・ハンドラーについて1 壮年の男性。素性や所属は不明 大型兵器やそれを整備する多くの技術者がいる基地を所有し、また複数の技研製の強化人間を抱えている 年相応の落ち着いた言動だが、同時に威厳のある雰囲気を持つ 自分に厳しい1面があるが、身内(特に強化人間)に対してはどこか甘い対応をする 生身での戦闘術や大型機体の操縦技術などを持つことから、どこかの軍の所属か傭兵だったという噂があるが…… ─── ・ハンドラーについて2 「くふ、『スミス』だって」 「ちょっとアイリス?……申し訳ありません、ご主人様」 傭兵登録受付フォームで入力する男が1人 側には強化人間の少女を連れている。供回りだろうか 「だって『スミス』って!偽名もいい所じゃん!」 「確かにありきたりだけど、本名かもしれないでしょ」 「いいんだ、イオ。アイリスの言う通りだからな」 「……そう、なのですね。しかし、なぜ偽名を……?」 「そうそう。そもそも、私たちもマスターの本名知らないし」 「…………」 少女2人の疑問に男は黙る 「……あ!申し訳ありません!出過ぎたことを言いました」 「……ふ、気にしなくていい。話せば長くなるだけだ」 軽く笑う男に、丁寧な少女は少し困ったような表情を浮かべる 微妙な空気を感じた、挑発的な方の少女が慌てて口を開く 「……そ、そういえば!登録する機体って、例のアレ?」 「ああ、そうだ」 「言っちゃなんだけど、オールドタイプもいいとこじゃん。使うにしてもいろいろ換装しなきゃだし、そうするくらいなら新しいの買っちゃおうよ?」 「……いや、使い慣れた装備の方が信頼できる。俺にとっては、カタログスペックよりもそちらの方が重要なんだ」 使い慣れた、という言葉に2人の少女は顔を見合わせる ただ者ではないと思いつつも、まさか戦えるとは思っていなかったようだ 「安心しろ。この機体で俺は何世代も先のスペックを持つ機体とやり合ってきた。少なくとも一方的にやられるつもりはない」 「ふ、ふーん。やるじゃん」 「それに。俺もこのまま出る訳では無い」 「え……?」 「イオにアイリス、俺と共に傭兵稼業に従事してもらう」 「は、はい!」 「イオ、お前にはオペレーターに着いてもらう。俺だけでなく部隊全員を導いてくれ」 「かしこまりました!」 「アイリス、お前はバックアップだ。情報を制し、撹乱し、混乱を与えろ」 「ふふ、りょーかい♪」 こうして 強化人間を使役するハンドラーと、絶対の忠義心を持つ2人の少女 3人1組の傭兵が誕生した ─── ・ハンドラーについて3 未実装 ─── ・ストーリー「予期せぬ訪問者」 「やぁ!久しぶりだなぁ、サ……いや、今は『スミス』、でしたっけ?」 傭兵稼業を終えたハンドラー一行がベースに戻ると、そこには待ち構えたように声をかけた男がいた 清潔感のあるスーツに身を包み、人当たりのいい笑顔を浮かべる壮年の男性だ 身なりの良い、それでいて嫌味ったらしくもない雰囲気は好印象を与えるだろう なのだが 「お前か……」 対するハンドラーはあからさまな嫌悪感を示す 今のハンドラーの人柄を知るものからすれば非常に珍しい態度だ 「ご主人様、お客様ですか?……あ」 「え、何なに?知ってる人?……あ」 後からやってきたイオとアイリス 主人のただならぬ雰囲気を感じ近づいたが、対峙した男を見るやいなや直立体勢になる 「久しぶりですねぇ、419に6097。問題なく稼働しているようで何よりです」 「…………」 「2人ともランカーになったんですってねぇ。技研としては喜ばしい限りですよ、我が商品の広告として」 「……もったいないお言葉、ありがとうございます」 「んっふっふ、しかしですねぇ。今の主人は僕ではないでしょう?それなのにその態度は……」 「え、あ、ごめ……」 「謝るべきは僕じゃないでしょう。これだから……」 「そこまでにしてもらおう」 3人の会話を遮る ハンドラーのその声に、2人の強化人間の少女は緊張が解ける 「イオ、アイリス。お前たちは戻って休め。こいつの対応も今後二度としなくていい」 「わ、分かりました……」 「う、うん……お先に、マスター」 主人の言葉にそそくさと2人は去っていく その様子を見た男はくつくつと笑った 「厳しく躾ていると思いきや、いやはやこれまたどうして。情でも湧いたんですか?」 「……お前には関係ない。