「蒼空の怪物か…なんて呼んでくれたっていい...俺は後何人殺せば戦争は終わるのか…」 ~ヘルマン・ヴォルフ~ 𝒁𝑬𝑻𝑨暦1339年10月17日。 𝒁𝑬𝑻𝑨𝑽𝑬𝑹𝑺𝑬宙域 第三惑星 池球。人類は宇宙資源を活用を目的に宇宙へ進出した。 ヴォルフもまた、宇宙と言う大地に踏み立った一人だ。しかし、𝒁𝑬𝑻𝑨𝑽𝑬𝑹𝑺𝑬宙域には文明を築いていた惑星もあった。 𝒁𝑬𝑻𝑨𝑽𝑬𝑹𝑺𝑬宙域 第六惑星"E238"。池球から離れた巨大惑星である。彼らは既に複数の宇宙資源を採取しており、 彼らが池球に接触するのは誰の目にも明らかであった。池球は交渉を試みる。しかし、"E238"の使節団は啞然とした。 宇宙資源をを池球に活用などは表向きの口実で実は先進国の経済発展という名の搾取を行っていたのである。 植民地の人々、通称ワーカーストを宇宙へ強制連行しては危険な環境で労働させているのだ。無論、 この事実を知っているものは極僅かな権力者だけである。"E238"の使節団は帰国し、事の事態を共有した。 E238連合国代表、レオナルドは述べた。「彼らのような独裁を野放しにしては、宇宙の資源は食いつくされ、 あらゆる文明に壊滅的打撃を与えるであろう。」各国の代表が啞然とする中、」レオナルドは続ける。 「私はこのような横暴な行為は許さない!長年この宇宙を管理してきた我々に管理運営されるべきなのだ! 二度と彼らが宇宙と言う大地に足を踏ませないためにも、諸君の力が必要なのだ!」 議場の雰囲気が一気に開戦論に傾く。このような横暴を聞いて異議を唱える者はいなかった。 𝒁𝑬𝑻𝑨暦1340年1月1日午後5:11 E238連合軍は池球侵攻作戦、タイフーン作戦を発動し、初めに各資源衛星に攻撃をしかけた。 パッカード提督「いいか、本作戦は如何に迅速に占領するかが鍵だ!民間人の犠牲は気にするな!全艦発進!」 パッカード提督の指示の元、星雲を覆いつくさんとする規模の艦隊が動き始める... 一方、ヘルマン・ヴォルフ大尉は資源衛星A1に駐留する士官であった。 ヴォルフ「いくら命令でも、負傷者を助ける義務があります!彼女を病院に…」 ガント中佐「黙れ!植民地の奴隷など、いくらでも替えはいる!さっさと奴を殺せ!」 ヴォルフ「くっ…分かりました。」 ガント中佐、上官で数々の労働者を殺して来た嫌なヤツだ。ガントが去っていく… ヴォルフ「彼女の始末は私がやる。持ち場に戻ってくれ」 部下「了解!」 ヴォルフは自分の部屋に彼女を秘密で迎え、傷を手当てする。 ヴォルフ「こんなことしか力になれなくて申し訳ない。」 女性「ありがとうございます。しかし何故、助けるのですか?」 ヴォルフ「私はこの軍を変えるために入隊したのかもしれない。私も上のやり方には疑問を抱いている。私なりの抵抗だ。」 ヴォルフ「君は既に死亡扱いだ。私の権限で書類を偽造して、君を帰国させる準備をする。少しだけ待っていてくれ。」 その時、彼女に差し出したコーヒーが突然波打つ... 直後、けたたましい警報音が鳴る! 無線「11時の方向より敵機襲来!総員、第一次戦闘態勢!繰り返す!総員...」 先に動いたのはヴォルフだった。 ヴォルフ「ここも戦場になる。早くシャトルに行くぞ!」 激しい砲火の中、彼女を連れてシャトルに到着する。 部下「シャトルの発進準備急げ!」 ヴォルフ「おい、彼女も乗せてやれ!」 部下「しかし、その女は…それにガント中佐にバレたら…」 ヴォルフ「責任は私が取る!丁重に扱ってやってくれ。」 