人の心に宿る「声なき叫び」と「終わらぬ因果」を静かに断ち切る、ひとりの少女――桜月イロハ。 感情の揺らぎを持たず、ただ穏やかに微笑むその剣は、魂の痛みをも鎮める“静寂”の力を宿していた。 ある日、彼女は出会う。鋭い洞察と強い意志を持つ少年――篠塚レン。 真実を見抜く冷静さの奥に、人一倍の優しさを秘めた彼は、イロハの孤独と痛みに気づき、共に歩むことを選ぶ。 世界を観測し、調律しようとする“観測機関”。 イロハに刻まれた「使命」、レンに背負わされた「選択」。 過去に捨てられ、未来に縛られたふたりは、やがて“因果の原点”へと辿り着く。 ――“イロハを守るために、俺は運命すら断つ”。 静寂の刃が、月光をまとって振るわれるとき、 ふたりの物語は、始まりと終わりを超えて結ばれる。