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煙嵐のアラクネ

最近迷いの森に棲み着いたと言われている、上半身が女性で、下半身が蜘蛛の姿をした魔物。鋭い目と刺々しい外見とは裏腹に、善良な者には行く先を示してくれる。しかし秩序を乱す者がいれば音もなく近づき、拘束して尋問する。 禁術に手を染めた少女に、土地神は応えた。異形となった身体は悉く脅威を斬り伏せ、故郷と家族を守り通した。……最後に母の顔を見た時、もうここには居られぬことを悟って、互いに涙を流した。 全てを捨て去って幾日。慣れた様子で巣を張り、眠りについても、彼女の求めた朝はまだ捕まらない。