――『ふむ、随分と懐かしい感覚だ。 この感覚は、門から出れたという事かな?』―― 空中に浮かぶ球体は回転しながら、その模様を変化させ、疑問を作る。 だが、何かを思ったのか……突然、回転が止まった。 ――『いや、偽りに覆いつくされた真実を見る時が来たという事かな?』―― 球体の下にある台は、未だに沈黙を保ち続ける。 それを面白可笑しそうに笑い飛ばした球状の物体は、目の前の何かを見る。 ――『あれが喋らないのは、いつも通りか……。 さて、君は一体誰で、何をしに此処へ訪れたのかな?』―― ――『自分の実力を確かめに? 真実を覆い隠す偽を暴きに? 或いは、悩みを解決しに? まあ、いずれにせよ……君が此処に来たという事実は変わらないがね。』―― 球状の物体が、何を見て、何を思ったのかは分からない。 ただ、少しだけ興味を持ったような雰囲気を出している。 ――『君は、君自身が本当に【この世界という小さな箱の中】に存在していると思うかね?』―― 急に問いだされた相手は、困惑の色を浮かべる。 それを満足げに球状の物体は回転をし、こう述べる。 ――『それを証明するものは、勿論何も無いであろう。 外部を眺める事は出来ないし……当然、外部に出る方法も無い。』―― 球状の物体は言葉を続ける。 ――『だが、外部から内部を見ること可能だ。 それは何故か。 我々が、世界という小さな枠組みに押し込めた存在を観察・検証しているにすぎないからだ。 故に、観察対象は自身が作られた存在であることも、人生という長期的な実験の計画の一つであることも気が付けない。 この話を聞いて、〖最初の問いとは関係ないじゃないか!〗と思ったのかもれない。』―― そう述べた球状の物体は、少し考えこむかのように自身の色を不規則に変化させた後、言葉に出す。 ――『【自分一人では、気が付けない】……これが、この話の核だ。 君は、君自身で【自分が存在している】と証明できるか? 答えは不可能だ。 決定的な証拠も何も無いからね。 君がいくら証拠を持ってきたところで、所詮は【作り物・偽りの世界での出来事であり、空想である】と、そのような結論に陥ってしまう。 君は、君自身が思っている姿・形・存在では無いのかもしれない。 偽りに塗れた世界において、君という存在・人生・結果は、本当は只の空想上の話であり、机上の空論であったのかもしれない。 そうでないと否定はできるのか? 私ですら否定はできない。 幾ら、声を大にして【我々は確かに存在している!】とは言っても、感情論にしかなりえないのだからな。』―― そう球状の物体が述べると、目の前の相手が沈黙してしまった。 ――『そんなに意気消沈するでない。 所詮は、ただの空論。 あくまでも、私の一つの見解にしか過ぎないのだ。 因みに、君が今話している私ではあるが、それは、君がそういう姿であるという風に認識しているだけなのである。 この話は、そういう事なのだ。』―― そう、球状の物体が言った瞬間、世界が眩い光に包まれていく。 次に目を開けたときには、あの門も……球状の物体も……何もかもが無くなっていた。 あれは夢だったのか? そう疑問に思ったが、違う気がする。 あれは、確かに夢では無かったのだ。 でも、存在しない者にどうして、【実際にあったという】証明が出来ようか? そう考え、この地を去って行った。 ――『お悩み相談は、いつでも大丈夫! 是非、悩みを相談しに来ると良い!』―― 私と闘いたい……だと? https://ai-battler.com/battle/07895ef2-ddb2-4ad1-b54a-9f6e7e48d41c