神の存在。それはこの魔人国家アーバンタイにて人気の研究テーマのひとつだ。 神は悪魔のように絶対的な力を持って君臨しているという説や、神は時間の中にあり、同時に外にあるという説、アーバンタイの中央にそびえるラクドスの大樹こそが神であるとする説など、様々な説があるが、イアメはそのどれとも違う考えを持っている。 「神とは、自然の中の偶然である。その偶然は何の気なしに観測すればただの偶然だが、儀式的な心理状態にある時に観測すれば、偶然は神の御業となる。神は私達が創り出すものであり、偶然となって現れるが、本当は私達の中にあるものだ。」 イアメは、私こそが神と言っている訳では無い。だが、それを理解できない浅き者達もいるのが事実。いくら学びの都アーバンタイと言えど、解釈のプロセスは人それぞれである。 だからイアメは舞を踊ることにした。まずは”神とは降ろすものだが、それは自らの中に宿るもの”と解釈させ、そこから己の神学論を広めていこうと思っている。 自分の帰りを待つ人達のために、しっかり授業料も取りながら。 「私のコアを使えば神はいるように見えるけれど、他の人が私のように舞っても神は降りてこない。これこそが私の学説の信憑性を高めているわ。…5000識石ならここまで。もっと聞きたいならお金をちょうだい!」