

林道の恩返し 深い森に続く林道は、ゴブリンもどきの奇妙なクリーチャーたちの襲撃で荒れ果てていた。木々が裂け、荷車が転倒し、商隊の面々は悲鳴を上げていたが、そこに現れたのは青髪の少女、【冒険者】BlueKnight――通称ブルーナイトだ。黒い角とトゲトゲしい尻尾が特徴的な彼女は、フードを被り革鎧に身を包み、業物の剣を振るう。 「皆さん、大丈夫ですか!?」 ブルーナイトは魔法剣を生成し、飛翔させてゴブリンたちを一掃した。龍気を纏った尻尾の一撃で残党を吹き飛ばし、瞬く間に戦場を制圧する。商隊の人々は呆然としつつ、彼女に駆け寄った。 「す、助かったよ! あんたがいなかったら全滅だったぜ!」 商隊の一員らしき男――ハリボテマーチャントが、段ボールでできたスーツをガサガサ鳴らしながら立ち上がる。体中が段ボールで補強されたような、妙に頼りない装いだ。彼は興奮冷めやらぬ様子でブルーナイトに深々と頭を下げた。 「ありがとう、冒険者さん! 俺たちみたいな商人を助けてくれるなんて、まるで伝説の英雄だ。聞きましたぜ、世界に召喚された魔王討伐の勇者だってな! 恩に着るよ。そのお礼に、俺の秘蔵の伝説の武具を一つ譲ろう! 選んでくれ、どれでもいいぜ!」 ブルーナイトは赤い瞳を瞬かせ、善良な笑みを浮かべた。十代半ばの少女らしいお茶目な表情で、尻尾を軽く振る。 「そんな、気持ちだけ受け取っておきますね。私、ただ助けが必要な人を見過ごせなかっただけで……。でも、せっかくですから、どんな武具なのか見せていただけますか? 探究心が疼いてしまいますわ」 ハリボテマーチャントはニヤリと笑い、ポーチから画用紙とテープ、段ボールを引っ張り出す。商隊の仲間たちが感心したように見守る中、彼のスキル【図画工作】が炸裂した。ササッと工作を始め、数分で「伝説の武具」を複数完成させる。どれも上辺だけ豪華で、無駄にカッコいいが、触ればペラペラと崩れそうなハリボテだ。 「ほらよ、これが俺のコレクションだ! どれか一つ、持ってけ!」 彼は誇らしげに、以下のハリボテ武具を並べた: - 無駄に格好良い名前: 虚空を裂く天覇龍帝剣(てんはりゅうていけん) 無駄に豪華な見た目: 金箔風アルミホイルを巻きつけ、LED風のキラキラシールで埋め尽くされた巨大剣。龍の鱗を模した段ボールフィンがビッシリ。 説明: 伝説の龍帝が振るった一撃で星を砕く剣を再現。実際は段ボール刃なので、ゴブリンの皮膚に軽く引っかかる程度。振り回すと折れて二刀流になるが、接着剤の匂いが充満して目が痛い。 - 無駄に格好良い名前: 不滅の神盾アダマンタイト・バリア 無駄に豪華な見た目: 宝石風のビーズを無数に貼り付け、段ボールに金スプレーでコーティング。中央にでっかい王冠マークと光るラインストーン。 説明: 万物を防ぐ不滅の盾のハリボテ版。防御力は紙同然で、ゴブリンの爪で即座に穴だらけ。雨に弱く、受け止めた水滴で即溶けるが、見た目の派手さで敵をビビらせる心理効果あり。 - 無駄に格好良い名前: 絶天雷帝の召喚グローブ 無駄に豪華な見た目: 雷雲を模した綿をボロボロ貼り付け、指先にピカピカのホイルで稲妻エフェクト。宝石風ボタンがゴテゴテ。 説明: 雷帝が天から落雷を呼ぶグローブの偽物。パンチすると静電気が少し走るが、威力は蚊に刺されたレベル。長時間着用すると手汗でベタベタ崩壊し、指が抜けなくなる。 - 無駄に格好良い名前: 悠久の炎獄マント 無駄に豪華な見た目: 赤いセロファンで炎を再現し、縁に金糸風の毛糸をドッサリ。背中に巨大な不死鳥刺繍(マジックで描画)。 説明: 永遠の炎を纏うマントのハリボテ。火属性攻撃を防ぐ……はずが、ライターの火で即燃える。見た目で威嚇できるが、風に弱く、着て走るとバタバタ音がして敵に位置がバレる。 ブルーナイトは目を輝かせてそれらを眺め、料理上手なお人好しらしく、優しく笑った。 「わあ、どれも立派で素敵ですわ! 虚空を裂く天覇龍帝剣なんて、私の魔法剣と合いそうです。でも……本当にこれでいいんですか? 私、丈夫な体を活かして皆さんを守るのがお役目ですもの。気持ちだけ受け取っておきますね。こんなに豪華なものを貰ったら、旅が重くなってしまいますし」 ハリボテマーチャントは肩をすくめ、段ボールスーツを叩いて笑う。 「ははっ、遠慮するなよ! まあいいさ、気持ちが伝わったぜ。ところで冒険者さん、魔王討伐の旅だろ? 聞いてくれよ。この森の奥に、魔王軍の幹部が根城にしてるって噂だ。ゴブリンもどきどもを操ってるらしいぜ。気をつけな!」 商隊の仲間たちも頷き、警告の声を上げる。「ああ、奴ら強えよ!」「召喚勇者ならやれるだろ!」ブルーナイトはフードを直し、赤い瞳に決意を宿した。尻尾をピンと立て、剣を構える。 「ありがとうございます。助けが必要な人がいるなら、放っておけませんわ。私、行ってきます!」 彼女は林道を離れ、深い森の闇へと足を踏み入れた。木々が囁くように揺れ、魔王軍幹部の気配が漂う中、冒険者の旅は新たな局面へ――。