※詳細まるまるコピペ(ネタバレを含む) ・概要 メイドインアビス第3巻から登場。 作中世界における生ける伝説『白笛』の一人で、二つ名は「黎明卿」「新しきボンドルド」。 普段は深界五層『なきがらの海』にある『前線基地(イドフロント)』に居を構えて活動している。 仮面をかぶりパワードスーツを着こんだロボットのような姿をしており、素顔はおろか素肌すら見せない謎めいた人物。 彼の従える探窟隊『祈手(アンブラハンズ)』も全員が仮面とパワードスーツを身につけているが、こちらは仮面のデザインがひとりひとり大きく異なるため誰が誰なのか容易に判別可能。 また、プルシュカという名前の娘がいる。 ※人物像 アビスの全てを解き明かすべく、『前線基地』にて研究に励む科学者。 「おやおや」と「素晴らしい」が口癖なのか、よく口にしている。 白笛としてはまだ新参であるものの、「大規模な虫害の未然防止」、「進行不能だったルートの開拓」、「アビス深層での活動拠点の確保」、「新薬の開発」、「完全な栄養食の開発」、「上昇負荷の発生条件と症状を調査」、そして「上昇負荷の克服手段を発見」などいくつもの前代未聞の偉業を10年程で成し遂げており、人類のアビス攻略を一気に推し進めた正真正銘の偉人と言える。 彼自身はその業績にあぐらをかくような性格ではなく、物腰のやわらかい博愛主義者。 現在までに登場した『白笛』の中では最も温厚な人物であると、表面的にはそう見えるが、その本性は常人の人間らしい価値観が通じないエイリアンのような人物。 紳士的な性格でこそあるものの配慮や共感といった能力が著しく欠如しており、ボンドルドに対して激しい嫌悪を隠さないナナチに何の気なしに「かわいいですね」「是非また私のところに来てください」と語りかける、実験の過程で被験者が苦痛を味わって死ぬことを逃げられない状況になってから明言する、そして後述の凄惨極まりない人体実験を日常的に行っているなど、その行動と言動には紛れもないサイコパスじみた異常さが見え隠れする。 決して人の感情や倫理観に対して理解がない訳ではないのだが、その行動や言動は人並みのそれらとはどこかズレており、白笛マニアのハボルグが述べた「得体の知れない何かが仮面被ってヒトの真似事をしている」という評価は言い得て妙である。 そんなボンドルドを狂人たらしめる最大の点は、アビスの謎の解明以外の全てに対して無頓着であること。 研究のためなら法律や倫理観はもちろん、関わる他人の事情を顧みず、時には人(自他問わず)の命さえ平気で使い潰し、それでいて研究成果以外のすべてに執着しない。 もちろん名誉欲や金銭欲、支配欲らしきものも一切持たない。 (彼の行動原理の分かりやすい図はこちら) 事実、作中ではレグたちの手で何度も研究や資産を損なった挙句殺されかかっているにもかかわらず、3人に対して怒るどころか感動して、その知略を讃えていた。 彼が唯一焦ったのは、レグの『火葬砲』にナナチが巻き込まれかかった時だけである。 上で挙げた偉業も、 「新薬の開発」→その新薬は違法な薬物実験の末に生み出されたもの。 「進行不能だったルートの開拓」&「アビス深層での活動拠点の確保」→進路上にある動植物を丸ごと焼き払って強引に開拓。 「大規模な虫害の未然防止」→貴重な水源に毒薬を流し周辺生物ごと害虫を根絶やしにする。 という過激なやり方で成されたものであり、そのため「良き伝統も、探窟家の誇りや矜持も、丸ごと踏みにじって夜明けをもたらす」ことから「黎明卿」と呼ばれ、オースの人々からは敬遠されているのが実情である。 彼の優秀さと異常さを共に示す最たるものが、彼の発明品である『カートリッジ』。 これは装備するとアビスの上昇負荷の影響を受けなくなるという非常に画期的なアイテムなのだが、その正体は人間の子供から脳と脊髄と最低限の臓器以外の全てを削ぎ落として生きたまま箱詰めした物。仕組みとしては、その子供が上昇負荷を肩代わりする(当然、箱詰めにされたことと合わさり最終的には死ぬ)ことで装着者は上昇負荷を受けなくなるという、人道を完全に無視した代物。 厄介なことに、ボンドルドはこうした悪行を「より良い発明のため」「自身の知的好奇心を満たすため」に行っており、すべては人類が躍進する結果につながる礎になると信じておりそこに悪意や害意は一切ない。 それでいて人間性を破壊するような凄惨な人体実験を課した相手にさえ、人間味のある謝罪や悔恨はなく本心から「(実験に協力してくれて)ありがとう」「君のおかげです」とストレートに感謝を表す様からもそのいびつな純粋さが垣間見える。 