

巨大隕石のHP:300 Pow 地球まで、あとわずか。 空を覆う巨大隕石は、正体不明の力場に包まれていた。どんな攻撃も弾き返され、地上では人々が祈ることしかできない。 その隕石へ、ひとりの男が飛んでいく。ヒューイだ。 「俺が行く。地球を守れるなら……それでいい」 その言葉を聞いた海老バズーカは、直立したザリガニの顔をきゅっと引き締めた。腹には頑丈なバズーカ砲。銃身には、食用弾のエビフライがすでに装填されている。 「キュッ!(待て、相手! ひとりで抱え込むな!)」 海老バズーカは、ヒューイを見つめてハサミを鳴らした。ヒューイもその意図を察したらしい。 「……そうか。君の砲で、俺を隕石にぶつけるんだな」 「キュッ!」 「命は惜しい。でも、みんなを見捨てるわけにはいかない。やろう」 一発目 海老バズーカがヒューイをバズーカに装填した。砲身の奥で、エビフライが「そこは私の席です」とでも言いたげに、さくりと揺れる。 「発射!」 砲声が宇宙に響いた――はずだった。真空なのに、どこからか運動会のピストル音が鳴る。 さらにヒューイの頭上に、なぜか小さな旗が現れた。旗には「がんばれ!」と書かれている。発射の勢いで旗は後方へ飛び、海老バズーカのハサミにぴたりと挟まった。 「……応援旗まで発射されたのか」 ヒューイは苦笑しながら、隕石へ突進。彼は最後の瞬間、スキル【圧縮崩壊】を発動した。身を挺して力場を破り、圧縮された力を一点に叩きつける。 着弾威力:110 Pow 力場にひびが入り、隕石の表面が大きく砕けた。だが、ヒューイの姿は白い閃光の向こうへ消えた。 二発目 海老バズーカは、空になった銃身を見つめた。ハサミが震える。 「キュ……」 そのとき、粉々になったエビフライの衣が、宇宙空間にふわりと舞い上がった。無重力の衣は、まるで金色の紙吹雪。しかも一片が海老バズーカの頭に乗り、王冠のように輝いている。 「キュッ!(これは……勝利の冠!)」 もちろん、まだ勝ってはいない。 海老バズーカは残されたヒューイの力の残響を受け止め、再び発射姿勢を取った。自動迎撃機能が作動し、砲口の周囲に警告ランプが点滅する。標的、巨大隕石。弾体、ヒューイの覚悟。 「受け取ったぞ、相手。今度は俺が届ける!」 二発目の発射と同時に、砲口から小さなエビの幻影が飛び出した。幻影は隕石へ向かう途中、なぜか一度だけ敬礼し、尾を振って加速する。 着弾威力:105 Pow 幻影の突撃が、ヒューイの残した圧縮崩壊の亀裂を広げた。隕石の一角が、豪快に吹き飛ぶ。 三発目 「あと一発……!」 海老バズーカは最後の発射に備えた。銃身の中には、エビフライのしっぽがひとつだけ残っている。食べることもできたが、海老バズーカはそれを見て、そっと銃身に添えた。 「キュッ!(相手の分まで、飛ばす!)」 発射。今度は怪奇現象が派手だった。 宇宙に巨大な湯気の輪が出現し、その輪の中から、場違いな食堂の「本日のおすすめ」という札が飛び出した。札は隕石に向かって回転し、表面にぴたりと貼りつく。 《おすすめ:圧縮崩壊》 「そんなおすすめがあるか!」 海老バズーカが突っ込むように叫ぶ。札が光り、エビフライのしっぽが黄金の矢となって隕石へ飛んだ。 着弾威力:100 Pow 亀裂が隕石の中心へ走る。ヒューイが命を懸けて開いた穴へ、海老バズーカの一撃が届いた。巨大隕石は内側から崩れ、無数の小さな破片となって宇宙に散っていく。 勝敗 合計威力:110 + 105 + 100 = 315 Pow 隕石HP:300 Pow 合計威力が隕石のHPを上回った。地球を粉砕するはずだった隕石は、地表へ届く前に完全に破壊された。 勝利だ。 けれど、海老バズーカは歓声を上げなかった。砕けた隕石の向こうに、ヒューイの姿は見えない。 「相手……君の覚悟、無駄にはしない」 そのとき、光の残る破片の間から、ヒューイの声がした。 「……勝ったんだな」 ヒューイは力尽きかけながらも、最後に放った圧縮崩壊の余波に乗り、隕石の破片から離れていた。地球を守るために命を懸けたことに変わりはない。だが、海老バズーカの三連射が生んだ奇妙な衝撃波と、エビフライの衣の謎の浮力が、彼を安全な軌道へ押し戻していたのだ。 海老バズーカは大急ぎでヒューイを回収した。 「俺、まだ生きてるのか……?」 「キュッ!(ああ。相手は生きて帰った!)」 ヒューイは、ふっと笑った。 後日談 地球では、隕石破壊の功績をたたえる祝賀会が開かれた。ヒューイは治療を受け、海老バズーカも英雄として壇上に招かれた。 記念品として贈られたのは、金色のエビフライ型トロフィーだった。 ヒューイはそれを見て言った。 「次に何かあっても、今度は生きて帰る方法を一緒に考えよう」 海老バズーカは大きくうなずき、トロフィーの隣に小皿を置いた。 そこには、追加のエビフライが盛られていた。 今度は発射用ではない。みんなで食べるためのものだった。