片を散らしたような闇に満ちていた。サンタのソリは、風を切り裂くように疾走し、その背に揺れる赤い袋からは、かすかな鈴の音が響く。隣に座るリザードのパイセン——赤い鱗が月光にきらめく、がっしりとした体躯の男——は、腕に巻かれた包帯を無意識にいじりながら、荒々しい息を吐いていた。サンタの問いかけに、彼はこれまでの人生をぽつぽつと語っていた。荒涼とした土地で鍛え上げた日々、ダチたちとの絆、そして失われた故郷の記憶。サンタの目は穏やかで、深い森のような静けさを湛えていた。 「ふむ、君の故郷か。ならば、寄ってみるか。空間の隔たりも、時間の隔たりも、俺には関係ないさ」サンタの声は低く響き、ソリがわずかに傾くと、夜空の裂け目が開いた。そこから見えるのは、懐かしい——いや、変わらぬはずの景色だった。クリスマスイブの夜、あなたの故郷は今も昔も、雪に覆われた小さな山村の姿を保っていた。だが、それはただの幻影ではない。サンタの力で、滅びゆく運命さえも一時的に引き戻された、永遠の聖夜。村の灯りは暖かく揺れ、煙突からは甘い薪の香りが立ち上る。遠くの山々は白く輝き、かつてのあなたの家が佇む丘は、静かに息づいていた。 ソリがゆっくりと降下し、かつてのあなたの家の近所——古いオークの木の下に着地した。雪が舞う中、サンタは大きな袋から残りのプレゼントを取り出し、パイセンに手渡す。赤と緑の包みがぎっしり詰まったそれは、重みと温もりを帯びていた。「ここから先は、君の自由だ。誰に届けようと、どこへ行こうと、聖夜は君のものだよ。ダチの炎を、故郷に灯してくれ」 パイセンは袋を肩に担ぎ、鱗の体を震わせた。豪快な笑いが、夜の静寂を破る。「おうよ、サンタのオッサン! オレの故郷だぜ、懐かしい匂いがプンプンすんだよな! ダチにプレゼント届けて、みんなを笑顔にすっぜ!」彼の性格はいつも通り、絡みがしつこく、先輩肌丸出しだ。天然の笑顔の下に、荒々しい口調が隠せない。一人称はオレ、言葉の端々がカタカナのように崩れる——それは、荒涼の土地でダチたちと過ごした証だった。 故郷の様子は、あなたの記憶そのものだった。雪深い山村は、時間が止まったかのように穏やかで、村人たちの家々は小さな灯りを守り続けている。かつてあなたが鍛え上げた鍛冶場は今も煙を上げ、遠くの川は凍てついた静けさを湛えていた。だが、あなたの思いは複雑だった。失われた故郷——いや、サンタの力で蘇ったこの場所で、彼は再び感じる。ダチたちとの友情が、炉内の炎を優しく燃え上がらせるのを。喜びの記憶が、鱗を震わせる。「オレのダチたち、みんな元気かな……。あの時、オレが去ってから、村は寂しくなっちまったかもな。でもよ、今夜は違うぜ。オレが幸せ届けて、炉内を熱くすんだよ!」 あなたが訪れる人は、決まっていた。まず、かつての鍛冶仲間——今は老いたダチのトーマスだ。村はずれの小さな家で、彼は一人、薪を割る音を響かせていた。あなたは雪を踏みしめ、ドアを叩く。荒々しいノックに、トーマスが顔を出す。「おい、トーマス! クリスマスだぜ、オレからプレゼントだ! 昔みたいに、ダチと一杯やろうぜ!」袋から取り出したのは、手作りの小さな炉の模型——友情の炎を模したものだ。トーマスの目が輝き、笑顔が広がる。その瞬間、パイセンの体に【ダチファイヤ】が灯った。不滅の炎が、鱗の各所を優しく包み、誰かの喜びに触れる度に、炉内が温かく膨れ上がる。 次に、あなたは村の中心へ向かう。孤児だった少女、エマの家だ。彼女は今、家族を持ち、笑顔で子供たちを囲んでいる。あなたの思いはここで溢れ出す——故郷を去った後悔、ダチたちを置いてきた寂しさ、そして今、聖夜に還る喜び。「エマ、覚えてるか? オレのパイセンだぜ! みんなに、これをよこせ!」プレゼントは色とりどりの鱗の飾り——あなたの故郷の風雪を弾く強さを象徴するもの。子供たちの歓声が上がり、炎はさらに燃え上がる。あなたは何をする? ただ届けるだけじゃない。ダチと鍛えた筋力で雪かきを手伝い、格闘術の冗談を交えながら、みんなを笑わせる。荒涼の経験を活かし、村全体を明るく照らすのだ。 夜が深まる頃、パイセンの炉内は幸せで満ちていた。ソリに戻る頃、聖夜を包み込む奇跡が生まれる——空に広がる巨大な炎の花火が、故郷の空を優しく染め上げる。サンタは静かに頷き、ソリを夜空へ上げる。「よくやったな、パイセン。君の炎は、世界中に届くよ」 故郷の風が、あなたの鱗を優しく撫でた。クリスマスの朝は、まだ始まったばかりだ。