――『世界に拒まれた少年』―― 「どうして、お前だけなんだ。」 それは、レグルスが生まれた日から向けられ続けた言葉だった。 レグルスは普通の子供ではなかった。 熱が出ない。 病気にならない。 毒が効かない。 魔法も効かない。 祝福も。 呪いも。 神の奇跡ですら。 何一つ届かなかった。 医者は首を傾げた。 魔導師は原因を調べた。 神官は祈った。 誰も理由を説明できなかった。 「この子だけ……何かがおかしい。」 人々は彼を恐れた。 「災厄だ。」 「呪われた子だ。」 「世界から拒絶されている。」 レグルスは反論しなかった。 その通りだと思ったからだ。 帝国は彼を処分することを決めた。 処刑。 封印。 消滅魔法。 次元断裂。 因果消去。 時間抹消。 ありとあらゆる方法が試された。 結果は一つ。 何も起こらない。 処刑という結果だけが、 最初から存在しなかったことになる。 そこでレグルスは初めて笑う。 「そうか。」 「世界がおかしいんじゃない。」 「おかしいのは──」 彼は静かに空を見上げた。 「俺だったんだ。」