俺は王城だった城の玉座に鎮座していた とは言っても。鎮座と言うより。 もたれ掛かっているがな もうかれこれ3年間は城から出ていない 何故こんな事になったのか。 それは遡る事3年前。 【王城】 ???「おぉ。良くぞ帰ってきてくれた。 勇者よ」 勇者「よっす。国王」 国王「勇者殿も旅をする最中に 結構変わってしまったのぉ。」 勇者「取り敢えずさ。 飯食わせてくんね? くっそ腹減ってんのよ今」 国王「分かった。今準備させる」 数分後… 国王「ささ。ここにお座りくださいな」 勇者「どうも。」 ???「あら?勇者さん…?」 国王「おぉ。マテリアよ」 勇者「お。女王様ちっす」 マテリア「ここに居ると言う事は 魔王を倒してきてくれたのね!」 勇者「ま。そんな所だ」 マテリア「そう言えば。 お仲間さんは?」 国王「そう言えば見ていないのぉ。」 勇者「あいつらね。全員死んだよ」 マテリア「…え?」 国王「勇者殿。今…何と?」 勇者「だから言ってるじゃん。 死んだって」 マテリア「な…何で…?」 勇者「あー。まぁ色々あってね。」 勇者「話すと長くなるし。 取り敢えず今は飯食わせてくれ」 マテリア「所で勇者さん。」 勇者「どうかしたか?」 マテリア「その…お仲間さんの 死因は…?肉体さえ残っていれば 教会で蘇生出来ますけど…」 勇者「…それは話しづらいから一旦 後にさせてくれ。」 マテリア「そう…ですか。」 勇者「にしても美味いなぁ! 旅をしてた頃とは大違いだ!」 マテリア「ねぇ…お父様。勇者さんに 押し付けしすぎたんじゃないの…?」 国王「うむ…しかし…」 マテリア「ねぇ勇者さん。 ちょっと話が…」 勇者「待て。早く食わないといけねぇ からちょっと待ってくれねぇか?」 マテリア「食べ物は逃げませんよ?」 勇者「何言ってんだ。」 マテリア「(やっぱり…勇者さん。 少し変な気がする…)」 勇者「ふぅ…食った食った!」 勇者「さてと…教えましょうかね… 俺の仲間が死んだ理由を…」 勇者「戦士と魔法使いと僧侶と俺を 含めた計4人で旅をしていた。」 勇者「最初こそは順調に 旅をしていたが。途中で食糧が 底を尽きちまった」 勇者「全員が飢え死にそうに なった時。戦士が言った」 勇者「「魔物を狩って食べよう」と…」 勇者「けれど。魔物は可食部分が あまりにも少なすぎる」 勇者「だからこう思った。「人間を 狩って食べれば良いんじゃない」かと…」 マテリア「あ…あぁ…」 国王「…マテリア。部屋に戻りなさい。 勿論。鍵を掛けてな」 マテリア「う…うん…」 勇者「最初こそは抵抗があったが。 食べ進めていく内に。慣れていった」 国王「…」 勇者「あっ。俺のオススメは…」 国王「…オススメは良い。話を続けろ」 勇者「ちぇ。まぁ良いや」 勇者「けれどよ。いつも通り侵入 しようとしたら村の警備隊に 見つかっちまった。」 勇者「それ以降。村には 入れなくなっちまってよ。」 勇者「こうしてまた飢え死に 生活が再開さ。」 勇者「けれどよ。ある日戦士が言った 「俺を食え」ってな。」 国王「…!」 勇者「俺たちは何も言わなかった。 戦士だった肉片を見ても。何も 思わなくなっちまったさ。」 国王「…そうか。」 勇者「俺達は魔王城まで戦士だった 肉片を食べながら繋いでいったさ」 勇者「そして魔王城。様々な魔物や トラップがあったが。Levelが上がってる俺達にとっては特に難は無かった」 勇者「だが。魔王との戦いで。 俺はやられちまった。」 勇者「そして随分経った頃かな。 俺が目を覚ますと。生き残ってたはずの魔法使いと僧侶が居なかったんだよ」 勇者「んでな。良く見ると横に何か 肉の塊が2つあったんだよ。 でももう片方は既に蒸発して 溶ける寸前だった。」 勇者「うん。それが魔法使いと 僧侶の肉片って脳が理解するまで。 そう遅くはなかったよね。」 勇者「魔法使いと僧侶はさ。 俺を助けようとして回復魔法を 連発し続けてたんだよね。」 勇者「MPが切れても必死に唱え続けてさ。遂には己の体すらも 犠牲にしちまったよ。」 勇者「そして俺は直感したんだよ。 「俺達を食え」ってな」 勇者「俺は急いで溶ける寸前の 肉の塊を手でかき集めて。 口に含んだ。」 勇者「もう片方の肉の塊も 手で掴んで口に含んだ。」 