ログイン

銀角【一撃必殺の構え】

悠久を生きる狐狸精の銀角は、その生のほとんどを徒手で戦う武術の鍛錬に使い、数多の格闘技の手法を学び、我がものとし、研鑽を続けてきた。当然であるが、打ち、蹴り、投げ、極める…それらの戦い方に真に最適な肉体と言うのはそれぞれ異なる。対して銀角の身体は一つしかなく、その肉の身体は瞬時に千変万化するような『反則』は出来ない。 従って、銀角はその時、その時期の『気分』によって体つきと戦い方を変えている。その中で大体の体つきで人知を超えたレベルで運用できる、最大公約数的な…意地悪く言えば『汎用的な打撃技を主体にした無限の組み合わせ』が彼女の『覇闘流』である。  では、ある体つきで『彼女の基準で』十全に使える技に絞って戦い方を組み上げたらどうなるか。このスタイルはその回答のうちの一つである。  水鏡の如く凪いだ心と類稀なる共感力で、正確に相手の意を『相手が意を形にする前に』察知し、能う限りの最速でそれに対応する『先々の先』の極みと呼べるスタイルがこの【一撃必殺の構え】だ。  相手も尋常の存在ではない事を想定し、相手の攻撃で揺らぎ難いように重心は低く取り、『相手が攻撃に全力になる』ような数少ない好機で確実に勝負を決めるために身体は太く、一撃に込める力を極限まで高めている。