ログイン

【人形達と純真なプシュケー/第一章】

〜紗奈ちゃん編〜 『幼き少女と命を貰った人形達』 ーーーーー かつてある町に、小さな女の子がいました。 女の子はとても明るい子で、お友達と一緒に暮らしていました。 そんな女の子の友達は、たくさんのおもちゃでした。 その中でも特に気に入っていたのが、茶色くて小さなテディベアのお人形さんでした。 女の子はそのテディベアを「テディちゃん」と名づけて、一緒に遊んでいました。 おままごとをして、いっしょに遊んで、そしていっしょに寝る。 でもそれだけじゃ、女の子の心は満たされませんでした。 女の子のお友達は、ただの人形。 お友達は動くことができない。声を出すことだって、いっしょに遊ぶことだって。 女の子は、日に日に悲しくなりました。 寂しくなりました。 テディちゃんや周りの人形達だけじゃ、ただ寂しいままだって。 「どうして…どうして動かないの…?」 女の子は毎日、問いかけました。 でもお友達は答えませんでした。 いや、答えられませんでした。 そしてある夜の日に 女の子は怖い夢を見ました。 自分が一人ぼっちになる夢。テディちゃんも消えて、一人ぼっちで暗い闇にいる夢を。 目が覚めた女の子はすぐに、テディちゃんを抱きしめて、必死に声をかけました。 ですが、もちろん声は返ってくることはありませんでした。 とうとう女の子は、さみしくなって泣いてしまいました。 涙がゆっくりとほっぺを伝って、テディちゃんへとポトリと落ちます。 ですが、テディちゃんは何も言いません。 いえ、何も言えませんでした。 女の子にできることは、それを抱きしめること。ただそれだけ。 ただ抱きしめて、ただ怖い夢を忘れて。 じっと心を我慢させて。 でも偶然。 大切に保管していた引き出しから、物音が聞こえました。 女の子は気になりました。そして引き出しを開けて、中を覗いてみました。 そこには微かに光り輝くペンダントがありました。 それはお母さんとお父さんからのプレゼントである特別なペンダントでした。 女の子はそれに手を伸ばしました。 そしてゆっくりと握りしめて、引き出しから取り出しました。 その時です。 ペンダントは突然光り出しました。 そして光はテディちゃんへと、注がれていったのです。 光を受け止めたテディちゃん。 たくさんの光を小さな手で受け止めて。 そして光が止んだ時。 テディちゃんがピクリと動きました。 驚いた女の子。 ゆっくりとテディちゃんを見つめると、テディちゃんは立ち上がって喋りかけます。 「やあ、おどろかせちゃったかな?」 女の子は目を丸くしました。 眼の前にいるお友達のテディちゃんが動いている事を。 最初は怖かった。 でもすぐに慣れました。 むしろ喜びの方が強かった。 するとテディちゃんがゆっくりと立ち上がって、女の子へと歩いていきます。 小さな足で歩き慣れていない、おぼつかない足取りで。 転びそうになりながらも、女の子の眼の前に着いたとき。 テディちゃんはゆっくりと見上げながら、優しい声で語りかけてくれました。 「ボクのご主人様。魂を授けてくれてありがとう。」 そう、テディちゃんが言うと。 小さなお手々で女の子を抱きしめました。 ふわふわとしてて、お母さんに抱っこしてくれた時の優しさ。 お父さんのように心温かいあの心強さ。 女の子は思わず涙がこぼれ落ちそうになりました。 ですが、テディちゃんは優しく声をかけて涙を吹きました。 「泣かないで、ご主人様。ボクがそばにいるからね。」 テディちゃんは女の子の涙を拭いてあげました。ですが女の子の涙はなかなか止まりませんでした。 困ったくまさん。 ですがテディちゃんは、あることを考えました。 そして女の子のペンダントに手を差し伸ばしました。 ペンダントはテディちゃんの手に触れたとき、光が強くなって、そして部屋中を輝かせました。 すると女の子の部屋にあった、たくさんのお友達に光が灯って動き出したのです。 女の子はたくさんのお友達が動いたのを見たとたん、ぱっと明るい笑顔に変わっていきました。 涙で濡れていたお目々も輝いていきました。 そしていつの間にか、女の子に笑顔がもどりました。 女の子は微笑むと、 テディちゃんや、たくさんのお友達を優しく手で覆ってぎゅっと抱きしめました。 「えへへ…よろしくね!」 