『自分の内面を受け入れる事も大事なんだ。』 『こいつを甘く見るなよ。臆病な奴だが、ただの臆病じゃあねぇ。』 生まれ育った街を離れて旅をする多重人格の男性。 子供の頃から精神が不安定な状態だった。 追い詰められると凶暴な人格が表に現れ、危害を加えようとする人間を逆に襲う事が多かった。 そんな彼の一面を知りながらも見捨てなかった女の子がいた。 ある日、その女の子を人質に取られ、呼び出された彼だが、案の定凶暴な性格が表に出る流れになった。 この事件で死亡者は出なかったものの、女の子が怪我していた事でこの一件は大事になり、彼は街から離れる事になった。 「女の子を怪我させたのは自分に守る力が無かったから」と自分を見つめ直し、もう一つの人格と対話を試みる。 最初はひ弱な人格を否定され続けるばかりであったが、対話を続け、旅を続け、そうしてやっと二つの人格はお互いを認め合う関係になった。