【背負うは友の姿】 遥か昔、かつてこの世界を攻めた神が居た。 空を覆う天使の軍勢、そして何柱もの神々が地上に降り立ち進行してくる。 抗う者は異端とみなし受け入れし者は信者となり朽ちてゆく そのような神々の侵略から世界を救った英雄がいた 紅き髪を揺らし、美しき薔薇は花吹雪のように神々を打ち倒し高きへ至った英雄がいた そんな神話があった 私はその英雄と言う主役に憧れ剣を握った。才能はなかったがそれでも私は剣を振るった。 友人の1人が盾を持ち私が剣を振るう、才能が無くとも出来る基礎を磨き続けなんとか食らいつくそんな戦いをしていた。何かを守れると信じて。 だが私は守れなかった、心の狂いし人が堕ちる怪物を前に私は自衛が限界で友を守ることが出来なかった。 盾を持っていたため友は一命を取り留めたが心は守れず友は盾を握ることができなくなった。 己の無力差を知った、才能無き者が主役になる事は出来ないと その日から私は目を伏せてしまった。夢は持っている者しか掴み取れないと考えて私は夢を諦め前を向かなくなった。 同期の冒険者はどんどん上に登っていく中、友がいない私は進むことが出来ず立ち止まっていた。 そんな中1つの依頼を受けた。ある場所までの護衛依頼、よくある依頼だが大体はもっと高位の冒険者に行く依頼だ 普段なら受けない依頼を何故か私は受けたのだ、何故だかは分からないが私は受けることにしたのだ。 友から盾とマントを借りて護衛任務を開始する。 途中賊に襲われることがあったが退け護衛依頼はなんのトラブルも無く終わった。依頼主の家にたどり着きいつも通り報酬を受け取る、その時依頼主の娘が家から出てきた。 その娘が裏も濁りをない満面の笑みで「ありがとう、鎧のお姉ちゃん」と感謝の言葉を贈ってくれた。 その言葉を聞いて私はなんと言うか、暖かい感じがした。久しく感じていなかった思想や裏のない完全な感謝。 今ならわかるが私は嬉しかった、初めて自分の立っている意味を見いだせた気がしたのだ。 閉じていた瞼を開きもう一度前を向けたのだ。 そこからは盾を友に返し、今まで燻ってた分を取り戻すように依頼を受けて行った。 主に護衛から偵察、なんでもこなしていき他の同期に並び、追い越し私は守護者となった。 そんなある日、神話は現実となった。 かつての英雄は死に記録も薄れた中、神は復活したのだ。 一人また一人と離脱できるよう私は周りを守りつつ戦ったが長くは持たなかった。 私以外は耐えきれず撤退し私は前に出て攻撃をした、だが才能無き剣は神への攻撃とならず、守りに使っているうちに剣は砕けてしまった。 対抗手段の無くなった私にとどめを刺そうと神が振り下ろした時に私の友は駆けつけた。 盾を持つのはキツいだろう、戦場に経つのは怖いだろう、そんな感情を押し殺してでも私の友は戦場に来てくれた。 友に助けられ立ち上がった私は友の盾を手に取った。私の運命の日となったあの日、この手に持った盾によって助けられた。 剣を振るう英雄になれなくても 才能が無く道が閉じられたとしても 私を信じる者のために私は不落の壁となる 英雄は己を貫ける者の事なのだから。