第9惑星の崩壊した旧王国「アガルタ」の君主 繁栄を極めた王国は、その哲学者たちが未だ空を求めたことで終わりを迎える。 犠牲を経て完成された「星海渡り」を使い、数多の民がその先へ渡り、そして二度と戻っては来なかった。 彼女はただ1人、地下王国の天上に輝く星々が偽物の帳だと知っていながら、そこに残り続けた。 ...星海渡りが切り開く夜空は、本物の星空では無い。 偽物の虚無、生きた空間。 まるで命を食らうかのように大口を開けるそれは、その先に何があるのかを示している。 正しい航路を理解せずに星海を渡ることはできず、遂にその虚構に飲み込まれるだけだ。 最も、彼女がそれを思い出したのは、もう多くを失ってからだったが。