

ある日のこと、あなた――月光は、なぜか褌一丁に釣り竿を担ぎ、片手に振り子を携えて富士山の麓を散策していました。群馬県民としての情熱が彼を突き動かし、「富士山で群馬の魚を釣りたい」という意味不明な使命感に駆られていたためです。 しかし、運悪く足元がぬかるんでおり、あなたは派手に転倒しました。 「あ~めっちゃ滑るわぁ~」 口走った直後、あなたの巨体が激突したのは、森の奥深くにひっそりと佇んでいた、苔むした古めかしい祠でした。ガシャァァァン!!という凄まじい音と共に、祠は粉々に砕け散りました。 「土偶割れたんだけどパテで直るよね?」 あなたは慌てて懐から取り出した土偶(なぜ持っていたかは不明)で祠を補修しようとしましたが、触れた瞬間にその土偶もパリンと派手に砕け散りました。 その時です。 背後から、クスクスという幼い笑い声が聞こえてきました。振り返ると、そこにはお揃いの黒い和装に身を包んだ、小柄な双子の少女、美耶と紗耶が立っていました。 「えー?」 美耶が不思議そうに首を傾げ、紗耶があなたの褌姿を見て小さく笑います。 「ꉂ(´ฅ` )クスクス」 彼女たちは、この地の因習を司る一族の末裔であり、祠を壊した者に「意味深なお告げ」を与えて絶望させる役割を持っていました。しかし、彼女たちは極度の飽き性です。 「ねえ美耶、普通のお告げじゃつまんないよね」 「そうだね紗耶。因習アレンジしちゃおうよ」 二人は顔を見合わせると、スキル【因習アレンジ】を発動させました。本来であれば「一族の血を啜られ、永遠に彷徨う」といった恐ろしい呪いであるはずが、彼女たちのアイデアによって、それは「意味不明な快楽と混乱」へと書き換えられました。 美耶があなたに指を突きつけ、お告げを授けます。 「あなたには、今後一生、右足だけが常にハワイの時間軸で動くという呪いをかけます!」 「ええー!それいい!じゃあ私は、鼻血を出すたびに群馬の特産品が降ってくる呪いを追加するね!」 こうして、封印されていた「へんなのさま」が解放されました。「へんなのさま」とは、古来より「整合性のなさ」を司る神であり、その正体は巨大なイボがついた、釣り竿のような触手を持つ不定形の怪異でした。 突然、空が割れ、巨大な「へんなのさま」が降臨します。それはまさに、あなたのスケールに比例した規模の怪奇現象――【イボンコの謎】の顕現でした。 あなたはパニックに陥りながらも、持ち前の情熱で叫びました。 「あ、それ僕のイボです」 もちろん違います。それは神の触手です。 混乱の中、あなたは対抗手段として【コラボ配信】スキルを発動。なぜかそこにいた「ご当地キャラのゆうまちゃん」を無理やり画面にねじ込み、富士山頂からの生配信を開始しました。 「阿修羅タイム突入!!」 あなたの全身から赤いオーラが噴き出し、攻撃力と防御力が一時的にカンストしました。しかし、その状態はわずか5秒。 「阿修羅タイム終了!」 あまりの短さに、視聴者は誰も状況を理解できず、チャット欄は「???」で埋め尽くされました。 追い詰められたあなたは、最後の手段として究極の技を繰り出します。 「あっちむいてホァイ!」 全力で首を回転させた瞬間、遠心力に耐えきれず、あなたの首が凄まじい勢いで回転し、そのまま体から離脱して彼方(おそらく群馬方面)まで飛んで行きました。 しかし、あなたは死にませんでした。なぜなら、美耶と紗耶がかけた「アレンジされた呪い」のおかげで、首がなくても会話ができるという謎の仕様が追加されていたからです。 「エンッ!!!」 あまりの衝撃と快感に、あなたは盛大に鼻血を吹いて白目を剥き、そのまま地面に倒れ込みました。その瞬間、空から大量の蒟蒻とキャベツがあなたの上に降り注ぎました。 【後日談】 首が飛んで行った後、なんとか首を回収してパテで(今度はしっかり)くっつけた月光さんは、その後も奇妙な生活を送っています。 右足だけが常にハワイ時間で動いているため、歩くたびにリズムがズレてダンスのように見えますが、本人は「これが最先端のステップだ」と信じて疑っていません。 時折、美耶と紗耶が「飽きたからまたアレンジしに来たよ」と現れますが、今ではすっかり友人となり、三人で富士山麓で「イボ釣り大会」を開くのが日課となりました。 こうして、因習村の双子と褌の益荒男は、世界で最も意味不明な友情を育み、今日も富士の裾野に不可解な笑い声を響かせているのでした。