黒いミイラのような服を巻いているマッチョメン。ところどころ拘束具で布を固定しており、特に顔はほぼ拘束具しか見えないほどに、口以外はがっつり固定されている。語尾は『ぬん』。 その圧倒的な個人スキルの能力からSLAYERSの突撃隊長を任されており、これまでの戦績は龍(龍人含む)15匹、竜(竜人含む)14匹。昆虫食のパイオニアで、最近は焼くとか揚げるとかでなく生食をオススメしている。 ちなみに、極眼無知というのはコンチュのために作られた造語で、『悍ましい目をした無知で恥知らずな人』という意味である。 魔力技術 適正 火 属性剣 未習得 属性鎧 習得済 覇性 未習得 個人スキル “五分便”(ごぶたより) 昆虫を食べると身体強化と未来予知を獲得する概念系能力。 身体強化はカブト虫のようなサイズの虫を50匹以上食べると身長が5m以上に伸び、骨格や筋肉も巨大に発達。また、発達するときに肉体が17歳へ若返り、キメラ亜人に負けずとも劣らない超身体を手に入れる。食べた虫が300を超えるとだんだん虫に似てくるようで、もつれにもつれた戦いでは腕がカブトムシのツノになり、敵の心臓を貫く槍となった。 未来予知は身体強化に比例して強くなって行き、初めは虫を食べたときに1秒先の未来が、少し肉体が成長すると食べたときだけ3秒先の未来が、5m以上の身体になると虫を12秒に1回食べる続けることで10秒先の未来が常に見えるようになる。 見た未来は確定するわけではなく、コンチュが未来を見て取った動きを敵に読まれて結局行動が変わってしまうのはよくあることらしい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 概念系特設コーナー コンチュは産まれた時から奇っ怪なやつだった。 初めて口にした言葉は『ばぅぎゅ』だし、何故か産まれた瞬間から歯が生え揃っていた。 3歳の時、おもちゃ屋に立ち寄って欲しがったのは店に入り込んだカメムシだった。両親はどうしてもとコンチュが言うから、そのカメムシを捕まえて持ち帰ったが、家に着いた頃には既にカメムシはどこかに行ってしまった後だった。 普通、シリアルキラーになるような頭のおかしい少年がいじめるのは猫と相場が決まっている。でも、コンチュはそれが虫だった。 家の柱や床をスプーンでほじって中に住む虫を探す。外に居るやつより綺麗だから、コンチュは家の中の虫が好きだった。でも、当然それは両親の怒髪天を抜いてしまった。自分の部屋の中に留めておけば良いものを、リビングの床まで掘ってしまったのだから当たり前だ。両親はスプーンを取り上げ、強く掘ったことを叱責した。疑問が湧くより、やめてほしいという思いの方が強かった。 それはコンチュの心を更に成長させてしまった。 コンチュはどうにか、掘らずに家の中に虫を忍ばせようと画策し、仕方なく外の虫を家の中で飼い始めた。ダンゴムシからカミキリムシ、カブトムシにクワガタムシ、カマキリ、ガ、羽虫に羽根アリまで、コンチュの小さな部屋の中はすぐにいっぱいになり、昆虫博物館の様相を呈した。もちろん、もう掘るわけにはいかないので全てケージの中。 しかしそれでは物足りない。コンチュはケージの中の狭い生態系に火を差して、踊る虫達を眺めながら退屈していた。 ある時、コンチュは興味本位で日本語の講座を受けてみた。 学生無料だったので、見付けるなりすぐさま入場し、スタスタと椅子へ座った。 確か、日本という古代の国にはブシドーがあって、弱き者にも分け隔て無く接し、付喪神とかいう弱めの神様がたくさんいたんだそうだ。 へぇ、そりゃたいそう窮屈な国だったんだな。と思った。神様なんてのが物に宿っていては、魔力が溢れすぎて鼻が詰まりそうだ。すると、講師はコンチュの馬鹿にしたような冷めた顔に気付いたのか、顎をクッと引いてこう言った。 「一寸の虫にも五分の魂、ですよ。」 異国の言葉だったが、なんとなくコンチュの耳にそれは良い心地を齎した。 「I seemn.」 コンチュはそう返した。 コンチュは日本語の講演を聴き終わると、会場に一礼して立ち去った。 その足取りは軽く、わくわくと冒険に満ちあふれていた。 夕暮れに差し掛かる頃、コンチュは家に帰り着くと真っ直ぐに部屋へ行き、ケージを幾つか取り出して台所へ向かう。 リビングの母親にはバレないように虫達を小皿に摘まんで移し替え、それに膜の魔法をかけて部屋に持ち帰った。 夜が来た。部屋の虫達に鳴く種類はいなかったが、コンチュだけは踊るような楽しみに鳴いていた。目にタオルを巻いて、帽子をかぶって部屋を出る。 「ぬんー。ぬんー。」 コンチュは鼻を鳴らしながら父親の寝室に侵入する。抜き足差し足忍び足。NINJAの基本に忠実に、父親の傍まで辿り着くと、夕方に保存しておいた小皿をポケットから取りだし、父親の耳の中に羽虫を解放した。 羽虫たちは月光をてらてらと反射して、尻をふりふり振りながら耳の奥まで入り込む。古びた織機のようにグーグーとなる寝息の振動に舞い立つ耳滓を避けながら、羽虫たちは奥まで入りきって見えなくなった。 空気が乾いた夜だった。 頬を掻く。爪に脂がこびりつく。 つり上がった口元には千切れた触覚が数本はみ出ている。 コンチュは心を躍らせた。 羽虫も他の虫も一緒に踊っていた。