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【絶望的な不幸体質】花咲 常磐

僕は生まれついたときから不幸だった。どうやら、僕は流産しかけていたらしい。 今思えばこの時からきっと僕のこの呪いは始まっていたんだと思う。 僕のお母さんは母体か僕かで、僕を選んだ。ごめんなさい。僕なんかのために。 そうして、お母さんは死んだ。お父さんだけが僕を男手一つで育ててくれた。 4歳の頃。お父さんも僕を迎えに来た帰り道、電車に轢かれて死んだ。 誰かに押されていた。お父さんは僕をホームに投げた。 僕を庇って死んだ。 僕に関わると皆不幸になるって、子供ながらに分かった。 それから、僕は施設に引き取られた。ずっと虐められた。 蹴ったり、叩いたり。物を隠されたり、ご飯をひっくり返されたり。 でも、僕はそれが自分への罰だと思った。人を不幸にする僕への罰だって。 1年くらい経った頃に、新しい両親が出来た。 でも、平和だったのは4年間だけだった。 新しいお母さんは通り魔に刺されて死んだらしい。ぐちゃぐちゃ死体だった。 新しいお父さんは災害で大きな竜巻に飲み込まれて、引き裂かれて死んだ。 僕はまた孤独になった。人を不幸にした。 ...12歳になったある時、男の子にであった。外国の人らしい。 あの子は言った。「一緒に人助けをしよう。」 ...僕が出来るのか?どうやってやるのか?色々聞いてみた。 「魔法を使えるようになるんだ。巷で言う、魔法少女ってやつ。 まぁ、僕らの場合は男だから魔法少年だけどね。」 そういっておかしそうに笑っていた。 僕は、少しでも人の役に立ちたかった。蔑まれてきた僕も、感謝がされたかった。 だから、受け入れた。 それからは全てが上手く行く気がした。不幸は他人に迷惑をかけなかった。 断然困る人は減り、死人もでなくなった。 「ありがとう」と言われ、笑ってもらえるのが凄く嬉しかった。 だけど。やっぱり不幸はいつまでも僕を嘲笑ってくるらしい。 僕を魔法少年に誘ってくれたあの子が、悪人になった。 死人を操り、道徳を嗤う死霊使い...ネクロマンサー。 あの子はもういないらしい。あの子の通り名も変わってしまった。 僕になにか出来ることはなかったのだろうか。 あれから僕の不幸は残酷さと激しさを増すばかりで。 もう他人の笑顔なんてみられない。感謝もしてもらえない。 どうか僕に人を救わせて...