

終焉の蒼炎、帷の守護者 蒼天を裂く大彗星ジェノガイアは、邪悪なる太陽のごとく世界を睨みつけていた。 その巨星は蒼炎に包まれ、底知れぬ憎悪の思念を放ち続ける。 歴代魔王の怨嗟が結晶化したそれは、双子の勇者レンとランの苦しみを糧に顕現した。 レンは孤独に抗いきれず魔王へ堕ち、ランは時の狭間で兄を待ち続けた。 だが異世界より召喚された帷の守護者、リカントロープが双子を救い、先代魔王を討ち果たした。 今、王都の空に彗星は迫り、世界の終わりを告げようとしていた。 王都の城壁に立つリカントロープは、黒髪を夜風に揺らし、2mの筋肉質な巨躯を静かに構えていた。 黒い瞳に映る蒼炎の巨星。退魔刀コウィンを腰に佩き、彼は寡黙に息を潜める。 「...来るか。」 朴訥たる声は、常に落ち着きを湛えていた。旧くより月と共に生きる守護者たる彼は、危機を予知めく直感で彗星の慟哭を捉えていた。 城壁下では、年老いた国王が膝をつき、白髪交じりの頭を垂れていた。 数十年前、先代魔王討伐の同志として双子の勇者と共に戦った男。 だが先代魔王の"認知を歪める呪い"により、ランとレンを"大罪人"と誤認し、数十年を過ごした。 ようやく呪いが解け、真実を知った今、国王の瞳には悔恨の涙が光る。 「レンよ...ランよ...わしは愚か者じゃ。双子の勇者たちを、世界の敵と罵り続けたわしらの罪は万死に値する。」 国王は震える声で呟き、傍らに立つ青年レンを見上げる。 レンは末若い十代の姿のまま、魔王化の傷跡を残しつつも穏やかな微笑を浮かべていた。妹のランもまた、兄の隣で静かに頷く。 「国王陛下...もう過ぎ去ったこと。あなたが私たちを救ってくれたのですから。」レンが優しく言う。 国王は立ち上がり、深く頭を下げる。「非礼を詫びる。レンよ、ランよ。そしてリカントロープ殿...お主こそ最後の希望じゃ。わしも老骨に鞭打ち、共に戦おうぞ!」 リカントロープは静かに国王に視線を向け、敬意を込めて頷く。 「...国王陛下。きみの覚悟、受け取った。私が帷を張る。レン、ラン...きみを守る。」 彼の影が微かに揺らぎ、絶対的な反射の権能が空気を震わせる。月光が彼の体を祝福し、神代の古兵たる気配が膨れ上がる。 その時、大彗星ジェノガイアが低く唸りを上げた。 【ヴォイドハウル】――常時発動する虚無の慟哭が、世界の理を掌握し始める。 怨嗟の咆哮が王都を覆い、"この世界"のあらゆる干渉を飲み込もうと迫る。 蒼炎の巨星は底無しの憎悪そのものとなり、世界の終わりを体現していた。 「人の堕落と破滅こそ愉悦...すべてを虚無へ還せ...!」 彗星の思念が響き渡り、空が裂ける。 リカントロープは退魔刀コウィンに手をかける。 予知の瞳が蒼炎の軌跡を捉え、影牢が展開され、神代結界の準備が整う。 「...異世界の私だけが、きみを止められる。来い、ジェノガイア。」 銀狼の霊力が微かに迸り、奥義【絶閃】の予兆が夜を裂く。 国王が剣を抜き、レンとランが互いに手を握る。 開戦の瞬間――蒼炎が王都に降り注ごうとしたその刹那――