大陸南部にある霧の森、その中央にあるとされる閉鎖的なエルフの大国「エルヴィン」。 その次期王女候補であった物静かな少女。 寡黙だが幼少からよく勉強ができ、教養も同時期の姉妹らよりも数段しっかり備わっていた。 踊りに興味を持っていたが、両親は下らない娯楽を了承せず、侍女と密かに嗜む程度だった。 しかしその頃からかなりの才能があった。 娘たちに無関心であった父母が病により亡くなった後、自身は権力に興味など無かったが、欲望に塗れた姉妹らの醜い跡継ぎ争いに抗いようもなく巻き込まれる。 そんな中、跡継ぎ候補の一人である少女が助っ人として呼んだ謎の男の謀略により、エルヴィンは一夜にして滅ぼされてしまう。 侍女らの犠牲もあり命からがら逃げ延びたシルルは道半ばで行き倒れてしまう。 幸いそこを通りかかった旅の一座に拾われ一命を取り留めた後、旅団の一人である踊り子に踊りを教わる。 そこからメキメキと踊り子として成長していき、公演でもかなりの実力と人気を見せた。 しかし、彼女はある日忽然として旅団から居なくなってしまう。 自身が稼いだお金と、感謝の手紙を残して。 彼女は今までの旅団での名声を捨て、一人の流浪の踊り子として歩み出す。 「朧姫」たる所以、お見せしましょう。