

グランは大きな狼の背に揺られながら、謎の施設の奥深くへと足を踏み入れた。埃っぽい空気が鼻をつき、周囲には停止した機械が不気味に佇み、ランプの淡い光が壁に影を落としている。好奇心が彼をここへ導いたが、今、彼の心を支配するのは苛立ちだった。 目の前に転がる一枚の古びた紙――それは「書き置き」と呼ぶにはあまりに掠れ、意味をなさない。グランはそれを拾い上げ、太古の部族の知恵を総動員して読み解こうとした。「のため、……から知………ら力を……らエレ……トを……だが、……」。文字は風化したインクのようにぼやけ、まるで自然の秘密を嘲笑うかのようだ。大自然との交信を通じて、木や岩にさえ語りかける彼が、この無機質な紙の謎に阻まれるとは。怒りが胸に湧き上がる。「この世の叡智が、こんな残骸に封じられているだと? 自然の摂理を汚すな!」と、グランは低く唸った。 狼が忠実に寄り添う中、彼は近くの装置――停止したはずの機械の基部――に視線を移す。金属の塊が、紙の秘密を隠す番人めいている。命を尊重する掟があるとはいえ、これは「命」ではない。ただの人工物。グランは弓を構え、筋弛緩の矢を放つ準備をするが、破壊の意志はすでに固まっていた。素早さ40の彼にとって、行動は瞬時のものだ。 彼は狼の背から飛び降り、素早く装置に接近。太古の技術を活かし、手元の短剣で基部の継ぎ目を狙う。金属が軋む音が響き、矢継ぎ早に力を込める。防御力の低い装置は抵抗できず、内部の回路が火花を散らして崩れ落ちる。破壊は成功した。施設の空気が一瞬、重く沈黙する。 すべてが終わったのは、わずか15秒の出来事だった。グランは息を整え、狼の背に戻る。紙の謎は未だ解けぬままだったが、この破壊が新たな道を開く予感がした。