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【ハイエナ獣人の女冒険者】ジャスィリ

ノール族とはサバンナ地帯に広く居住する、ブチハイエナの特徴を色濃く残した獣人の種族のことで、彼女もその一人です。女尊男卑を体現するノール族女性のご多分に漏れず、筋骨隆々の身体に大盛りの女性部分を併せ持つ彼女は、屈強をもって鳴るノール族の水準でも極めて優秀な戦士です。携えた身の丈ほどもある大剣と弓矢に短剣は、全て魔物の素材に特殊な加工を施したもので作られており、大剣や短剣はドワーフの金属製武器とも互角に打ち合える強度を、弓は嵩張りはするもののエルヴンボウに迫る引きの強さと魔力の乗り、矢の強度を実現しており、彼女はこれを蛮風溢れる見た目とは裏腹に、とても繊細に使いこなしています。  現在は都市で活動している彼女ですが、故郷はやはり文明から離れたサバンナ帯、ノール族の領域です。一般的なノールの集落に育った彼女は、順調に戦士としての頭角を表す一方、外の世界に出て行った同族の語る都会に憧れを強くします。「憧れは止められねぇんだ!」とばかりに、家族との大喧嘩の末に愛用の武器だけを手に集落を飛び出した彼女は、最も近くの大都市であるマグノリアに居着くようになりました。  腕っぷしは確かだった為、首尾良く冒険者となって都市生活を始めた彼女ですが、深く考えず入手した都市下層民の服を着ていたのもあり、ノール族に馴染みのなかった都市の人間からは野蛮人を通り越して、まるで何処ぞの奴隷か愛玩動物が逃げ出してきたかのような扱いを受けてしまいます。  この「誤解」は直ぐに晴れたのですが、彼女は深刻なアイデンティティの危機に陥ってしまいます。深く自らを見つめ直した彼女は、一度故郷に戻る事にしました。家族との再度の話し合いの後、部族の『成人の儀』を済ませた彼女は、再度都市へ赴き冒険者の活動を再開します。部族の伝統的衣装に身を包み、色泥で描いた戦化粧を使う『勇猛なノールの戦士』として。