《終焉の記録者》アーカイブ・ゼロ アーカイブ・ゼロ。 かつて《超越者の黄金期》を終わらせ、歴史から一つの時代そのものを消し去った超越者。 彼の恐ろしさは、攻撃力や防御力ではない。 「起きた出来事を起きなかったことにできる」 彼に攻撃を当てても意味はない。 防がれるのではない。避けられるのでもない。 「攻撃が命中した」という事実そのものが消える。 剣で斬った。 魔法を当てた。 能力を発動した。 存在を消そうとした。 因果を操作した。 必中を成立させた。 そのすべてに対して、 「そんな出来事は存在しなかった」 と世界の記録から消去する。 さらに彼は、自分自身を観測・定義・記録することさえ許さない。 相手との間にある「攻撃対象」という関係すら成立させず、勝敗や死亡という結果が生まれる前に留まる。 そして最も恐ろしいのは、彼がそれを悪だと思っていないことだ。 彼は人間の感情を理解する。 恐怖も、希望も、信頼も、正義も。 相手が何を信じたいのかを理解し、その思想に寄り添う。 安心させる。 警戒を解かせる。 信じさせる。 そして、最も美しい瞬間に奪う。 本人にとって、それは破壊ではない。 「整理」なのだ。 人間も、文明も、国家も、超越者も、神でさえ。 彼にとっては世界を構成する一つの材料に過ぎない。 だから彼は笑って言う。 「この世界は美しい。」 その言葉を聞いた者は、ようやく理解する。 この男は、世界を滅ぼしたいのではない。 世界を美しい作品として完成させるためなら、世界そのものを消すことすら躊躇わない。 それが―― 《終焉の記録者》アーカイブ・ゼロ。