勇者「そしてそれから魔王を 倒して帰ってきてここだ。」 国王「…説明ご苦労であった」 国王「要するに…死因と言うのは…」 勇者「まぁ。俺が殺した。 間接的にだがな」 国王「…分かった。」 勇者「ま。マテリアには 真実を伝えないでくれ」 国王「…承知した」 勇者「なぁ…国王さん。 1つだけ。質問良いか?」 国王「…何かね」 勇者「何で。俺達を助けて くれなかったんだ?」 国王「…!」 勇者「俺達が食糧難ってのが分から なかったという事は分かってるさ。」 勇者「けれど…勇者達の旅の様子を 見ておくとかの発想には ならなかったのか?」 国王「…」 勇者「あんたがしっかりと 定期的に見ていれば。こんな事には ならなかったんじゃないのか?」 勇者「あんたがチンタラ 待ってる間何か発想とかは 思い浮かばなかったのかよ!」 国王「…それは…すまなかった…」 勇者「…もう過ぎた事を 言っても仕方ない。けれど、俺は あんたに失望したよ。」 国王「…」 勇者「じゃあな。」 【魔王城周辺】 勇者「ここが…」 勇者「莫大な力を得れると言う"魔界"…」 勇者「力を得る代わりに 正義の心を失い。もう2度と光に 目覚める事は無い…」 勇者「だがそれでも俺はやる… あの国を滅ぼす為に…」 【遺跡】 勇者「…成程、貴様が最初の相手か」 ???「良くぞ来たな挑戦者よ! だが残念だがお前は此処で リタイアだ!」 勇者「ふん…これでも勇者だったんだ。 実力を舐めないでくれ。 なぁ?カメレオン人間?」 カメレオン人間「良く分かったな!だがこのカメレオン人間様に貴様が 勝てるわけないだろう! 勇者だか何だか知らんが。 俺が倒してやる! とう!」 勇者「フン!」 カメレオン人間「な…!」 勇者「どうよ。俺の抜刀の速さ」 カメレオン人間「ば…馬鹿…な…」 勇者「あんまり強くなかったな。 この調子で行けば強くなれる かもしれん」 数ヶ月後… 【遺跡入口周辺】 ???「さて…もう良いだろう」 ???「国を滅ぼす為の力は 十分に溜まった…」 ???「後はこの力で…ふっ…」 ???「さてと…行くか…」 【アリガレトウ国】 ???「やっと辿り着いたぞ…」 ???「この忌々しき恨みの場所め…」 ???「消え去るが良い! 【シャクネツノホノオ】!」 国王「なっ…!」 国王「何じゃこれは…」 警備員「空中に何者かが 浮遊しています!」 ???「…」 国王「ゆ…勇者殿…」 ???「俺はもう勇者では無い "魔王"…そう呼べ…」 それから俺は。国を滅ぼし。 世界を支配下に置いた。 【回想終了】 俺はもう。勇者じゃねぇのかもな 「おい!お前!」ふと前を見ると。 そこには勇ましい姿に 剣と盾を腰に構えた男。 その姿はまるで。昔の俺だった 「お前を倒して世界を救う!」 男はそう叫ぶと。俺に斬り掛かってきた だがそんな攻撃程度じゃ俺は倒せん。 魔王を発動し。柱に叩き付けて行く しかしその直後。身動きが取れなくなる 前を見ると魔法使いが魔法を 発動していやがった その隙に戦士が俺に攻撃を食らわせ。 僧侶が勇者を癒す 何だ…一体。これは一体何なんなのだ… まさかこれが「絆」とか言う奴なのか? 「行くぞ!皆!」 男が叫ぶと。4人全員が攻撃を放つ 不味い…これは…避けられない! 攻撃が直撃し。俺は椅子にもたれかかる 男が俺に近づくと。剣を突き立てる 「最後に何か言い残す 事はあるか?魔王」 その問いに。俺は口を開く 「…俺は失敗してしまった。 だから次は。お前の番だ」 男は俺の言葉を聞いた後。 剣を振りかざす 「…絆って…何なんだろうな」 俺は密かに思いながら。息絶えた ここから先は小話です まず。これは2chの名作SS 「魔王倒したし帰るか」に大きな インスピレーションを受けています その為、かなり似通った内容に なっている訳ですね 次に。勇者についてです 勇者は最後死んだ様な描写が なされていますが。実はギリギリ 生き残っています。とは言っても、 もう魔王は辞めて魔界に籠もってます 次にマテリアです 国滅ぼされたから死んだ…と言う事は 無く。実は隣の王国に逃げています。 現在は隣の王国で暮らしています 因みに国王は致命傷を受けたものの。 なんとかマテリアを 逃がす事に成功しました