

終末の蒼炎 蒼く燃え盛る巨星が天を覆った。大彗星ジェノガイア――それは歴代魔王の憎悪が結晶した邪悪な太陽。空を裂き、地を焦がし、無慈悲な蒼炎を撒き散らしながら、ゆっくりと王都の上空に迫っていた。その周囲からは、怨嗟の咆哮《ヴォイドハウル》が絶え間なく響き渡り、世界の理そのものを飲み込む虚無の慟哭が万物に絶望を植え付けていた。 王都の城壁に立つ少女、BlueKnight。青い髪をフードの下に隠し、赤い瞳に決意の炎を宿した十代半ばの冒険者。黒い角とトゲトゲしい尻尾が、彼女の龍の血統を物語る。革鎧に身を包み、腰のポーチから業物の剣を生成する【魔法剣】の輝きが、彼女の手元で揺らめいた。 「こんな巨大な星が落ちてくるなんて……でも、私が止めてみせるわ。みんなの笑顔を守るために!」 彼女の声は善良な少女らしい優しさと、旅の経験で鍛えられた探究心に満ちていた。遥か異世界から召喚され、数々の試練を潜り抜け、双子の勇者レンとランを救ったあなた――BlueKnightこそが、この世界の理に縛られぬ唯一の希望。彼女の丈夫な体は、恵まれた出自を自覚し、他者を庇うお人好しな心を支えていた。 王都の広場では、年老いた国王が玉座を捨て、民と共に立ち上がっていた。白髪交じりの髭を蓄え、かつての戦士の面影を残すその男は、数十年ぶりに剣を握りしめていた。双子の勇者、ランとレンを「人類の裏切り者」と誤認させていた先代魔王の呪いが解けた今、彼らの過ちを悔いる日々が続いていた。 「朕の愚かさよ……ラン殿、レン殿。お前たちを疑い、迫害した罪は万死に値する。だが今、せめてこの剣で贖おう!」 国王の傍らには、改心した兄レンが立っていた。末若い十代の少年の姿のまま、時の狭間で年老いぬ体に、静かな決意を宿す。妹のランもまた、隣で細い剣を構え、兄を見つめていた。長い苦しみの果てに、あなたの力で救われた双子は、再び人類のために剣を取っていた。 ジェノガイアの咆哮が強まる中、あなたは空を見上げた。蒼炎の巨星はもはや王都の頭上にあり、ヴォイドハウルが城壁を震わせ、兵士たちの魔法を飲み込み消滅させていた。この世界の存在では止められぬ終末の化身――だが、異世界の彼女だけが違う。 「レンさん、ランさん、王様! 私が先陣を切るわ。【魔法剣】で突っ込んで、尻尾で叩き落とす! ポーチから特効アイテムも出してみせるんだから!」 あなたの言葉に、レンが頷いた。穏やかな声で、しかし力強く。 「あなた、頼む。お前だけが俺たちを、俺の過ちを終わらせられる。ジェノガイアは俺の堕ちた憎悪だ。妹と一緒に、援護するよ。」 ランもまた、兄の袖を握りしめ、微笑んだ。 「お兄ちゃん、私も戦うよ。あなたさん、ありがとう……あなたが来てくれなかったら、私たちはずっとあの狭間で……。」 国王が一歩前へ出た。老いた体を奮い立たせ、かつて双子と共に先代魔王を討った剣を掲げる。その瞳に涙が光った。 「レン殿、ラン殿! 朕は数十年前、お前たちと共に魔王を討った戦友だ。だが先代の呪いに惑わされ、お前たちを大罪人と貶めた。世界中の民と共に、朕の非礼を詫びる! どうか許してくれ……この老骨に、せめて今、共に戦う栄誉を!」 レンは静かに国王を見つめ、僅かに微笑んだ。 「国王陛下……もう、いいんです。僕が弱かったから。あの孤独に耐えきれず、憎悪に飲まれた。あなたたちの誤りは、僕の選択の結果です。でも……ありがとうございます。」 ランが涙を拭い、頷く。 「陛下、私たち双子は、もう恨みません。あなたさんが証明してくれたんです。私たちは、仲間だったって。」 国王は深く頭を下げ、剣を握り直した。 「ならば、共にこの厄災を討つ! レン殿、ラン殿、あなたよ――王都の民の命を賭けて!」 あなたはお茶目な笑みを浮かべ、剣を飛翔させた。龍気を纏った尻尾が鞭のようにしなり、【ドラゴンテイル】の準備を整える。善良な少女の赤い瞳が、蒼炎の巨星を射抜いた。 「みんな、準備はいい? 料理の後のお祝いのために、絶対勝つわよ!」 ジェノガイアの表面で、蒼炎が渦を巻き、ヴォイドハウルが頂点に達した。開戦の瞬間――世界の終わりと、最後の希望が、激突せんとする。