ログイン

《古代魔法使い》ゼーリエおじいちゃん/エルフ

彼は静かに目を閉じ、意識を解き放った。体内の魔力回路は、もはや己の小宇宙にとどまらない。その細い線路を通り、意識は世界の果てまで駆け巡っていく。森の木々が放つ清浄なマナの流れ、街の喧騒に紛れ込んだ人々の想念、海底に眠る古代の生命が放つ微弱な光……ありとあらゆる場所に満ちる、無数のマナの奔流が彼を起点として一つに収束し始める。 通常、魔法使いが操れるのは、己のオドを触媒にして周辺のマナを借り受けるのが限界だ。だが、彼の能力は世界の根源にまで干渉し、その流動を掌握する。地球の生命を育むマナが、重力に引かれるように、あるいは大河に吸い込まれる支流のように、圧倒的な勢いで彼の中へ流れ込んでくる。それはもはや、個人の魔術師が魔法を行使する次元ではない。世界そのものが彼の魔力源なのだ。 そして、その膨大なエネルギーを解き放つ。指先から放たれた一閃は、星すら砕く輝きを放ち、眼前のすべてを消し去った。それは、この世界の理を己の都合の良いように書き換える、絶対的な力だった。マナを消費するのではなく、マナの流れを制御する。その境地に至った彼にとって、この世界で不可能なことなど、もはや何もなかった。