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師匠(指導者)

 昔、武者と恐れられた男がいた。その者は、気まぐれに弟子を取り、鍛えることにするが、彼自身が人智を超えた才能の塊である為に指導は感覚的で大雑把、彼のもとを離れる者も多々見受けられる。  しかし、彼の言動は無骨で言葉足らずではありながらも本質をよく捉えており、それが弟子の糧となり、力となる。  私は目を覚ます、知らぬ天井。  「おお、目を覚ましたか」  見知らぬ男だ、だが直ぐに部屋から居なくなる。  「師匠!、目を覚ましたって本当ですか!?」  見知った顔の少女、そして師匠と呼ばれた先程の男を交互に見合う。  「私は師匠、この世界の指導者でもある。まぁ好きに呼べ」  ______ズキンッ!  痛みが神経を駆け巡り、私の肉体を侵す。意識が朦朧と………….  「おっと……」  師匠が私の身体を支える。脳が溶ける、意識が霧散する、肉体が砕け散る、そんな感覚が私を縛り付ける。浅い呼吸が嫌になる程、耳障りだった。  「はぁ……はぁ……はぁ……」  「無茶をするな、お前は未だ瀕死の身。下手に動くと死ぬぞ」  嫌な汗、掻き混ぜられた視界が揺れ動く。  「とりあえず、安静にしておけ」  私は再びベッドに寝かされた、意識はもう事切れていた。