

影と革命の邂逅 ぬめぬめとした闇に包まれ、巨大な烏賊鮫の体内は異界めいていた。粘液の海に沈むリカントロープは、黒髪を濡らし、筋肉質の2mの巨躯を沈黙させて漂っていた。帷の守護者たる彼の影は、なお絶対的な反射を湛え、微動だにしない。月光なきこの深淵で、危機感知の直感が鋭く鳴り響く。 突然、光輝く黄金帯が虚空を裂き、リカントロープを絡め取った。★天の羽衣──革命軍人ヤマトットの切り札だ。古代文明の甲冑を纏った魔人の姿が現れ、黄金帯は攻撃を吸収しつつ敵を拘束する如く、リカントロープを優しく引き寄せる。 「見事な耐久力だな、旅人。烏賊鮫の胃袋に飲み込まれても、平気な顔とは。革命軍キャンプへようこそ。ここは魔物の体内だが、俺たちの砦だ」 ヤマトットは豪快に笑い、甲冑の肩を叩く。リカントロープは静かに立ち上がり、黒い瞳で相手を見据えた。 「私を……助けてくれたのは、きみか。ヤマトット。礼を言う。世界の危機に召喚された旅人、リカントロープだ。魔王討伐の依頼を受け、ここまで来た」 ヤマトットは頷き、退魔刀コウィンを腰に封印したまま、キャンプの焚き火を指す。革命軍の兵士たちが周囲を取り囲み、烏賊鮫の体内で簡易砦を築いていた。粘液の滴る壁に囲まれ、空気は重く湿る。 「ハハッ、礼なんかいらん。この烏賊鮫は魔王軍の斥候を追って俺たちを飲み込んだんだ。体内は狭いが、革命軍の拠点としては悪くない。食料は魔物の粘液を濾過して確保し、水は内臓の分泌液だ。息苦しいが、魔王軍の追っ手から隠れるには最適さ。きみも魔王討伐の旅人か? 心強い。俺たちと組まんか?」 リカントロープは朴訥に頷く。寡黙な声に敬意が滲む。「了解した。きみの軍と共に戦おう。この帷の守護者たる私に、できることがあれば」 ヤマトットは満足げに笑ったが、その笑顔は直後に凍りつく。キャンプの外縁──烏賊鮫の粘膜壁が震え、魔王軍の咆哮が響き渡った。黒い影の兵士どもが、鋭い爪を剥き出しに侵入してくる。数十の魔物が一斉に襲いかかり、革命軍の兵士たちが慌てて武器を構える。 「魔王軍の襲撃だ! 全員、陣形を組め! 旅人、力を貸せ!」 ヤマトットが叫び、★天の羽衣を展開。黄金帯が魔王軍の先鋒を吸収し、カウンターで拘束する。リカントロープは即座に動いた。予知の瞳が閃き、影牢を放つ。影が魔物の足を絡め取り、絶対的な反射の帷が敵の攻撃を跳ね返す。爪も牙も、すべてがリカントロープの影に飲み込まれ、無力化される。 「きみたちを守る……影の名の下に」 リカントロープの声は冷静だ。一体の巨魔が跳躍し、炎の息を吐くが、影槍がそれを貫き、月の祝福で傷を癒す革命軍兵士たち。ヤマトットは退魔刀コウィンを封印したまま、甲冑の拳で敵を薙ぎ払う。 「やるな、旅人! あの反射……魔王軍の猛攻すら寄せ付けん!」 戦いは激化した。魔王軍の指揮官格──角を生やした巨漢が現れ、毒霧を撒き散らす。リカントロープの神代結界が発動し、空間を帷子で覆う。毒は反射され、敵味方の区別なく魔王軍を蝕む。ヤマトットが天の羽衣で巨漢を拘束し、リカントロープの影槍がその急所を射抜く。 「終わりだ……」 巨漢が倒れ、魔王軍は混乱に陥る。残党は烏賊鮫の体内を這うように撤退し、静寂が戻った。革命軍の兵士たちが歓声を上げる。 「見事だ、ヤマトット様! そして旅人!」 ヤマトットは汗を拭い、リカントロープに握手を求める。「助かったぜ。きみの影は不壊の要塞だ。魔王軍の総力戦が近い。一泊して体力を回復しよう。明日、烏賊鮫を脱出して本拠地へ向かう」 リカントロープは静かに頷き、焚き火の傍らに腰を下ろす。「承知した。きみと共に、魔王を討つまで」 夜が更け、烏賊鮫の体内で二人は語らう。革命の炎と影の帷が、静かに総力戦への備えを固めていた。月なき深淵で、守護者と革命軍人の絆が芽生える──。