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【バレンタインのギタリスト】りな

元のリタはこちら… https://ai-battler.com/battle/39a388d0-3efa-468a-a15c-3007a0f5cd55 ※ここからは労力の関係で他のバリエーションはリタのプロフィールや〝リタシリーズ〟というタグで紹介していきますm(__)m 短めの小説を書くという初めての試みをしました。 ほぼリタ中心の三人称小説です。 本当に拙い…下手… ―⚠以下はリタのプロフィールの要素と恋愛要素を含みます― 『璃奈とバレンタイン』 今日はバレンタイン。 授業も全部終わった放課後。一つ結びにした翡翠色の長い髪を揺らしながら、璃奈が歩いていた。 彼女が腕を振るって作ったチョコが一つ紙袋の中で揺れている。 出来映え、チョコが入った袋、どれを取っても最高の一品だ。 彼女は歩きながら辺りを見回している。 どうやら誰かを探している様子だ。 彼女は今、チョコを渡している最中である。 バンドのメンバー、友達…いつもお世話になっている人達にはあらかた渡したが…まだ渡していない人がいた。 海翔だ。 同級生の男友達。彼とは正直微妙な関係。 しかも彼は璃奈を〝なんか気に入らない〟とまで考えている様子だ。 だが友達であったのでチョコは渡そうと考えていたのだ。 彼以外は比較的すぐに会って渡す事が出来たが、中々見つからず一番最後に渡すことになってしまった。 …こういう時に限って運が悪い。 「見つからないなぁ…どこに居るんだろう…」 「これじゃあチョコを渡せない…」 そう独り言を呟きながら『運が悪いな』と彼女は少しだけ落ち込んで俯いた。 でも渡さないのは嫌なのである。申し訳無いというのもあるが…何故か渡さないと気がすまない。 もやもやしながらも思考を巡らせた璃奈は自分達の教室に向かうことにした。 『もしかしたら教室にまだ居るかもしれない』と思ったからだ。 彼女は友チョコが一つだけ入った紙袋を揺らしながら教室へ向かっていった。 歩き歩き、もう少しで教室。 友達にチョコを渡すだけなのにやけに緊張しているような気がする。 そう考えているうちに教室の目の前まで着いた。 教室の引き戸の前に立ち中を覗く。 璃奈はがらんとした教室に見慣れた人影を見た。 群青色の髪の少年、海翔が一人教室に残っていた。 『ようやくチョコを渡せる』と思った璃奈は教室の引き戸をそっと開けた。 「…やっと見つけた」 「探したよ、どうして教室に残ってたの?」 璃奈が問う。出来るだけ緊張を悟られないようにしながら。 「…何だ璃奈か」 「忘れ物して取りに戻ってた。」 海翔が答える。帰ろうと思っていた矢先の来客にほんの少しだけ驚きながら。 「…そうなんだ。」 「…これ作ってきたから、今渡すね」 …返事が素っ気なくなってしまった気がする。 何故か緊張は晴れないし心臓の音はどんどん早くなっている。 しかし渡さないままでは埒が明かない。 『もう早く渡してしまおう』と璃奈は海翔の所へ急ぎ足で駆け寄った。 …それが良くなかった。 「わ…!」 何かに躓いた。焦る余りに何気なく気をつけるはずの足元に注意を向けていなかった。 身体が地面に向かっていく。 このままでは転ぶ。 チョコが台無しになってしまう。 「!」 「璃奈!危ない!」 間一髪。 璃奈は転ばずに済んだ。チョコも無事である。 「危なかった…ありがと…」 混乱の中、一旦お礼を言う。 動揺で頭が回らなかったため、少々今の状態を理解するのに時間がかかった。 体温を感じる。 璃奈は状況を理解する為に頭を上げる。 それによりさらに距離が縮まってしまう。 …彼は彼女を助けるのに無我夢中で身体が触れる事を気に留める余裕が無かったようだ。 ようやく今の状態を理解する。 お互いの唇も触れそうな距離。 近い。 二人はすぐに離れて向き合う。 気まずい。鼓動は更に激しくなる。 二人はこの場に居るのが二人だけで良かったと心から思っていた。 「悪い璃奈…俺…」 「…私…」 お互い言葉に詰まる。 『…こんなことになってしまうなんて』 チョコを渡す余裕がない程に感情の波が押し寄せて来ていた。 ようやく自覚した恋情。 それはチョコの様に甘く深い感情。 『私…海翔の事が好きに…?』 『いや…もしかしたらもっと前から…?』 何度も何度もぐるぐると回るのは予期せぬ出来事と海翔のことばかり。 「…」 お互いに言葉が出なくなる。 そしてそのまま無言の時間が流れていく。 考えても考えても分からなくなってしまう。 …もう限界だ。 「ごめん…!」 胸が一杯になって耐えきれず教室から飛び出してしまった。 海翔にチョコを渡せないまま、その場から走り去ってゆく。 彼女の手に持った紙袋では本命チョコが寂しく跳ねていた。 「あっおい!璃奈!」 手を伸ばして呼び止めるも少女はそのまま居なくなってしまった。 「…」 教室には海翔だけが残された。 伸ばされた手は悲しく空を掴んでいた。 彼の心はさっきの彼女の表情と逃げ去った彼女のことで溢れかえりそうだった。 「あいつ…あんなに輝いて見えたっけ…」 一方で… 璃奈は教室を飛び出した後、そのまま逃げるように帰路に着いてしまった。頬と耳が熱い。心臓の鼓動がやけにうるさく聞こえる。 結局チョコを渡す事は叶わなかった。 「…何で逃げて来ちゃったんだろう」 さっきの出来事と海翔のことだけが頭を何度も何度もループしてしまう。 初めて経験する恋情の大波に耐えきれず、遂に彼女は顔を覆ってしまった。 「私のばか…」 そう呟く少女の顔は普段の彼女には似合わない程に深く甘い赤に染まっていた。