3食が確した事務所ではなかった。そこまで名声も、実力もあったようでは無い事務所だった。だけど、絆は本物だと、勝手に思っていた。 皆で力を合わせて日々を食いつないでいける位には頑張ってたじゃないか。 なぜ、無謀にも俺達に図書館への招待状が渡ってしまったんだろうな…。 「対処できる程のものではない。俺等が行っても結局被害を増やすだけだ。」 確かに俺は皆ほど発言力はない奴だった。大事と思ったときしか話さない。まるでコミュニケーションの取れない迷惑野郎だった。 だけど…俺は、最大限、皆のためを思って頑張って意見した。 でも、皆にとっては邪魔だったようだな。 俺の意見は、「静寂」という空気と、視線で、淘汰された。 なぜだ。仲は良かったし、俺が悪いことをしたわけでもなかった。 でも…金のない状況で、大金がちらついてしまったのが、彼らの感情を変えてしまったんだろうか。 でも結局…ダメだったじゃないか。 俺は、皆に言ったはずだ。忠告したんだ。 命を断ち切ってでも、不公平な賭けに乗る必要はあったのか? …いや、そもそも……なぜ皆の意見を俺が断ち切る必要があったんだ? 危険でも、成功さえすれば、上に登る道が作れたのに。 あそこで口を塞いで頷いていれば、俺らの関係は曇らなかったのに。 あの場面で俺は、未だみんなに辛い思いを…俺の意見がないといけないと、認めさせようとでもしていたのか…? なら、どうしたら…?感情を抑えつければ、よかったのか…? 俺は、俺の意見は、いい考えだったよな?▓▓。 お前の為に、俺は言う通りに動いてきたじゃないか。▓▓▓。 あの時飯にありつけたのは、俺のおかげだろう?▓▓▓▓。 たった一度の静寂が、俺の価値観の全てを壊した。 俺の意見に価値は無かったのか? …お前達の言葉のほうが、価値があったっていうのか…? この無謀な作戦に…? なぜ見向きもしてくれなかったんだ。 オレの言葉の観衆は、静寂じゃないんだ。 オレは、静寂に向かって言ったわけじゃないんだよ…。 あいつらが聞いてくれないなら…静寂が唯一の観衆なら… おれの居場所は何処にあるんだ…? おまえたちが受け入れてくれないなら…おれは… おれ、は…? おれは、声を出せるんだ…話せて、意見を言って、皆のためを思って、… 叫ばなきゃ、いけない…異端な意見を、淘汰して… 静寂が…周りにはびこる前に… ………ははは。 いやそうだな…静寂は人との関わりを円滑にして、 静寂は人々に安らぎを与えて、 静寂は、すべてを受け入れてくれる。 静寂は最高の観衆であり、賛同者であり、仲間だ。 俺は何故、それを否定したんだろう。 俺も…、そんなやつに俺も成りたかったよ。でも、なれないじゃないか。 …オレも静寂の一人になって口を綴じ、皆の意見に、忌憚ない同調をしていれば、俺が、皆が望む人間になれるのか?そうすれば笑顔溢れる関係は崩れなかったかな?… …いつか崩れて声を出そうとも、縫い合わせれば溢れはしないだろうから……。 みんなが、俺の意見に何も言わなかったように。 静寂を受け入れないやつは、受け入れられないから。 あいつらも、ソレをわかっていたんだな。 じゃあ、先にいってくれてれば良かったのに そうすれば、 おれは えがおでいたのに