ーどうやら最強の傭兵が、国を興すらしい。 その噂は諸国を電撃よりも速く駆け巡った。”フェンリル”の異名で知られる死神が、どういうわけか国を興すというのだ。あの”フェンリル”がトップに座する国など中小国家にとっては脅威でしかなく、先進国にとっても放ってはいられない目の上のたんこぶとなる。 とても高額な料金を取るが、誰よりも多くの武器を使いこなし、誰よりも大きい戦果を上げる”フェンリル”の逸話は数知れず。 ある将校いわく、「部下達は”フェンリル”を目の前にすると突然動きを止め、無抵抗のまま首から下を消し飛ばされた。あれは戦争の中であっても異質だった。殺戮のために産み落とされた神としか思えなかった。」 ついに”フェンリル”の建国スピーチの日がやってきた。新聞の一面は国境を越えてピタッと揃い、最強による最凶の統治の幕開けをセンセーショナルに報じていた。 仰々しいファンファーレが鳴り響く。 2m近い背丈の黒い軍服姿が壇上に登る。 「我が帝国は天を超え、宇宙に歩み出す。以上。」 ムーンショット帝国代表、”フェンリル”ことエカチェリナ元帥の国際スピーチは、たったの3秒で幕を閉じた。 帝兵証 階級 元帥 兵名 ドラグノフ 名前 エカチェリナ・オールダー 所属 帝国本部 個人スキル 有 《昇陽炎》 殺意を炎に変換する能力。人聞きが悪いので“戦意”という事にしているが、その実エネルギー源とするのは殺意である。 変換された炎は殺意が向けられた物、者に向かって飛んで行く特性があり、エカチェリナの場合は刃や矢、エカチェリナの姿をした分身となって飛んで行くことが多い。表層的な殺意の場合は武器としたり、念力のように使うことも可能だが、無意識下の殺意の場合は殆ど波動のように広がってしまい、周囲のものを片っ端から焼き斬ってしまう。 魔力技術 属性剣 習得済 属性鎧 習得済 覇性 習得済