ヴォルフ「最後に、私の名前はヘルマン・ヴォルフだ。何かあったら連絡してくれ。」 女性「私はブラウン。何から何までありがとうございます。」 ヴォルフ「お前たち…怪我してるではないか!?これは病院船だ。お前たちも乗れ!」 部下「しかし、大尉をおいて脱出など…」 ヴォルフ「これは命令だ!私の教え子なら素直に行くんだ!」 部下「た、大尉...了解!」 シャトルが発信する。シャトルには赤十字が掲げられている。撃ち落とされるとはない。 ヴォルフ「私も発進するk」 直後、前方に閃光が走る!閃光の先は彼女を乗せた病院船だ… ヴォルフ「な、何と言うことd」悲しみが込み上げる前に敵の攻撃がヴォルフの目の前で爆発し ヴォルフは宇宙空間に吹っ飛ばされる。幸い、戦闘用宇宙服(パイロットスーツ)を着用していたので即死は免れた。 ヴォルフは事の事態を把握した。「私が、私があいつらを乗せなければ...ん?」 ヴォルフの近くに、病院船撃ったと思われる敵の巡洋艦がいた。 その瞬間、既にヴォルフは近くに浮遊していた携行型メガビームキャノンを構えていた。 ヴォルフ「貴様らぁぁ!負傷者を容赦なく撃って、それでも人間か!貴様らのせいでブラウンは、部下は死んだんだぞ!!」 巡洋艦の船員「あいつらの最後の顔知ってるか?俺たちに情けなく命乞いしていたんだぜ。お前もあいつらの元に送ってやるよ!」 ヴォルフ「お前らみたいなやつが、軍人を名乗る資格などない!!!往生するがいい!!!!」 引き金を退いた直後、巡洋艦のブリッジとエンジンにビームが貫通し、大爆発した。 直後、基地の通信が響く。 無線「全兵士に次ぐ、只今午後5:34を持って、本衛星より撤退せよ!繰り返す...」 その後XMZに乗り込んだヴォルフは何かに憑りつかれたかのように撤退する友軍を援護しながら敵艦隊を蹂躙しまわった。 何隻、何機の戦艦、戦闘機を墜とした頃、敵の攻撃が止んだ。安全圏まで来たようだ。 ヴォルフはふとコクピット内で思う。 ヴォルフ「これではどっちが正義かわからないじゃないか。正義はどっちなんだ、一体…」 味方編隊と宇宙要塞フェルに辿り着いた時、ヴォルフはもうボロボロだった。 その時、要塞に知っている人物がいた、教え子のネオンだ。普段は活発な彼女だが、かなり疲労しているのが顔に見えた。 ネオン「ヴォルフ大尉。御無事で…他のみんなは?」 ヴォルフ「残念だが…生き残った私の教え子は君だけだ…」 ネオン「そんな…とても無念です…」 ヴォルフ「守れなくてすまない。それで、ガント中佐はどうした?」 ネオン「戦死されました。ワーカーストになぶり殺しにあったとか、味方に射殺されたとかの噂も…」 ヴォルフ「当然と言えば当然の結末か…報告感謝する。今日はゆっくり休んでくれ。私も少し休む。」 ネオン「はい。失礼します。」 ネオンが退室し、ヴォルフも一息つく。 ヴォルフ「私は、これで良かったのか?私には分からない。」 そして𝒁𝑬𝑻𝑨暦1340年3月7日... 愛機のXMZと共に数々の敵を葬り、異例の特進を果たし、大佐となった。 敵からは蒼空の怪物と呼ばれているらしい。何とも言えない気持ちだ。 ヴォルフ「ネオン!出撃要請だ、行くぞ!」 ネオン「了解!この戦い終わったら私と蟹食べに行きません?」 ヴォルフ「ハハ、妙なフラグはよせ。食べには行くけどな!私の動きについてこれたら私が奢ろう。」 ネオン「やったー!負けませんよ!一番弟子ですからね!」 私の戦いはまだまだ続く…