『─どうか世界よ、彼女を責めないで』 それは名もなき異世界のお話 偶然たどり着いた違う世界 そこは割と平和だった? ーーーーーーーーー キリトリ腺ーーーーーーーーー 元いた世界では全てを失った彼女 全ての人々を呪い、愛した彼女 そんな事は置いといて、ご飯にしましょうか。 七度も世界を飲み込み、その知識を得た彼女に死角は無い!きっと、たぶん、恐らく・・・ 平和な世界で人々を見守る姿はちっこいママ 平和が破られるその時まで彼女は見守るだろう。 『次こそは』 『きっと次こそは』 そう願いながら。 ・・・あっ、吹きこぼれてる吹きこぼれてる!! ママさん!あっちも焦げてるよ!! ああ、食材が無駄になってしまった・・・ ─どうか世界よ、彼女を責めないで。 ─どうか世界よ、あの悲劇をもう繰り返さないで。 ーーーーーーーーー キリトリ腺ーーーーーーーーー 雨には負けて 風にも負けた 雪にも夏の暑さにも負け続け けれど丈夫な体を持ち 欲はあるが 決して驕らず いつも静かに笑っている 東に病気の子供あれば 行って看病してやり 西に疲れた母子あれば 行ってその苦難を祓い 南に死にそうな人あれば 行って怖がらなくて良いと言い 北に喧嘩する子供あれば 行って仲直りさせてからお菓子を渡し 日照りのときは雨乞いをし 寒ひ冬には寄せ集まりてフルフル震え しかし 褒められもせず 苦にもされず 私達は さう言うヒナヅキでありたい