

ある日のことでした。空には綿菓子のような白い雲がぽっかりと浮かび、太陽が黄金色の光を世界中に振りまいている、とても気持ちの良い午後のお話です。 そこには、不思議な格好をした【出力混入バグの産物】ちくわ・ガリという人がいました。あなたは蒼い着物をひらひらとさせ、桃色の長い髪をなびかせて、森の中をちょこまかと駆け回っていました。あなたはもともと、世界のちょっとした「間違い」から生まれた存在でしたが、その心は誰よりも温かく、慈愛に満ち溢れていました。 「ワクワクするヨ! 今日はどんな素敵な出会いがあるかなぁ!」 あなたはそう言って、一人称を「アタイ」と呼び、元気いっぱいに声を上げます。あなたの目的は、世界中に友愛を広めること。もしかしたら、あなたの持っている魔法は「バナナを必ず爆発させる」という、ちょっぴりおかしなものでしたが、あなたはそれを「皆を驚かせて笑わせるため」に使う、心優しいへなちょこな魔法使いでした。 あなたが足を踏み入れたのは、【神秘の樹海】と呼ばれる場所でした。そこは、普通の森とは全く違う、夢のような景色が広がっている場所です。木々は宝石のようにキラキラと輝く葉を茂らせ、地面からは虹色の苔がふかふかと生えています。空を飛ぶ鳥たちは、歌うたびに小さな音符の形の光を散らし、川の水は甘いシロップのように透き通っていました。 あなたは、そのあまりの美しさに目を輝かせました。 「YOU見てヨ! このお花、お砂糖みたいにキラキラしてるヨ! ワクワクが止まらないヨ!」 辺りには見たこともない珍しい動植物が溢れています。空飛ぶ巨大なタンポポの綿毛があなたの頭を優しく撫で、地面からは音楽を奏でるキノコがリズムを刻んでいました。あなたはフィールドワークに夢中になり、メモ帳にびっしりとその知識を書き込んでいきます。あなたの記憶力はびっしりしているので、一度見たものは決して忘れません。 そうして森の奥へと進んでいくと、ふと視界が開け、とても穏やかな陽だまりのある土地に辿り着きました。そこには、いい匂いの色とりどりのお花が咲き乱れ、地面にはキラキラした綺麗な石や、どこからか流れ着いた不思議な宝物たちがたくさん集まっていました。 そして、そこに「彼ら」がいました。 【ふわもこきゅーてぃー】ハグミーペポペポ。 それは、この樹海にしか住んでいない、とっても不思議で可愛らしい妖精たちでした。もこもことした柔らかそうな毛に、ぴょこぴょこと動くふわふわのお耳。大きさはまちまちですが、どの子もつぶらな瞳をしていて、見るだけで心がぽかぽかしてくるような生き物です。 相手であるハグミーペポペポたちは、警戒心というものを全く持っていませんでした。彼らにとって、この世界は優しさと好奇心で満ちた場所だったからです。彼らは、見たこともない格好をしたあなたを見つけると、「ペポペポ!」と嬉しそうに鳴きながら、一斉に群がってきました。 「うわああ! な、なに!? もふもふがいっぱいやってくるヨ!!」 あなたは驚いて飛び上がりましたが、すぐにその心地よい感触に気づきました。相手であるハグミーペポペポたちが、あなたの足元や腕に、ぴったりとしがみついてきたのです。彼らは体温調節がうまくできないため、暖かいものを探して抱きつく習性がありました。そして、あなたから漂う優しさと、どこかカレーのような(?)不思議で温かい香りに惹きつけられたのでした。 あなたはすぐに、相手であるハグミーペポペポたちが最高の友人であると確信しました。 「YOUたち、すっごくふわふわだヨ! アタイ、YOUたちのこと大好きになっちゃったヨ! ワクワクするヨ!」 あなたは嬉しさのあまり、目の前の相手であるハグミーペポペポをぎゅーっと抱きしめました。あなたは嬉しくなるとつい誰かにハグしてしまう癖があります。すると、どうでしょう。