ここから、女の子とたくさんの人形のお友達、そして小さなテディベア「テディちゃん」との楽しい生活が始まりました。 ーーーーー ある晴れた日、お友達とテディちゃん、そして女の子でお出かけをしました。 たくさんのお友達と共に歩く女の子。みんななかよしに歩いていきます。 そして近くの公園でみんなはピクニックをしました。 女の子はとてもはしゃぎながら喜びました。 それを見たお友達も喜びます。 そしてテディちゃんもいっしょに楽しみながら、晴れた日を過ごしていきます。 でもはしゃいでいると、お腹が空きました。 「お腹がぺこぺこだね」 「うん、そろそろお昼ごはん食べよっか!」 「いいね!」 女の子は朝に作ったサンドイッチを出して、みんなと食べました。 みんなで食べるサンドイッチは最高においしいものでした。 たまごにマヨネーズ、ハムにレタスなど。 様々なサンドイッチを食べました。 「おいしい!」 「そうだね!」 女の子はとても楽しそうにこう言いました。 「またやりたいな。」 女の子はまたこうしてみんなとピクニックがしたいと。 そう感じたのです。 ーーーーー それまたある日。 女の子はお父さんからもらったクレヨンで、みんなとお絵かきをしました。 「何を描く?」 「やっぱりこれかな!」 女の子は画用紙にお父さんやお母さんの絵を描きました。 ですがそれだけじゃありませんでした。 「これはボクたちの絵?」 「うん!」 そう、お父さんやお母さんを囲うようにして、お友達やテディちゃんの笑っている楽しそうな絵を書いたのです。 とはいえテディちゃんも他のお友達も、笑っても顔で表情を作ることはできません。 ですが女の子は、テディちゃんやお友達が笑っている姿を想像しながら描きました。 それを見たお友達は喜んで、さらにたくさんの絵を女の子といっしょに描きました。 かわいらしい女の子の絵、テディちゃんの絵、女の子とお友達の楽しい日々の絵。 お友達だって、体は小さいけれど立派な絵を描いたのです。 「すごい!これわたしだよね?とっても上手だね!」 「ありがとう!ほめられてうれしいよ〜!」 そうしてみんなは、もっと絵を描いていきました。 ですがお友達も、女の子も、テディちゃんも。 楽しく描いていくうちに、ねむくなっていきました。 そしてふとした時に、みんなはねむりについたのです。 お日さまの光に照らされながら、すやすやとねむる女の子とお友達。 それはとても、すてきなものでした。 ーーーーー また別のある日。 お友達と女の子はお菓子を作りました。 作るものはクッキー。ですが女の子もお友達もテディちゃんも、あまり作り方が分かりません。 「どうしたらいいかな…」 「レシピとかあればいいんだけど…」 「そうだ…!ママのレシピ本があったはず!」 すると女の子はお母さんの大事にしまっていたレシピの本に気づいて、見つけることにしました。 「あった〜!」 「よかった、これでクッキー作れるね!」 女の子はお母さんのレシピをお友達と見ながら、お菓子を作ることにしたのです。 レシピに書いてあるとおりに慎重に。 それでも楽しそうに作る女の子。 そしてそれを小さいながらも手助けするお友達。 1人だと早く出来なかったことでしょう。 だけどみんなとなら、あっという間にお菓子を作り上げることができました。 おいしいクッキの完成。 みんなはできたクッキーを食べてみました。 「おいしい!」 「よかった、まるでママのクッキーみたい!」 「ママの料理ってうまいの?」 「うん!いつもママが作る料理はね、とってもおいしくてお店より好きなの!」 「そうなんだ!」 「だからママみたいになれてわたし…うれしい!」 みんな、とても喜びました。 はじめてのクッキー作りは大成功。 女の子もお友達もくまさんもきっと、クッキーだけじゃなくて、もっと色んなものを作っていくでしょう。 ーーーーー さまざまな楽しい時間を過ごしていく中。ふと、女の子は写真を眺めていました。 そこにはお父さんとお母さん、そして女の子が入った写真です。 笑い合いながら、みんなで撮った写真。 お庭で撮っただけの写真なのに、とても懐かしくて、どこか切ない写真。 女の子はその写真を見ていると、なんだか悲しそうにしていました。 それに気づいたテディちゃんは、女の子に声をかけます。 「大丈夫?」 それに続いてお友達も心配しました。 「どうしたの?」 