「もう、皆死んでしまったか。 私だけ生き残ってしまった。 何一つ、守れたものなどないというのに。」 惑星「ムースペル」に住まう機械 だが自らの意思を持ち、感情と欲を理性によって抑えながら行動する。 丁寧な口調、礼儀正しさから、ある者は上流階級の富貴な人間を、ある者はかつてニヴルで見られた武士のようだという人もいる 本人は気がついたらこの体だったため、そのような事は一切記憶になく、つまり意識が持つ潜在意識で行っているということになる 名前は製造番号であり、だがこの番号はミズガルズのどこにも記録されていない つまりは製造元不明、構造不明の意思を持つ機械な訳である 本人もそれを理解しており、目標のひとつに生まれの解明を入れている ミズガルズの叡智を持ってしても、意識を持った機械の制作は容易なものでは無い 或いは絡繰を、操作に特化させた生命を生み出し、それによって擬似機械を作成することは出来る だが未だ人力で回路中に意識を保存する技術は存在せず、故に余計出典が怪しくなる 結局のところ、世界記憶の存在すら都市伝説となった現在において、その上内戦状態から核爆発により崩壊したムースペルの記録となれば、特定は無謀なものだ 頼りになるのは彼とその機体だけ どうしようもない状況の完成である