私の村は極寒地帯というとても寒いところにあった 個人スキルすら知られてない小さな村 その村の人々は個人スキルを特異能力と呼んでいた そして、毎年人柱を立てる風習があった 今年も平和な一年を過ごせますようにと願いを込めて火の神に人柱を捧げる風習だった 「今年の人柱はお前だ」 私は耳を疑い、もう一回言ってもらうが村長は同じ言葉を吐き捨てた 衝撃のあまり私は持っていたバッグを落としてしまった 両親に相談すればどうにかなると自己暗示を掛けて、両親に相談した 両親もこのことは知らなかったようで父は怒りが頂点に達していた だが現実は残酷だ 一匹のトラが複数のライオンに勝てないように 父も何もできないと察し私は残りの余生を全力で楽しむことにした 学校でも私が人柱になることが知らされており、私には色紙がプレゼントされた 色紙には別れの言葉や感謝の言葉が書き連ねられている 私は心底腹が立った 「わざわざ思い出したくないこと思い出させやがって」 思わず言葉が出てしまった クラス内はシーンとしていて全員に聞こえているだろう 先生は私を怒鳴った「わざわざあなたのために送ってくれた人の気持ちを考えなさい」と 勝手にエゴを押し付けられ楽しく余生を楽しもうとしているのに嫌なことをわざわざ思い出させてくる その果ては善人ぶって説教 虫唾が走る その日を境に、私へのいじめが始まる 最初は足を掛けるなど些細なものだったが日に日にいじめはエスカレートして、遂には殴る蹴るの暴行をするようになった 「なんで私ばっかり…」 何も見えない黒闇の中、慎重に一歩一歩歩む私に後ろから背中を押す連中ばっか 私は遂に余生を楽しもうとは一切思わなくなった 家で引きこもるようになった。人柱にされる日まで3日も無かった 「速く人柱の日にならないかな…」 ぼーっとしながらそんな事を思い、言葉に出していた 外がうるさく、窓を見るといじめっ子が私を呼んでいた 「ミラー!!謝りたいから来てくれー」と声を張り上げている 私はそれに気づくも、顔すら見たくない 無視して布団にくるまった 次第にいじめっ子が扉を強く蹴ったり叩いたりしているので、しょうがなく私は扉を開けた いじめっ子が私の手を取り、私を外へと連れ出した いじめっ子に手を引っ張られてついた先は森だった 森にある秘密基地に案内してくれるらしい いじめっ子が言う秘密基地とやらに行ってみると、私のクラスの同級生が全員いた 私が視認した瞬間、急に苦しくなり、視界が暗転した 目が覚めると私の手足は拘束され、地面に寝転んでいた あたりはすっかり暗くなったが、クラスの同級生は一人も欠けずに揃っていた 私は抵抗もできないまま木に吊るされる いじめっ子が私を木の枝にしっかり固定すると同級生が私の前に一人ずつ並んだ 「お前うざいんだよ!」「速く人柱になれよ!」そんな罵倒の言葉を私に吐き捨てながら同級生は私に一発ずつテンポよく殴ってくる 皆の身長では、顔ではなく腹ら辺に連続して殴打を受けていた 「オエッ…」9人目くらいの時、私は耐えられず嘔吐してしまった 私と仲が良かった子は手加減してくれているのだが、過半数が本気に近い ようやく最後の一人が見えた 最後は先生だった 大人の本気の一撃をくらった私は今まで我慢していた涙が溢れ落ちてしまった それが終わったら皆は私を放置して解散してしまった 風の生暖かい感覚が私を包んだ 「ははははは…温かい…気温は氷点下のはずなのに」 私はそのまま意識を失ってしまった 目が覚めるとそこには安堵し泣き崩れる両親の姿があった 1日間、目を覚まさなかったようだ 私は食事をとろうと思い、母にパンを注文した 母は急いでパンを取りに向かった 母がパンを持って来てくれると、私はパンを受け取り、口に入れた 私はパンは愚か、水すら喉を通らなかった せめて苦しみを紛らわせようと目をつむると 父は隣で昔、母が歌ってくれた子守唄を歌ってくれた 人柱の日が来た 私は待ち望んでいたかのように会場へと向かう 私の小さな身体は丸太にくくりつけられ、固定された 丸太を立ててその周りを人が周りながら踊りだした 村長が丸太に木を放つと私は目を閉じた…が ふと、目に入ってしまった私を助けようと奮闘している両親の泣き叫ぶ姿が 「熱い…熱いよ…身体が冷たくなってきた…身体が壊死し始めてるのかな…死にたくないな…」 「やっぱり…私…生きたいよ…お父さんとお母さんと一緒に…色んな事をしたい…」 「もっと…もっと…生きたい!!両親と一緒に…最終的には…両親の最後を見届けたい!」 そんな想いを抱えても、無駄だった 火はどんどん私の寿命を削った 最終的には私は焼き尽くされて死んだ…と思われていた 功か不幸か分からないが私の想いと火が私の生命を再び照らした 私の生命の火はずっと私を焼き尽くし、蝕み続けた 苦しい、痛い、苦しい 死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい 死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい 死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい 死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい 「怖い…死ぬのが怖い…」 私は自分の首にナイフを当てては怖がってナイフを引っ込める事を繰り返していた