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【韋編悪党】ヨダカ/青星の魔物

 漆黒の翼を羽ばたかせて次なる愉快な物語を探す烏は、地に落ちていた夜鷹を見つける。 「おやおや、どうしたんだ? 翼を持つお前がどうして地面を這い回る虫の真似をしている?」  烏の問いかけに夜鷹は自分が死のうと星々へ頼み込んでいたと力無く答えます。 「……ふぅん、あの白鳥と似た手合か。少々マンネリズムだが……まあ、良いか」  烏は決して面白くない結末を辿った白鳥を思い出して、今度は夜鷹に別の方法で悪意を仕掛けます。  全ては自分にとって愉快な物語を創るために。   「お星様になりたいなら任せろ。醜いお前を美しい星に変えてやる…物語は、最も相応しい結末へお前の魂を運んでくれるのだからな」  烏が翼を夜鷹へ翳すと、大量の文字が記された紙の嵐が夜鷹を包む。 「お前の光はいま、何処にある? 昇れ昇れ昇れ高潔なる魂よ、煌めけ煌めけ煌めけ青き星よ。天は自ら行動をしない者は救わない、ならばこそ夜天に輝け夜鷹の星よ」  烏の言葉と共に夜鷹は空高く昇っていきます。  夜鷹の身体は青く美しい光として、静かに燃えます。  しかし、その血のついた大きな嘴が笑っていたかは定かでありません。