それに言ったはずだ、こちらに干渉するなと」 「……はて?」 「とぼけなくていい。俺に無断で彼女たちに接触しようとしただろう?」 「あぁ、知ってらしたんですね」 「おおかた、低い評価を下された彼女たちを“回収”しに来たといったところなんだろうが……」 批難どころか明らかな侮蔑の視線を向けるハンドラーに男は肩を竦める 「いわゆるアフターサービスってヤツですよ。それよりも驚きました、まさか回収のタイミングで懲罰房に収容しているとは。おかげで手が出せませんでした。本当に人のように扱ってるんですねぇ」 「……話は終わりだ。お引き取り願おう」 「やれやれ、商談する空気ではなさそうだ」 男は背を向ける 「また後日、改めて伺いますよ」 「ああ、そうだ。あなた方のおかげでSAMシリーズが再び注目されるようになったんですよ」 「…………」 「何せランカーを2人も出したんですからねぇ。近々新たに開発することになるかもしれません」 「……これも言ったはずだ。俺はもうSAMシリーズ開発に協力しないと」 「……ですが、あなたにとっても悪い話ではないかもしれませんよ?」 「……どういう事だ?」 「それはまた後日にでも。それまで死なないでくださいよ、サミュエル(“Sam”uel)さん?」 ─── ・ストーリー「転換」 「いやー。お話の場を設けていただきありがとうございます」 ベース内応接室 2人の壮年の男が向かい合うように座っている ニコニコと人当たりの良い笑顔に、厳しい表情をする男 対称的ながら、そのどちらも互いの真意を探ることが出来ないでいた 「……さすがにやりすぎだ。ブリーフィングにも作戦中にも干渉してくるとは」 「それは偶然ですよ。あくまでクライアントが私どもと繋がりがたまたまあっただけです」 「それにしても凄い。ブリーフィングでのでしゃばり……もとい発言力、作戦中の指揮能力。いやはや、伊達に『ハンドラー』を名乗るだけのことはある」 「…………」 「強化人間の子だけでなく、有象無象の傭兵どもを従えるカリスマ性。ただ戦うだけが取り柄ではなかったんですねぇ」 「俺を貶しに来たのか」 「まさか!僕の最大限の賛辞ですよ」 「……まあいい。さっさと本題に入れ」 「んっふっふ、待ってました」 「近頃のあなた方の活躍のおかげでSAMシリーズが再注目された、と前にお伝えしましたね」 「『適切な指導者のもとであれば、ランカー程の実力を発揮できる。そのような逸材を使い捨てにするのはもったいない』。そんな要望が多数寄せられました。そのように使ってきたのは彼らだったんですけどねぇ」 「……お前達が10年という寿命をあの子達に課したからだろう?」 「ですが、あなたは彼女たちを使い捨ての駒にしなかった。結局は彼らの選択なんですよ」 「そこで我々は、その『適切な指導者』を製造する計画をたてました」 「……そこで俺か」 「ええ。あなたはアレらと近しい人間。他のどんな有力な指導者よりも上手く導けるはずです」 「…………」 「あなたにやって頂きたいのは『記録の提供』です。作戦中だけでなく日常の何気ない日々に至るまで、全ての発言・アレらへの接し方・深層心理を頂戴したく思います」 「プライバシーの欠片もないな。そんなことをさせるなら、相応の報酬も用意出来ていると言ったところか」 「我々が出せる報酬は金です。お望みであれば我々の製品を無償で提供するサービスもお付けいたします」 「……金や物の問題ではない。お前も分かっているはずだ」 「ええ、勿論。しかし残念ですが、あげられるのは金と物だけです」 「……そうか、ならば話は終わりだ」 ハンドラーは席を立ち上がろうとする しかしそれを遮るように男は話を続ける 「この計画が成功した場合、これまでリリースしたものも含め全てのSAMシリーズに大幅な改修が入ります」 「…………」 「『使い捨てにするのはもったいない』。その要望に応えるべく、彼らの運用方法を短期から長期のサイクルに変更します」 「……まさか」 「『10年』という寿命の枷を取るのです。つまりは人と同じ時を生きられるということ」 「長く生きられるのであれば、自然とアレらへの対応も変わるでしょう。人と同じ反応をしますから、きっと人間扱いされるでしょうね」 「…………」 「望みだったのでしょう?アレらを人間にするのは。何せ、あなたはアレらの“祖”なのですから」