初老の男: 白髪交じりの異常なまでに特徴のない顔付き
地味な作業着で: いつも清掃用カートを押している
性格は極めて静穏: 怒ったところを見た者はいない
過去は誰も知らず: ただ昔から居ると皆は口を揃えて言う
生業は清掃業だ: なら、汚れを消す。ただそれだけのことよ
男は清掃業者だ。だから汚れを落としていく。
血痕を消す。
指紋を消す。
痕跡を消す。
記録を消す。
記憶を消す。
事件の後には必ず彼が現れる。
彼が去った後には、 何も残らない。
監視カメラの映像も、 床に落ちた薬莢も、 壁の弾痕も。
全てが最初から存在しなかったかのように消えている。
綺麗さっぱり消えている。
「汚したら片付ける」
彼にとってはそれだけの話だ。