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【Rank.S-9】メイ・ナカジマ/技研の頭脳にして兵器開発における天才

───────── 「な、何もCTO自ら出なくても……」 「決定事項です。覆しは認めません」 「しかし、強化人間でもないのにどうやって」 「私の決定に異をとなえるのですか?」 「あ、いえ!決してそういう訳では!」 黒髪の女性は澄ました顔で男を見る 表情からは何も読めないが、赤い瞳で射抜くように見つめたあと再び機体に目をやる (終わった……覚えられた……!) 「別にあなたがたの無能を怒っている訳ではありません」 「は、はい?」 「情報セキュリティとは、常に攻撃側が一歩先をいくもの。よく言うでしょう?いたちごっこと」 「え、えぇ……」 「それに、あの子達の脱走を許した事も。本気を出せばここの包囲網を簡単に突破できるくらい強くしたのは私ですから」 「で、では、なぜ……?」 「知りたくなったのです。2度も私の作品たちを誑かした者のことを」 「知ってどうするのです?報復するのですか?」 「それはその時になったら考えます」 「天才とは、もって生まれた知性だけではそう呼ばれない。生まれもった資質に加え、飽くなき好奇心や驚異的な執着心を持って初めてそう呼ばれるのです」 「私が“あなた”を知りたい、と思った。少しばかり同情を覚えますね。しつこいですよ、私の執着心は」 ───────── 【一般向け公開プロフィール】 技研『アイビス』開発部門最高責任者 年齢:非公開 物腰柔らかで優雅な開発者 美貌と知性を併せ持ち、こと兵器開発においては類を見ない程の天才 組織の実質的なトップであり、彼女の意見はあらゆる意見(例えそれが倫理委員会であっても)より優先される ────── 【技研『アイビス』向け案内】 技研『アイビス』開発部門最高責任者 年齢:不明 最優先事項 ・彼女の機嫌を損ねるな ・彼女の言葉は至上最優先と捉えよ ・彼女を詮索するな ────── 【技研の職員らによる評判】 ・一般職員 技研の創業当初から在籍しているとの事だが、見た目は20代前半にしかみえない 創業からいるのだとしたら100歳は越えてるはず クローンかな? ・広報担当 とてもお綺麗ですよね……!優雅な所作も相まって、是非とも広告塔になってほしいくらい ・無人機開発部門部長 技研のフラッグシップ機である『アイビス』もほとんどが彼女の設計によるものだ 彼女の知性無しに技研の発展はありえないと言ってもいいだろう しかし、ハービンジャーに対して危険な執着をみせているような気がする ・無人機開発部門『ハービンジャー』 彼女からコーラルを感じます。恐らく長時間摂取し続けたような蓄積量ですが、精神的には異常がみられず、むしろコーラルを圧倒しているような……? 私は彼女が恐いです ・元防衛課『レン-IB-HA373』 きれーなおねーさん……でも……私のなかのコーラルは……おばあ[録音終了] ────── 【技研『アイビス』ホームページ】 ようこそ アクセスしたいページをお選びください 一般のお客様はこちら 企業法人の方はこちら ↳技研『アイビス』のスタッフはこちら 【スタッフ専用ページ】 職員番号とパスワードを入力してください ログインしました ↳職員名簿 閲覧したい職員の職員番号を入力、もしくは部門を選択してください ↳開発部門最高総責任者 指定されたページを閲覧するためには許可が必要です ご使用の端末に読み取りデバイス『IB-ymtr-w2』を接続し、電子キー・物理キーを差し込み後、暗証番号を入力してください ↳暗証番号[**********************] 認証しました おかえりなさい、ナカジマ局長 【メイ・ナカジマ】 May Nakajima 開発部門最高責任者 ■■■■年■■月■■日生まれ(現196歳) 1.経歴 ・10歳、■■大学に入学 ・20歳、同大学の教授に就任 ・24歳、未知のエネルギー堆積場を発見。コーラルと名付ける ・27歳、コーラル堆積場にて事故が発生。自身と自身の持つ研究室のスタッフと生徒を含む大事故で、自身を除き全員死亡。自身も大怪我を負った。事故の責任をとる形で大学を去った と、表向きに処理した。*1 ・35歳、友人に誘われるかたちで技研『アイビス』を立ち上げる *1.実際は、彼女が全員をコーラル堆積場に突き落とした大量殺人事件。天才を生み出し教育したとしたかった大学が事故を揉み消した。彼女は特段隠すつもりはなかったため、万が一にもマスコミにインタビューされないよう大学は方々に圧力をかけた 2.肉体について ・肉体年齢およそ25歳。計測した訳ではないが、とある事件が起きたのがその年だったため予測 ・神経伝達物質及び電気信号の役割は一部コーラルに置き換わっている ・細胞死や細胞増殖といった活動はほぼ完全にみられない。厳密には違うが、有り体に言えば身体の時間が止まった 技研に置けるコーラルを使った強化人間の完成目標モデル 彼女は非強化人間であるがコーラルの恩恵をその身に受けているため、人工的に再現を目指す しかし教授時代の実験の時のように失敗が続き、今日までただ一人のみの成功事例しかない 3.教授時代のとある事件について 彼女が25歳頃に起きた出来事。一人でコーラル堆積場の調査を行っていたところ、引き寄せられるようにして堆積場に転落。本来なら多量のコーラル被曝により即死する状況だったが、奇跡的に生還 しかし後遺症として、肉体の様々な機能がゆっくりと停止をはじめ、代わりにコーラルが代替機能の役割をはじめた 『堆積場内に落下した時、肉体が霧散していく中私はコーラルの声を聞きました 「霧散しても大丈夫。私たちと一緒になればキミは消えない」 私は受け入れませんでした 拒否権はないとばかりに、私の全てがコーラルに溶けていく しかし、私は拒否しました 私はコーラルを掌握しました 私はコーラルの声の主を殺し性質を引き継ぎました 霧散した肉体を集め繋げ直しそれでも修復不可能な部分はコーラルで代用しました コーラルは私のものになったのです』 4.大量殺人事件について 世間的には転落事故として知られている、コーラル堆積場研究室スタッフ及び生徒たちを死に至らしめた事件 大型バスに自身含む全員を閉じ込め、自ら運転しながら堆積場に突っ込む。全員が死亡・霧散していく中、当の本人だけは生きて帰ってきた。人に期待をしない彼女だが、この時ばかりは「失望しました」と言ったという 『私は事前に説明しました。とはいっても移動中のバスの中でですが コーラルの及ぼす効能を説明し、サンプルを増やすため協力をお願いしました 何人かは協力的だったのですが、ほとんどが拒否の意を示しました 大声で抗議し、運転を妨害し、それが適わないとなると泣き叫んで哀願する こんなにも反応に多様性があるとサンプルが取りやすくて、その時は少しばかり期待を抱きました しかし、結果は全員死亡。なんとも不甲斐ない結果でした』 ────── ────── ??? 赤い光が広がる宇宙 禍々しくそれでいて美しい粒子が、世界を無限に染め上げていく コーラルリリース たった今、それが成し遂げられた 『全ての道程は、やがて生まれる其のために』 コーラルに溶けた意識のうち、一際強い好奇心と執着心を持つ烏は思う 『あとはただ、至るのみ』 Δ:【 LAST RAVEN 】 …最後の一羽と共に、紅を纏う烏達は世界を渡る。 何れその名の真の意味に、気付く時まで…。