もちろん、実験に際して過酷な目に遭わされる被験者に説明していないし良識ある許可など取っていない。一応、彼がアビスに誘う際には深淵に踏み入ることを厭わないことを前提として語っているが、まさかこんな事になるとは誰も思わないだろう。 その人並みの感受性を逸脱する破綻した精神性は彼の人となりを知る多くの者に認知されており、同じ白笛のオーゼンからは「筋金入りのろくでなし」、スラージョからは「ボンクラ仮面」、ハボルグからは先述のように評され、かつて彼の元にいたナナチからは「ゲス外道」と罵倒されたりとボロクソに言われている。 また、ある国からは罪状不明のまま指名手配されているなど、扱われ方は間違いなく危険人物のそれである。 一方リコはそうした彼の人柄と所業について、「許せない」と非難しつつも「ロマンは分かるのよ」と理解と共感を示しており、ボンドルドもそのリコを「思ったよりもこちら側」と評している。「倫理や規則より好奇心を優先する」と表現すれば、リコにも似たような側面があると言えるだろう。 人道を大きく踏み外したパーソナリティの持ち主ではあるが、同時に彼の裏表のない愛情深さと心の広さもまた本物である。 実際、愛娘のプルシュカからは「パパ」と慕われていたり、実験に協力させるためとはいえ多数の孤児を引き取っては世話を焼いていたり(ボンドルドが孤児たちひとりひとりの名前・性格・将来の夢を覚えているあたり、彼らにも愛情を注いで育てていた可能性が高い)、部下である『祈手』を多数率いていて、その上自分を仕留めに来た賞金稼ぎすら部下として迎え入れてしまうなど、前述の異常性だけではない一面も併せ持っている。 もっとも、そうした愛情を持ちながら一分の迷いもなく育てた子供達を実験台に順次使い潰していくというのが、結局は彼の異常性を際立たせている。 存在自体は他の白笛共々1巻の時点で語られていたが、本格的にその動向が描かれたのは3巻でのナナチの回想から。 作中ではナナチを始めとした孤児達を五層の『前線基地』に連れ込み、人体実験用のサンプルとして使い潰していた(なお、アビス五層からの帰還時にかかる上昇負荷は子供の体力では耐え切れずに死んでしまう程危険なものだが、それを他の探窟家に指摘されると「あれらは人間としての運用はしておりませんので」と平然と返していた)。 この人体実験でナナチとミーティの二人が『成れ果て』にされ、ミーティの方は実質的に殺されてしまっている。 また、リコ、レグ、ナナチの3人が『前線基地』にたどり着く前から3人を監視していた。後に明かされるが、その監視手段は他ならぬナナチの目であり、ナナチが見ているものをボンドルドも同様に見られるよう彼女(?)に細工を施していた。 4巻で本格的に登場。 ボンドルドに六層への入り口を開けてもらうよう頼みに来たリコ達を娘のプルシュカと共に出迎え、リコとの交渉に応じた。 が、ボンドルドの回答は「自前の白笛を持っていないと六層への入り口は開けられない」というものだった。 そのときリコはライザの白笛を持っていたが、ボンドルドは「親子であろうとも、別人である以上白笛は反応しない」とダメ押しする。 先へ進む手段を失ったリコは途方に暮れてしまう。 落ち込むリコを慰め、3人に宿泊用の部屋を貸し出すボンドルドだったが、好奇心に駆られたからか3人が寝た隙にレグを誘拐。 部下の『祈手』を使って彼の右腕を切り落としてしまう。 再会直後から胡散臭がられていたボンドルドだが、この件でナナチは彼に対して完全に愛想を尽かしてしまい、3人は『前線基地』を脱出。 ボンドルドを倒して無理やり白笛を吹かせて入り口を開けさせるプランに切り替える。 ボンドルドは出て行った3人を数人の『祈手』達と共に探しに行くが、そこでリコのけしかけた凶暴な原生生物・カッショウガシラと遭遇。連れてきていた『祈手』を全員殺されてしまう。 ボンドルド自身は所持していた遺物で原生生物の対処をしたが、事前に対策を考えていたリコ、レグ、ナナチの連係プレーに反撃する間も与えられないまま追い込まれていく。 あまりの勢いにさしものボンドルドも狼狽えた……かと思いきや、当のボンドルドは3人の連係攻撃に感激のあまり震えており、「素晴らしい」とひたすらに褒めちぎっていた。 その後、レグによって無理やり六層と五層間を移動させられ、六層の上昇負荷である「死、あるいは人間性の喪失」が決定打となり、ついにボンドルドは息絶える。 六層の上昇負荷によって首の肉が異常な変異を起こし、まともに喋ることすら困難な状態になってもなお「素晴らしい」「素晴らしい」と3人を称賛し続けたボンドルドだったが……。