暗闇の中に、光が差した。 『やっと繋がった』 見覚えのある顔。聞き覚えのある声。 …現れたその子は、何故か私とそっくりだった。 ──あなたは誰? そう尋ねると 『僕は君だ』 そう答えた。 偽物の巫女。造られた人形。 『アルファ』が造った、私の複製。 彼女。『カイ』は、自分のことをそう呼んだ。 道具にも、人にもなれない。 ただの出来損ない。 けれど── だからこそ、こうして君と話せる。 巫女は、星神と繋がっている。 つまり、自分以外の“何か”と繋がる力を持っている。 神様と繋がれるのなら、 もう一人の自分とだって、繋がれるはず。 『金魚姫』が、そう教えてくれた。 ──そんなことを言った。 それから、たくさん話をした。 『あの時』の真実。『楽園』と『アルファ』の正体。 今の巫女もある意味、カイと似たような存在だという話。 先生と立てた計画の話。 ──『ユナ』の話。 …それと。 カイは、自分の名前が嫌いみたいだった。 『χ』は、名前ではなく番号。 どうしても、自分が“道具”であることを突きつけられてしまうみたい。 だから私は、新しい名前を考えてあげた。 『ユリシス』 幸せを運ぶ、青い蝶。 『僕には綺麗すぎるよ』 そう言いながらも カイ──ユリシスは、嬉しそうにしていた。 こんなに話をしたのは、いつ以来だろう。 こんなに穏やかな時を過ごせたのは、いつ以来だろう。 ユリシスなら…私を、見つけてくれるかも。 だから私は、ユリシスにお願いをすることにした。 ねえ、ユリシス。 いつか私を。 いつか私を、殺してくれる? そう尋ねたら、 ユリシスは、とても…。 とても、哀しそうな顔をした。 ───ある日の記憶