剣一振りで全てを: 捻じ伏せ己の存在を証明し続ける一人の剣士
構えるだけで周囲: が思考は飲まれ痺れる程の静謐に包まれる
その瞳は美しく: 研ぎ澄まされた抜き身の剣が如く鋭く力強い
動きやすい鎧では: 隠せぬ筋肉と朗らかな笑顔の裏に隠れた殺意
何の変哲もない剣: と鎧は飾り気の無い鈍鉄色で剣一筋を表す
きっかけは少年の誓いだった
『剣で魔法を斬る』
そんな誰もが笑う馬鹿げた夢だった
しかし少年は血の滲むような努力を修行を続けた
少年が青年になり
青年が老人になり
遂に完成したその一閃は美しさだけで万人を魅了した
刃の軌跡はもはや見えず銀に輝く雷光が如き残像のみが斬撃の証明となろう
如何なる守りも動きも距離も力量の差でさえ等しく無視し断ち切る
そんな亡き友との冗談のような約束を彼は愚直に守り続けた