女の子は悲しそうにしつつも、小さくうなずきながら微笑みました。 「ううん、なんでもないよ。」 ですがその言葉とは違って、その目は悲しそうな様子のままです。 するとテディちゃんは、女の子の足に抱きつきました。 「あたたかい…」 そしてそれに続くようにお友達も抱きしめました。 そんな女の子もまた、しゃがんでお友達に抱きつきました。 女の子は安心したのか。だんだん笑顔が溢れていきました。 お友達は、女の子が笑顔になってくれて喜びました。 「よかった、笑顔になってくれて。」 女の子はみんなに抱きつきながら。 少しほっぺを赤くして。 「ありがとう」 小さくも優しい声で、お友達やくまさんに言いました。 みんなでぎゅっと抱きしめるこの時間。この時間が永遠であってほしい。 みんなでそう願いながら、みんなで抱きしめ合いました。 ーーーーー その翌日。 女の子はみんなと約束しました。 「夜、いっしょにお空を見てもいい?」 みんな、もちろん賛成しました。 「うん!お星さま見るの楽しみだな〜!」 「そうだね!」 女の子は喜ぶお友達やテディちゃんを見て、微笑みました。 「えへへ、じゃあ今日の夜にお庭に集合だね!」 みんなは夜に星を見る約束をして、再び遊ぶことにしました。 ーーーー そしてついに、夜になりました。 今日は晴れていて、星空が見える日でした。 星は輝いて、月は真ん丸で、夜なのにどこか明るい今日。 みんなは星空をながめ、そして楽しく話をしました。 「みんなはどの星が好き?」 「ボクはあの星かな」「あたしも!」 「そうなんだ!えへへ…みんな、わたしといっしょだね!」 みんなで楽しく星の話をする温かな時間。 それは1秒1秒が惜しいと思えるほど、とても心地いい時間でした。 きらめく星空は、女の子とお友達、そしてテディちゃんを歓迎しているようでした。 ここにはお友達とテディちゃん、そして女の子しかいません。 それ以外に邪魔をするものはありません。 みんなの笑顔は辺りを包みました。 ですが女の子はふと、悲しい顔になりました。それはある二つの大きな星を見つけた時でした。 「大っきい星だね。」 「うん。」 「どうしたの?」 「ううん、なんでもないよ。ママとパパは元気にしてるかなって。」 「どういうこと?」 「ママとパパはね。お星さまになったんだ。」 「お星さま?」 女の子は話したそうではありませんでした。 でも気になっているお友達やくまさんを見ていると、話さなきゃいけないという気持ちになりました。 お友達に嘘をつきたくない。 くまさんにも嘘をつきたくない。 いつの間にか、女の子は自然と口を開いて話しました。 「あのね。ある日にドライブしたの。」 「ドライブ?」 「うん。パパはね。山とか海とかいろんな場所に連れてってくれたの。いろんな場所を知ってもらいたいからって。」  「そうなんだ。」  「山は空に届きそうなくらい大きくて、海はどこまでも続いてそうなくらい広かった。パパのドライブのおかげで、わたしは色んなものを知れたんだ。」 「へえ〜!それで、それで?」 「…でね、ある日にパパとママ、もちろんくまさんとも一緒に、ある場所にドライブに行ったんだ。」 ーーーー 「今日はいよいよ、あの公園に行くよ!」 「やった〜!」 「でも…あなた大丈夫?今日は嵐になるかもしれないって。」 「大丈夫。平気、平気。雲だってほぼないきれいな青空じゃないか。」 「まあ…そうね。」 「えへへ、パパ、ママ。楽しみだね!」 「ああ!」 「そうね!」 女の子とそのお父さん、お母さんは、女の子がずっと昔から行きたかった公園へと出かけることとなりました。 女の子が昔から憧れだった、お花畑の公園。そこでテディちゃんといっしょに遊びたい。 それが女の子の小さな憧れでした。 そんな今日は晴れ。 雲も少ない青空でした。 ですが今日は嵐という予報。 でもそんなことお構いなしと言わんばかりに、お出かけをはじめました。 女の子を喜ばせたいから。ただその憧れを受け取ってしまうあまりに。 今日は張り切って近道で行こうと。 女の子のお父さんは海の道で行くことにしました。 晴れた空と青い海。 広い広い海は水平線まで続いて、それは小さな女の子にとってきれいで美しいものでした。 テディちゃんにも見せたいと、小さなお手々でくまさんを持ち上げて、窓へと見せる女の子。 それを横で見て、ほほ笑むお母さん。 