歩く、歩く、歩く 夜明けは未だ見えず 進む、進む、進む 月は未だこちらを見ている 今、彼女はここに立つ 夜明けを迎えるためだけに 月は全てを支配した 月は努力を嘲笑い世界は闇に包まれた 月は彼女を嘲笑う 夜明けなど夢物語なのだと そして月は変貌する 醜い怪物の姿へと 音がする 金属がぶつかり合う音 荒い呼吸の音 血の流れる音 そして、理解できぬ怪物の嘲笑の音 彼女は負けたのだ… 彼女は夜明けを迎える事なく斃れた 筈だった 彼女は立っていた 怪物は困惑した ありえない、と 怪物は彼女を塵のように吹き飛ばした しかし彼女は立ち上がった 彼女は覚悟した 夜明けを迎えるため あの日の夜明けを取り戻すため 今、暁が帰還する 怪物はそれを見て嘲笑した その程度で倒せると思った彼女に対して 怪物は今度こそ勝ちを確信した 彼女は解っていた この程度じゃ死なないことを だから超えるのだ 今、ここで 【真・暁の帰還】 怪物は気が付いた しかし、もう遅かった 熱い 怪物は灼きついた 影しか残らない程の熱量 暁を齎す光の副産物によって 怪物が最後に見たのは 暖かな光 それと 夜明けの光であった 怪物は斃れた 満身創痍の彼女はそれを見ていた 夜明けが来た 彼女は太陽に向かって歩いていく 夜明けを失わないために そして 彼女は斃れた 後に残るのは 塵の山と 満足そうな顔の彼女の亡骸だけだった ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 称号 《王の冠、玉座への凱歌》