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《女王》兎角 有栖

「ねぇ、いつまで続けるつもりなの?」 そう不安げに訊ねて来たのは咲子さんでした。 彼女についている「嘘」のことでしょう。 君の心配も尤もですが…… 「あの子は賢い。それにこれから成長していくわ。 真実に辿り着かずとも、何れ記憶の歪みには自力で気付く」 ええ、理解はしています。 この先ずっと現状を維持することは叶わない。 しかし彼女はまだ価値観が未成熟。 故にその足取りは覚束無いものです。 焦って真実を伝えたところで 冷静に昇華し切れないでしょう。 それは今の彼女には、耐え難い重荷になる。 「それは……そう、ね ごめんなさい、私あの子がどうしても心配で……」 いえ、私も貴方には 随分と苦労をかけてしまっていますから。 ただ己の力を「正確に理解」した時、 賢い彼女はおそらく真相に辿り着くでしょう。 まだ幼い彼女には決して、 悟られるわけにはいきません。 家族の命と未来、その一切を 彼女自身の異能が奪ったという事実だけは。