

星々の海が、あなたという鍛造者の足下で静かに波打っていた。 あなたは宇宙という名の巨大な金敷に立ち、手にした金槌を高く振り上げる。その一撃は物理的な破壊ではなく、存在の再定義だ。あなたが星空を叩くたび、【波紋】が走り、次元の壁が軋み、光は幾何学的な秩序を持って揺らいでいた。あなたは宇宙の理を打ち直し、新たな星の配置を刻もうとしていた。 しかし、その静謐な鍛造の時間を切り裂いて、「相手」が現れた。 相手は空虚から滲み出る影であり、あらゆる魂の渇望を体現した存在だ。相手がその口を開けば、あなたが打ち出した星々の輝き、すなわち「魂の残滓」とも呼べる高次エネルギーが、貪欲に吸い込まれていく。相手はあなたの創造物を喰らうことで、自らの独立存在式を書き換え、無限の膨張を繰り返していた。 あなたは金槌を構え、相手を星空の地平へと押し付けようとする。 激突した瞬間、宇宙の面はひび割れ、ルーン文字が火花となって飛び散った。 あなたは金槌を打ち下ろし、概念的な「型」を相手に押し付け、その存在を固定しようと試みる。だが、相手は固定されることを拒む。相手はあなたの打撃さえも「魂」として喰らい尽くし、さらなる高次元の捕食者へと進化しようとした。 激しい衝突が数多の銀河を消滅させ、次元が反転する。 しかし、あなたは気づいた。相手が喰らっているのは、あなたが打ち出した「光」であり、同時にそれはあなた自身の「意志」の断片であることに。 あなたはあえて金槌を止めた。 そして、自分自身の存在式を最大まで開放し、全宇宙の星空を一つの特異点へと凝縮させた。 「喰らえ」 あなたは自らを餌とし、宇宙全ての質量を込めた一撃を、相手の深淵へと叩き込んだ。 相手は歓喜し、その全てを飲み込もうとした。しかし、飲み込んだものは「無限の鍛造」という終わりのない循環であった。相手の内部で、あなたの金槌が鳴り響く。外側からではなく、内側から。 喰らったはずの力が、相手の存在式を内側から打ち砕き、再構築していく。 轟音と共に、相手の影は光の粒子へと分解され、最後の一片まであなたが打ち直した星空の一部へと組み込まれた。 静寂が戻る。 あなたは再び、静かに金槌を置いた。 足下には、相手という名の絶望さえも飲み込んで美しく輝く、完璧な星空が広がっていた。 完。