その楽しい様子を感じながら、運転するお父さん。 "みんなで楽しみたい" 女の子の小さな希望はとても可愛らしくて、とても健気なものでした。 ですが出かけて、少し経ったある時でした。 青空に暗い雲が押し寄せてきて、やがて青い空を黒い絵の具で塗りたくるように染めていきました。 後ろにいた女の子やお母さんは心配しました。 "大丈夫?" "もう帰ろう" そんな声が出るほどに。ですがそれでもお父さんは走り続けました。 "大丈夫、もうすぐで到着だよ" いまさら戻るよりも、着いたほうがいいと考えたお父さんは、空が暗くなっても走り続けました。 やがて空からは強い雨と風。そしてさっきまで果てしなくきれいだった海は、強く波立つおそろしいものとなっていました。 女の子は不安でいっぱいでした。 でもそんな女の子をなぐさめるように、彼女の小さな手には、テディちゃんの柔らかい毛並みが当たっていました。 女の子はテディちゃんを強く抱きしめて、ただこのおそろしいことが終わることを願いました。 ですが、その願いは崩れてしまいました。 強い風にさらされて、目の前に倒れてくるのは、根もとから折れてしまった木 お父さんは止まろうとしますが、止まることはできずに 隣りにいたお母さんが、すぐに女の子を抱きしめて守ろうとしたけれど 車は木にぶつかって、ぺしゃんこになりました 強い衝撃で気を失った女の子 でもかばってくれたお母さんや、強く抱きしめたテディちゃんのおかげで、ケガすることはありませんでした だけど、少しして目が覚めた時に気づきました つぶれた車の中 お父さんとお母さんに声をかけました ですが、お父さんもお母さんも声がしませんでした さわっても体はとても冷たくて 強く揺さぶろうとしたけど、大声で呼んでみたけれど お父さんとお母さんは二度と、目を覚ますことはありませんでした 女の子を置いて、お星さまへとなった2人 女の子はただただ、暗い空の下で泣くことしかできませんでした うずくまる女の子 ですが、ほんの一瞬だけ それが本当かはわかりません でもほんの僅かな時に、お母さんとお父さんの声が聞こえました "生きて" その一瞬の声に女の子は、はっとしました そしてその声に答えるように、大切なテディちゃんを抱えたまま、女の子はたった1人で家に帰りました 荒れる風と強い雨の中、1人ぼっちで遠い遠い家に向かって歩き出しました "かえらなきゃ…" 1人だけでも帰らないと お母さんやお父さんとも、いっしょに帰りたかった でも女の子の力じゃお母さんもお父さんも連れては行けないし、何より今は"生きなきゃ"という強い心で満ちていました それが、お母さんとお父さんの"最後の願い"だとしたら… 家に帰るころには、雨も風も止んでいました 女の子の足はつかれて動けず、お手々は雨の冷たさでかじかんでいました だけどテディちゃんのおかげなのか、体は濡れていたけど冷たくはありませんでした 女の子は大丈夫でした でも心には、ぽっかりと穴が空いたまま お母さんもお父さんもいない それは今でも、テディちゃんやお友達に心がある今でも、心の奥に深くまで引っかかっていたのです ーーーー 女の子は テディちゃんやお友達に 全てを話しました 女の子の頭に浮かぶのは あの時の悲しい記憶 女の子はとても 悲しくなりました 女の子の目は ひどく涙で濡れていました 星空が輝く静かな夜に 聞こえるのは 大きな涙をながして 泣き叫ぶ女の子の声 お友達はなんども 励ましました 「大丈夫だよ」 「だから悲しい顔しないで」 ですが女の子は 泣き止みませんでした "" ママ…パパ… さみしいよ… かなしいよ… どうしてわたしを ひとりにするの…? わたしひとりじゃ もういきていけないよ… むねが すごくいたいよ… こころが さみしいよ… はやく あいたいよ… "" 女の子にはもう 生きていける自信なんて ありませんでした 目の前にあるのは 動いて話せるただの人形 お父さんとお母さんのように 人なんかじゃない 血もつながってない 感情だって声だけ 笑う顔も 泣いている顔も 人形だから 何もできない 何もわからない 女の子はただただ うずくまりました ですがそんな女の子に 一人のお友達が 声をかけました それは女の子がもっとも大好きな テディベアのお人形さん "テディちゃん"でした 「キミは一人じゃないよ。