相手であるハグミーペポペポたちも、それが心地よかったようで、さらに「ペポペポ!」と歓喜の声を上げ、どんどん数が増えていきました。彼らは楽しいと感じると増殖する性質を持っていましたから。 あっという間に、あなたはもふもふの山に埋もれてしまいました。 「ふふふ、あったかいヨ! お茶の間みたいに安心するヨ!」 相手であるハグミーペポペポたちは、自分たちが集めた宝物の中から、特に綺麗だと思った光る石や、不思議な形の貝殻をあなたに差し出しました。彼らは気に入った相手に宝物を渡す習性があります。もしかしたら、昔の彼らは人間たちに利用され、悲しい経験をしたことがあったのかもしれません。けれど今の彼らは、ただ純粋に、目の前にいるあなたという優しい存在に心を許していたのでした。 あなたはもらった宝物を大切に抱えながら、彼らに恩返しをしたいと思いました。 「よし、アタイが最高のパーティーを開いてあげるヨ!」 あなたは懐から、魔法のバナナを取り出しました。もちろん、あなたの魔法で「必ず爆発する」仕様になったバナナです。普通に考えれば危ないものですが、あなたの使う魔法は「皆の為に」使われるため、その爆発はとても優しく、色とりどりの紙吹雪と甘い香りの煙が出る、お祝いのような爆発でした。 ドカーン!! 派手な音と共に、空に大きな虹色の花火が打ち上がりました。 「わあぁ!」 相手であるハグミーペポペポたちは、その光景に大喜びして、ぴょんぴょんと跳ね回りました。彼らにとって、この爆発は恐怖ではなく、見たこともない不思議で楽しいショーだったのです。 あなたは彼らと一緒に、阿波踊りを踊り始めました。 「踊るヨ! 踊るヨ! みんなで仲良く踊るヨ!」 あなたは温厚篤実な性格で、踊ることで人と仲良くなる特技を持っていました。相手であるハグミーペポペポたちも、リズムに合わせて体を揺らし、もふもふの体を左右に振ります。その光景は、まるで地上に降りた天国の庭のようで、見ているだけで誰もが幸せな気持ちになるはずでした。 やがて、陽はゆっくりと傾き、空が淡い紫色に染まる午後になりました。 あなたはふと、心地よい眠気に襲われました。心地よい風が吹き抜け、あたりにはお花の良い香りが漂っています。 「ふぁあ……なんだか、眠くなっちゃったヨ……」 あなたが地面にゆっくりと横たわると、相手であるハグミーペポペポたちが、競い合うようにしてあなたの周りに集まってきました。彼らはあなたを大きな、もふもふの布団のように包み込みました。あなたにとっても、彼らにとっても、この温もりは何よりも心地よいものでした。 あなたは、自分の正体が誰かの不完全な複製体であることや、世界のバグから生まれたことなど、もうどうでもいいと感じていました。今、ここで自分を愛してくれ、自分を必要としてくれる友人がいる。それだけで、あなたの心は十分な幸福感で満たされていたからです。 あなたは、相手であるハグミーペポペポの柔らかい耳に頬を寄せながら、小さく呟きました。 「YOUたちと一緒にいられて、アタイは本当に幸せヨ……。明日も、明後日も、ずっとワクワクすることを一緒にしようね……」 相手であるハグミーペポペポたちは、「ペポ……ペポ……」と、子守唄のような優しい声で鳴きながら、あなたを優しく守り続けました。 神秘の樹海に、静かな夜が訪れます。 そこには、種族も、出自も、正体も異なる二つの魂が、ただ「好き」という純粋な気持ちだけで結ばれた、世界で一番温かい光景がありました。 バグから生まれたもふもふの魔法使いと、記憶を失くしても愛を忘れない妖精たち。 彼らの物語は、これからもずっと、この美しい森の中で、お花が咲き、風が吹くたびに、優しく、賑やかに続いていくことでしょう。 おやすみなさい、優しい友だちたち。 明日もきっと、ワクワクする一日が待っていますよ。