キミにはたくさんのお友達がいるよ。」 その声は女の子に伝わったのか 微かに反応しました 「えっ…?」 「だってキミはボクたちのご主人さまだよ。 だからキミは一人じゃない。 たとえ一人になったとしても… その時もボクたちが… キミのパパとママも…付いているから。」 「わたしのパパと…ママ…?なんで…?」 そしてテディちゃんは 本当のことを言いました 「今まで言わなくてごめんね。 実はボクたちは キミのパパとママが 入ってるの。 パパやママが残した命が。」 ーーーー 女の子のお父さんとお母さんは、あの事故によってお星さまとなって、天へと昇っていきました そしてそんな二人を見かけた天使が、2人を天国へと連れて行くのでした ですがお父さんとお母さんは 今も生きている女の子を、一人にしたくありませんでした "あの子を旅立つなんてイヤだ" そう天使に言ったのです そしてお父さんとお母さんは、天へと連れて行く天使の手を離しました お父さんとお母さんは女の子のところへと戻っていこうとしました ですが天使はそれを見て "待って!" そう焦りながら言ったのです もう死んでしまったお父さんとお母さんが、もしも今女の子のところに行こうとしたら、消えてしまうかもしれないと そうなったら天国に行けるどころか、地獄にさえも行けなくなってしまう 存在も全部、本当に消えてしまう 天使は焦って2人に手を差し伸ばしました ですがその前に2人の手はもう、女の子にへと触れていました それが原因で、2人はバラバラに分けてしまいました バラバラに分かれて流れ星のように降っていくお父さんとお母さん それは美しくも、どこか悲しいものでした ですがその時に、2人は女の子に言ったのです "生きて" そう言って2人はバラバラに分かれて消えてしまいそうになりました ですがお父さんとお母さんは最後まで諦めませんでした バラバラになりながらも、たましいが消えてしまいそうになりながらも 女の子を探すために飛び続けました そして遂に、女の子を見つけました お父さんとお母さんは喜びますが すでに2人のバラバラになった体の半分は消えていました 悲しい気持ちになったお父さんとお母さん このままだと消えてしまう ですが "一緒にいたい" その気持ちが奇跡へとつながりました 天国どころか地獄にすら行けなくなり、消えてしまう2人がたった1つ手に入れた奇跡 お父さんとお母さんは決めました 女の子にプレゼントしたペンダントへと入ること もしかしたら、それなら大丈夫なんじゃないかって 一か八か お母さんとお父さんはペンダントへと入りました ペンダントの中に入ることができたのです そして2人は女の子を信じました ペンダントを手に持つことを ーーーー 「ボクたちの中にはね、 パパとママがいるの。 信じてはくれないかもしれない でもね。 それでもボクたちはキミのそばに ずっといるから!」 「ほんとに…?」 「うん、だから泣かないで キミは一人なんかじゃない。 キミにはボクたちが… パパもママも付いてるから!」 女の子はお友達とテディちゃんの話を聞き終えた時、自然と泣いていたのが笑顔に変わりました。 お母さんやお父さんもういないけど、それでもお友達やテディちゃんの中で、今も生きている。 女の子の新しい家族として それを知った女の子は、ついに悲しみから抜け出せたのです。 すると空から、大量の流れ星が降ってきます。 それは悲しみから抜け出せた女の子のことを、ほめたたえるように。   みんなは手を合わせて、流れ星にお祈りしました。 "" パパやママがお星さまになっても ずっと元気でいてくれますように そしていつまでも お友達やテディちゃんと いっしょにくらせますように "" 女の子は一生懸命 流れ星に願いました この楽しくて すばらしい時間が いつまでも 続いてほしいから ーーーーー 女の子やお友達 そしてテディちゃんは 今でも楽しく暮らしています 今ではようやく 小学生になりましたが 時々さみしいときはあります でも きっと大丈夫でしょう だって テディちゃんやお友達という すてきな家族がいつまでも 女の子のそばにいるから ーーーー おしまい ーーーー 第一章エンディングテーマ曲: https://youtu.be/yIo2ePCm4bY?si=VQhl8X3uQuAdyH16